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守護者の乙女  作者: 胡暖
第二章

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31.サンドラとヴィオラ

 お茶会は休日の午後からだった。

 エヴァが支度をして外に出ると丁度ラーシュも出てきたところだった。


「あれ、ラーシュも出掛けるの?」

「何言ってるんだ、お前」


 ラーシュはあきれた顔をして、エヴァを見る。

 その時、エヴァの正面の部屋のリクハルドも、部屋から出てきた。


「あれ?リクハルドもでかけるの?」

「だから、お前なぁ…」

「あはは、一応僕も高位貴族だからね。呼ばれてるよ?今日のお茶会」


 エヴァははっとした顔をする。

 ラーシュはそんなエヴァを見て、きちんと回りを見ろ馬鹿者、と呟く。

 エヴァは照れたようにエヘヘと笑い、三人は連れだって歩きだした。城までは距離があるので、騎士団寮から城まで行ったり来たりする、定期馬車が走っている。ラーシュとリクハルドはそれに乗って行く気だと言っていたが、エヴァはアンナリーナが迎えを寄越してくれている。

 一人で行くのもつまらないので、一緒に行こうと誘うと、リクハルドには恐縮されたが、ラーシュは乗れるなら乗せてもらおう、とエヴァに着いてきた。リクハルドも、その様子を見て恐る恐る着いてくる。


 王城に着いてから、エヴァは2人とは別行動になる。エヴァはアンナリーナのエスコートとして、最後に会場入りするからだ。迎えに来てくれていたベルタに連れられ、会場近くの控室に案内された。


「こちらにお着換えください」


 ベルタに服を差し出される。

 エヴァは首を傾げた。


「お嬢様と揃いになっております」


 仲の良いところを見せつけるから、服もそろえた方がいいのだろうか。疑問を浮かべながら、エヴァはおとなしく着替えていく。

 つやつやとした白いシャツは肌触りがよく、カフスの色はアンナリーナの瞳を思わせる碧色だった。

 上から、薄いクリーム色のベストを重ねて着る。これにもグリーンの糸で刺繍がしてあった。ズボンは濃い紺色だった。エヴァの髪色に合わせたのだろうか。


「あら、似合うじゃない」


 アンナリーナが現れ、エヴァの装いを見てころころと笑う。

 アンナリーナの服は、エヴァの上着と同じクリーム色を基調としたドレスで、裾に紺色でびっしりと刺繍が施されていた。胸元には虹色の宝石で作られたブローチが飾られている。

 昨日今日で用意できるものではないと思う。


「ありがとう。ねぇ、これいつから準備してたの?」


 アンナリーナは扇で口元を隠しながら不敵に笑む。


「あなたとの婚約が決まってすぐよ。ちなみに、これ一着ではなくてよ」

「すごいね…仲の良さを見せるため?」

「そうね、それもあるわ。この衣装はわたくしがあなたのために考案し、下賜したもの。王女の下賜品にもし粗相があれば、それはわたくしへの攻撃となる。あなたの身を守る鎧でもあるの」


 エヴァは目を見張る。両手を広げ、まじまじと洋服を眺める。


「汚さないように気を付けるね」


 アンナリーナはにこりと笑う。

 そしてエヴァに向けてすっと、手袋に包まれた手を差し出してきた。

 エヴァは、アンナリーナの手を取った。


「さぁ、行きましょう」




 アンナリーナのお茶会とは違い、今回のお茶会は城の中で行われるようだ。

 サンドラが、間もなく成人だからだろうか、アンナリーナの時にはいなかった成人者の顔ぶれもある。少し輪から外れたところに、ユーハンとルーカスが話をしているのが見えた。他にも輪から外れた人たちが何人かいる。アンナリーナの時とは違うその様子にエヴァは首を傾げた。


「ねえ、アンナ。どうして皆の輪から離れている人がいるんだろう?」

「……あの節操無したちはね、婚約者がいようが未婚者にはお構いなしに、招待状を送りつけているのよ。自分たちが気に入れば、婚約を解消させてでも手に入れるためにね。…婚約者がいる者は王族命令だから、来ないわけにはいかない、けど積極的に交流は持たない、そういうスタンスなのでしょうね」


 小声のアンナリーナの返答を聞いて、エヴァは、聞いたことはなかったが、ユーハンやルーカスには婚約者がいるのかもしれないなと考えていた。


「さぁ、面倒な挨拶はさっさと済ませるわよ」


 アンナリーナとエヴァが会場に足を踏み入れてから、ちらちらとこちらを伺う視線を感じていた。

 エヴァはアンナリーナの声に、気合を入れなおす。


 サンドラとヴィオラは、王族らしくとてもきれいな顔をしていた。

 しかし、エヴァを見つめるその視線はギラギラと気持ちの良いものではなく、一目でこちらを見下しているのが分かるようであった。


「サンドラお姉さま、ヴィオラお姉さま。御機嫌よう。わたくしの婚約者をご紹介させていただいてもよろしいかしら?」

「えぇ、もちろんよ。アンナリーナ。ずいぶんとかわいらしい方なのね」

「ホント、まさかあなたが少年趣味だなんてね」

「あら、嫌だ。成人を間近に控えたお姉さま方には少し年が離れすぎているかしら」

「あなたねぇ!私と1歳しか変わらないじゃない」


 いきなり始まった舌戦に、エヴァは目を白黒させる。割り込む隙も無い。

 負けてないアンナリーナがすごい。

 取り敢えず、気の済むまでやりあってもらおうとエヴァは視線をそらし会場に向けた。

 視線の先にはオリヤンとエリアスがいた。パトリックは招待されていないのだろうか。珍しく二人でいるようだった。

 向こうは向こうで、エヴァの方を睨み付けるようにして見ている。エヴァはずいぶん嫌われたものだな、と思うがそこまで強い感情を人に向けられることに、凄いなとも思っていた。

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