表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者の乙女  作者: 胡暖
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/65

17.稽古

 城に行く日はすぐ決まった。

 ラタがアンナリーナに手紙を持って行ったら、その日のうちにランバルドから、日時指定の手紙が返ってきたのだ。

 指定された日、騎士団からご丁寧に迎えの馬車が来たので、エヴァとラーシュは騎士団の演習場へ向かった。


 到着すると直ぐにアンナリーナが日傘を差したベルタを伴い現れた。初日だというのに、アンナリーナはさっそく見学に来たようだ。ベルタが見習いであろう騎士とともに、演習場の隅に日除けとテーブルとイスをセッティングしている。アンナリーナはじっくり腰を据えて見ていくようだ。


「よう、来たな!」


 軽く手を挙げて、ランバルドとウルリクがやってきた。

 ランバルドとウルリクはアンナリーナに略式の礼をとり、エヴァとラーシュに向き直る。


「まずは、実力を見せてもらおうかな?」


 そう言って、エヴァとラーシュに木剣を渡す。恐らく子供用なのだろう。対面し構えるランバルドのものより短い。剣を持ったことはないエヴァはもとより、ラーシュも剣をどう構えていいか分からないように、じっと見つめている。ウルリクがそれに気づき、持ち方を二人に教えてくれた。


「型とかは気にしなくていい。とりあえず、二人ともかかってこい!」


 ラーシュが意を決したように、剣を振りかぶって突っ込んでいき、軽くいなされる。

 エヴァも同じように突っ込んで、あっという間に剣をはじかれた。


「ふむ。素振りからだな」


 ランバルドは豪快に笑う。ラーシュは少し恥ずかしそうな顔をしている。


「なに、みんな最初は初心者だ。今からやっていれば、入団までには基礎は身につく」


 ランバルドは、エヴァの監視を目的にしているにせよ、こうしてど素人の我々二人にわざわざ稽古をつけてくれるのだから良い人だ、とエヴァは思った。少なくとも、ラーシュは入団まであと半年ほどだというし、どんな経緯であっても、プロの技がみられるのはいいことだ。そこまで考えて、ふと自分はどうだろうと思い至る。


 見習いになる13歳まで、エヴァにはあと三年と少し。


 ――――13歳になったら、自分も騎士団に入るのかなぁ。それまで男装続けられる?

 ま、今から考えても仕方ないか。


 エヴァは考えることをやめ、ランバルドに教えを請い、見よう見まねで素振りを開始した。




 2時間ほどが経った頃には、普段ほとんど運動をしないエヴァはもちろん、ラーシュも汗だくでくたくたになった。ウルリクが苦笑しながら一回休憩だ、と言い、二人は地面に倒れこんだ。


「そういえばお前たち、騎士団についてはどのくらい知っている?」

「13歳で入団できることしか……」

「僕は、全然知りません」


 ランバルドに聞かれたラーシュとエヴァは地面に座り込んだまま、答えを返す。

 その答えに軽くうなずきながら、ウルリクが説明を引き取った。


「よろしい。では最初からだな。私から説明しよう。まず、騎士団は守護騎士団と王立騎士団という二つの組織に分かれている」

「守護騎士団?」

「あぁ、守護騎士団は普段王都にいないから馴染みがないか。守護騎士団の仕事は、主に、運河と外の海から侵入してくる魔獣退治だな。エリアに合わせて、三人の守護騎士団長が率いており、団長は辺境伯として領地に着任している」

「そうなんだ」


 ここでランバルドがキラキラした顔で、口を挟んだ。


「守護騎士団長は通称守護者(ガーデアン)とも呼ばれている。もともとの身分ではなく、実力で成り上がることができるから、若い騎士たちの憧れの的だ!……まぁ、現辺境伯家の子は鍛え方が違うし、実力のあるものを養子に迎え入れることも多いがな」


 ウルリクは、成り上がりは男の浪漫だよな、と力強く訴えるランバルドをハイハイといなし、説明を続ける。


「そしてもう一つは、我々の所属する王立騎士団。第一騎士団から第三騎士団まである。王都の治安維持が主な仕事だが、王都近くの魔獣の討伐や、王族がどこかを訪問する際には事前に危険がないか確かめることも仕事だ。エディと森で出会ったのも、王族に帯同した際の治安維持活動の一環だな」


 エヴァは思い出すように頷く。


「最後に、騎士団から独立した王族直下の組織がある。王族を守る近衛だ。近衛は伯爵家以上の家からしか選ばれない。自らの志願ではなく任命されることによって配属される。以上が騎士団の組織概要だな」


 そこで、ウルリクは一度言葉を区切る。


「まず13歳になると見習いとして騎士団に入団する。見習いは第一騎士団所属だ。そして、成人する16歳まで見習いとして過ごし、17歳で自分が所属する、騎士団を選ぶことになる」

「お前たちには是非第一騎士団を選んでもらいたいものだな」


 ウルリクの言葉に続け、ランバルドが言う。

 その口元は笑っているが、目元は真剣だった。

 エヴァとラーシュは顔を見合わせる。


「まぁ、今すぐ決めろというのも酷な話だ。これから、ラーシュの入団までは定期的に稽古に来るといい。私か団長ができる限り相手を務めよう」


 ウルリクがなだめるように言って、具体的にこれからの稽古についての話になる。

 稽古は週2回、騎士団に来ることとなった。家で素振りができるように、木剣も貸してくれることになった。

 それから2時間ばかり練習してその日は解散となった。

 帰り際、エヴァはルーカスが稽古しているのを見つけたが、ルーカスはこちらを見ようとしなかった。

 しばらくじっとそちらを見ていたエヴァだが、アンナリーナに呼ばれ、アンナリーナの方に向かう。ラーシュもちゃっかりついてきて、一緒にお茶をごちそうになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ