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逃転
「はぁはぁ…」
街の人々の痛い視線と後ろから聞こえる馬や鉄の音から
必死に逃げるように走り続ける。
足は血だらけで体はもう限界
それでも1歩でも前へと力を振り絞って走った。
少しすると船が浮かんでるのが見えた
「あれに乗れば…!!」
必死に走り続ける。
最後の希望に手を伸ばしながら
「…!?」
一瞬にして目の前が真っ暗になる
全身に走る激痛
間違いない、あと少しの所で転んでしまったのだ
無理していて走っていたからか
立ち上がることができそうにない
すぐに周りの居酒屋の音より馬の音が大きくなった
すぐにでも立ちたいのに立てない絶望が押し寄せる
「ここ…まで…なの?」
「おい、囲め
良くも逃げてくれたな…
お前も両親みたいに突き落とされたいのか?」
低い声が辺りに響く
必死に顔を上げると、
周りを全て囲まれていたことに気づき
一気に全身の力が抜けた
もう逃げることは不可能だろう
「…もういい
捕まえろ」
周りにできた円が縮まって
目の前に刃物が突き刺さった
「もう…やめ」
「おいお前ら何してんだ」
「…え…」
やめてと言おうとした時誰かの声が重なった
この時代にまともな人いんのかな