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守護者の乙女  作者: 胡暖
三章

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55.手紙

本日二回目の更新です(*^^*)

一つ前を見られていない方は、お手数ですがもう一話前からご覧くださいm(_ _)m

 


 "今回の事、確証はないがベルマン公爵がきな臭い。主犯格が死亡した以上、協力者からたどっていこうと思う。主犯格の三人の爵位は高い。すべて自分で手を下していたとは考えにくい。別に実行犯として、協力させられていた人間がいるはずだ。お前の身の潔白を証明するために、実行犯をあぶりだし、裏でベルマン公爵が糸を引いていることを証明したい。

 そのために、少しラタを借りる。"



 ユーハンの手紙は簡潔な業務連絡だった。エヴァはふむふむ、と読みながらぼんやりと考える。

 そういえば、リントヴルムの子供と穴に突き落とされた時の実行犯は、オリヤン達とはまた別の人だった。死骸を部屋の前に置いたり、そういった嫌がらせも誰か別の人間にやらせていたのか、と。

 そして、文字が下に続いているのを見てげ、と呟く。


 ――――丁度良く、鼠と鴉の騒ぎが起きたので利用させてもらったが、あの件にお前は関わっていないだろうな?


 真実を伝えたら呆れられそうだ、と思いながら、エヴァはラタに声をかける。


「ねぇ、ラタ。ユーハンのお手伝いって何したの?」

『何、簡単なことだよ。大きい小僧が、騎士団の見習達に噂を流す。”次はお前だ”ってな。それを聞いて、怪しい挙動をした奴を見つけて報告するんだ』


 チチチとラタは笑ったが、エヴァには全く意味が分からない。

 分かったのは現在進行形で、何か行っているという事だけ。

 まぁ、夕方にラーシュが来た時にでも聞いてみるかー、とエヴァは伸びをした。


 ――――とりあえず、ユーハンに手紙を書こう


 エヴァはラタに紙とペンを出してもらうと、ユーハンに向けて返事を書くことにした。

 これまでどんな嫌がらせを受けていたのかという事、リントヴルムと出会った採集の森では、実際に実行犯の一人と顔を合わせた事、名前は分からないので、犯人の風貌の特徴とオリヤンの生家である、クロンヘイム侯爵家と懇意にした貴族だという事を綴る。

 リントヴルムの件は他言無用だとウルリクには言われていたが、ラーシュは知っているし、自分の身を守らないといけないこの状況では、ユーハンに伝えないという選択肢はなかった。

 これまでは報告しなかったこと、些細なことも、何がユーハンの思考の助けになるか分からない。ユーハンにはエヴァには見えない物が見えている。実際、エヴァはあの三人以外の実行犯をあぶりだすなんて考えもしなかった。


「よし!出来た。ねぇラタ、これユーハンに届けてくれる?」


 書き上げた手紙を掲げ、エヴァはラタに頬笑みかける。

 ラタはそんなエヴァをちらりと見るとよっこらしょと立ち上がった。

 そこで、ふとエヴァは考え込む。


「あ、ちょっと待って!」


 こうしてしばらくしたのち、ラタはエヴァから託された2()()()手紙を持って、狭そうに魔の通り道をくぐって行った。

 それを満足そうに見たエヴァは、急いで、もう1通手紙の作成にとりかかる。夕食を持って来てくれるラーシュに渡すのだ。


「ユーハンへの返事だよ。よろしくね」と。



 ◆



「おはよう、エヴァ。急なお呼び出しだよ」


 朝起きて仮眠室から出てきたエヴァに、バルトサールはにこやか笑いかけ。そして、手にもった手紙をピラピラとエヴァに向けて振った。

 御礼を言って、手紙を受け取ったエヴァはいそいそと手紙を確認する。


 "朝食をとったらすぐに来なさい。ベルタを迎えにやるわ"


 綺麗な字で、要件だけが簡潔に書かれた手紙を見て、エヴァは苦笑する。

 そして、丁度やって来たラーシュと一緒に朝食を食べ終わる頃、見ていたのではないかと言うタイミングで、来訪者を知らせる灯りが点る。

 中には入らず、入り口で恭しく頭を下げるベルタに、バルトサールは苦笑する。


「全く、誰がここにエディをかくまっていることを漏らしたんだか……」


 ぽそりと呟かれた言葉に、一瞬びくりと硬直したエヴァは、聞こえなかったフリをして、バルトサールを見上げる。


「あ、じゃぁ、行って来ます」

「うん、気を付けて行くんだよ。王宮は危険だからなるべく早く戻るようにね」


 バルトサールのお小言に、エヴァはこくりと頷く。

 そして、何事もないかのように、後ろに続いて馬車に乗り込もうとしたラーシュに、ルーカスが慌てて声をかける。


「おい!お前までどこに行く気だ!」

「ふん、俺も呼ばれているんだ、王女様にな」


 ラーシュは、ルーカスにも何も伝えていなかったらしい。そして、今も詳細を伝える気はないらしい。懐から出した手紙をちらとルーカスに見せると、それ以上は何も言わずに、馬車に乗り込んだ。


 ベルタに案内されたのは、アンナリーナの私室だった。

 中に入ると、エヴァはペコリと頭を下げる。


「急に無理言ってごめんね、アンナ。ありがとう」


 エヴァの視線の先には、向かい合って座る、アンナリーナとユーハンがいた。


 そう。昨日、エヴァはユーハンに直接会いたいという旨の連絡をしたため、合わせて、アンナリーナに関係者の呼び出しと密会場所を提供してくれないかという旨のお願いをしていたのだった。

 その二通をラタに託し、ラーシュに渡したのはラーシュ宛の私信だ。帰り際にこっそり読むように伝えておいた。


 ユーハンが何か行動を起こしている以上、早めに直接会って話したかったが、魔道具試作棟は常に人の目がある。バルトサールと一緒でないと出入りできないので、こっそり棟から抜け出して内緒話をするのも難しい。

 だから、エヴァは考えたのだ。

 エヴァの希望では外に出られないが、王女から呼び出されたのであれば、こちらから出向かないわけにはいかない。

 案の定バルトサールは止める素振りも見せなかった。

 上手く行ったと、笑うエヴァに、部屋に集合した三人はとても微妙な笑みを浮かべていた。

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