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守護者の乙女  作者: 胡暖
第二章

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38.運命の日3

「おぉい、無事かー!」


 団長のランバルドの声と共にたくさんの騎士達が集まってくるのが見えて、エヴァとラーシュは顔を見合わせた。

 あれだけ派手に爆発が起きたのだ。騎士団が動いて当然だった。

 エヴァはハッと気づく。


「そうだ、リクハルド!一緒に捕まったはずなのにいなかったんだ!」


 エヴァは近づいてきたランバルドに訴えた。


「団長、僕たちは無事です!でも、黒づくめの大男達にリクハルドも捕まったはずなのに…ここにはいないんです!」


 ランバルドはラーシュの顔を見て驚き、ボロボロなものの元気そうなエヴァの姿にホッとした顔をみせる。

 そして、エヴァの疑問に答えてくれた。


「どうやら、狙いはお前だけだったらしい。リクハルドは、エディが捕まった後、猿ぐつわをされて、廊下に放置されたということだ。何とか拘束を解いて、俺たちにお前が拐われたことを伝えに来てくれたんだ。今はもう、部屋に戻っている」


 リクハルドが無事だと言う知らせに、エヴァは胸を撫で下ろす。

 しかし、辺りを見渡したランバルドは呆れた顔をした。


「ちなみに、これはどういうありさまだ?何をしたらこんなことに…そして、ラーシュ。お前はなぜここにいる?」


 エヴァとラーシュは気まずげに頬を掻く。

 ラーシュは、ランバルドに言った。


「……エディの姿が見えなくて、探してたんです。そしたら、あの爆発の光が見えて…たまたま近くにいたから、俺の方が速くここに着いたんでしょう。オリヤン、エリアス、パトリックは魔道具を持っていて……自爆したみたいです」


 ラーシュの証言に、エヴァは目をぱちくりする。

 その表情を見たランバルドが何か問うような顔をしたが、エヴァはふるふると首を振った。

 ラーシュはどうやら、自分の魔力については秘密にするらしい。エヴァも、ラタのことを話すつもりはなかったし、自分の魔法についても同様だったので、口をつぐんだ。

 不自然な二人の様子に、ランバルドは首を捻ったが、あまり追求はされなかった。


「あー、奴らが魔道具を持っていたというが、どんなものか分かるか?あいつらにつけていた騎士達はどうやら、催眠効果で操られていたらしいが……」


 エヴァとラーシュは首を捻った。

 エヴァは言葉を選びながら話す。


「……よく、分かりません。攻撃してもしても立ち上がってきたり…いろんな効果がある魔道具なんでしょうか?」

「そうか……。戦闘中にそこまでは分析できないよな」


 ランバルドは、質問は後日にするので、今日はゆっくり休むようにと言ってくれたので、エヴァとラーシュは素直に自分達の部屋に帰ることにした。ランバルドは念のため、と言って護衛の騎士もつけてくれた。


 エヴァ達が去った後、ランバルドやウルリクは現場検証に残った。ほとんど原型をとどめず、木っ端微塵になったオリヤン達のなれの果ての姿に、騎士団員たちは皆顔をしかめた。

 魔道具が使われた可能性があると言うことで、急遽バルトサールも呼び出されていた。

 バルトサールは、ばらばらになった、ニコライ・オリヤン・パトリックの残骸と共に千切れた魔術具の破片が落ちているのに気づいた。

 地面に膝をつき、破片を指でつまみながら、ボソリと呟く。


「…いったい誰が仕組んだんだ」


 バルトサールが何か見つけたらしいことに気がついたウルリクが、側に寄ってきて尋ねる。


「何か見つかりましたか?」


 バルトサールは、手に摘まんだ魔道具の破片をウルリクに差し出した。


「調べてみないと何とも。でも、表裏に魔石が嵌まっている」

「ふむ、それが何か?」

「……裏の魔石はわざと見えないように仕込まれている。と、いうことは使役のために使われた可能性がある」


 バルトサールの言葉にウルリクは目を見開く。


「つまり……オリヤン達は操られていたと?」

「まだ確定じゃないけど」


 ウルリクは顎をさわり、考え込む。


 ----確かに、ここのところの三人は嫌がらせにしては度を過ぎた行動が多かった…


 リクハルドを拘束し、エヴァを三人に引き渡した犯人も別にいる。これは単なる虐めで終わらせられる問題じゃ無さそうだ。

 ウルリクは溜め息をつき、ランバルドに共有するため歩き出す。

 その後ろ姿に、バルトサールは声をかける。


「この魔道具の破片持って帰って分析していい?」

「もちろん、そのためにあなたを呼んだんですから」



 ◆



 送ってくれた騎士達に御礼を言い、お互いの部屋に戻った。

 エヴァはぼふんと布団に倒れ込んだ。

 このまま寝てしまおうか、と思っていたところで部屋をノックされる。

 びくり、と一瞬身をすくませたが、小さな声でラーシュが俺だ、と言う声が聞こえたので、体の力を抜いて、ドアを開けに向かった。


「どうしたの?」

「…入れてくれ」


 ラーシュの求めに応じて、部屋に入れる。

 我が物顔で、エヴァのソファに座るラーシュは、エヴァが向かいに座るのを待って、重々しく口を開いた。


「…夕飯の後、団長に呼ばれてるって言われただろう?あれはどうやら騙されたらしい」

「なんで…そんなこと」

「俺とお前を引き離すためだろう。それより、俺は仕掛けてきたのはあの三人だと思ってた。けど、団長に向かってお前言ったよな。黒尽くめの大男達って」

「あぁ、うん。部屋に戻ろうとしたところで襲われた。僕、後ろから殴られたから、少なくとも二人以上はいたはずだ」

「そして、そいつらはその場でお前を害することも出来たのに、自分の手は汚さず、わざわざあの三人組にお前を引き渡した…」


 エヴァは、その言葉にこてんと首をかしげた。

 ラーシュは分かっていない風のエヴァに焦れったそうにしながら、言葉を続ける。


「なんでそんな面倒くさいことをする必要がある?つまりだ、オリヤン達三人は駒で、実行犯ってことだ。それなら、他に黒幕がいるんじゃないかって思ったんだ。……まだ終わりじゃない」


 エヴァはラーシュの言葉に大きく目を見開いた。

本日はこの後11時にもエピローグ的な短い話を更新します。

よろしければそちらもご確認くださいませ。

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