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⑹『虹色の頭蓋骨』

⑹『虹色の頭蓋骨』



我々の我々、まだ、我々が地上に上がる前の昔の昔、虹は果たして、実存していたであろうか。不可思議なる幻影が、ふと、脳裡を掠めるのであるが、それが虹色だとしたら、何とも非情な、世界の形成である。我々は、虹を辿ることさえ、出来ないのであろうか、という絶望である。



虹色の頭蓋骨は、勿論、人間だけのものではない。頭蓋骨を持つ、全ての生物に与えられる、奇跡の冠だと、自分は思う。何せ、その状態が、未だ、カメラで撮られていないのだから、何処かの狂人が、頭皮を剥いで、頭蓋骨を見ようとすることだけは、避けて貰いたいのである。



そんな、遜色の無い、人類の人並みも、また、人の波の様に見え始めると、途端に、人々は懐疑して、虹色の頭蓋骨など、幻だ、と言う結論を持ち出すのである。何とも困った話であって、ペンキで塗ったら創造出来るが、ペンキを塗る前に、既に頭蓋骨だったなどということは、最早、どうでも良いことなのだ。

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