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焦り
「とりあえずついてこい」
男はラビの手錠を無理やり引っ張って
部屋から出そうとした。
ラビは抵抗しても無意味なことを知っていたので
大人しくついて行った。
ふいに男の足が止まった。
ラビの目に映ったのは辺りに広がる溶岩と
今にも突き落とされそうな両親の姿だった。
そこは2段になっているようで
ラビが連れてかれたところは
ガラス張りになっている2段目だった。
案の定両親がいるのは1段目で
助けることはできない距離だ。
「やめて…はなして…」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
そちらを見ると妹のミラがいた。
「お前ら私の家族に何しようとしてるの?」
そこにいる男を睨めつけながら
低い声で言い放った。
「もうすぐわかるさ」
男はラビの態度には全く動じず軽い口調で言った。
その時だった、辺りに声が響いたのは
「離して、離して、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
誰の悲鳴…!?