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旅への準備

「う~んと…名前は~…いや、やっぱり~…」


「なんや?もったいぶらずに言ってくれや。」

剣の名前は決まったようだが、変だったらやだな~とか考えて言えないでいる。


「じゃあ~、ノヴァで!~」


剣の名前はノヴァとなった。これからは呪いの剣改めノヴァと呼称することとしよう。


「おっしゃ!まかしとけ!」


「ワイの名前…ええやないか!気に入ったで!あんがとうな、キリヤ!」


ノヴァは喜び、鍛冶屋のおやっさんは早速鞘に名前を彫る。


「あ、ワイのステに出てくる名前がノヴァになった。」


今のノヴァのステータスはこうなっている。


ノヴァ


攻撃力17 属性 呪


スキル

呪い-装備が外せなくなって、体の自由がきかなくなる。呪い耐性が上がると緩和される


吸血-【LEVEL5】敵を倒すたびに攻撃力+2とHP回復


魔力蓄積【LEVEL3】-敵を倒すたびに剣に魔力が蓄積され、剣から魔法を出せるようになる。レベルアップで使える魔法が広がる


「名前付いたらすぐに名前変わったわ。便利やなあ。」


「ほい!名前彫り終わったぞ!あと、その銅の剣は売るなりなんなりしといてくれ。売ったとして大した額にはならんとは思うがな。」


「ありがと~う!」


キリヤは元気よく答えて鍛冶屋を出る。


「さてと、まだやることあんで。まずはその指輪がなんなんか聞きに行って、そのあとジョブをもらいに行くんや。」


「ジョブ~?なにそれ~?」


「それは後で、まずは指輪の事や。魔法道具学の専門家がいるらしいからそいつに聞きに行くで。」


魔法道具学はその名の通り魔力で動く物や、魔力の影響を受けて変異した物品を専門にしているが、人気は無く、魔法武具学の方に進む者が多いため、かなり貴重である。キリヤは話を聞きながら魔法道具学の専門家がいるという家についたが…


「うっわ!ぼろっちいなー!ホンマに人おんのか?廃墟ちゃうん?」


クソが付くほどのボロボロの家。到底人の住める場所とは思えない。少しでも強い風が吹いたら吹き飛ばされてしまいそうだ。周りはしっかりした家で、どう見ても浮いていた。扉の横のチャイムらしき物を押して呼んでみる。


「あの~、すみませ~ん…」


「反応無いな。帰るで。」


ノヴァがそう言ったとき、上の方から声が聞こえた。


「おいおい、ここにいるぞー!二階だよ。二階。」


ボロ家の二階から顔を出している若い男が手を振っている。


「とりあえず入って来なよ。お茶出すからさー!」


「おお、おったんか。じゃあお言葉に甘えて入ろうか。」


中に入ると外のボロ家からは想像のつかないほど整った研究所があった。というよりこの家全般研究所にしているのだろう。何に使うかもわからない道具がきちんと並べられている。


「驚いたかい、君たち。」

そう言いながら階段を下りてくる若い男。白衣にぐるぐるメガネ。ふざけているようにしか見えない。


「研究所を隠したくて魔法具を使っていたんだがね。少しミスってしまったんだ。なんで隠すのかって?だって無骨な研究所があったらカッコ悪いじゃないか!」


聞いてもないことまで話す若い男。君たちというところからノヴァの声も聞こえているのだろう。


「おっと、自己紹介が遅れたね。僕はソウゴ。見ての通り魔法具の研究をしている。今回はその喋る剣についてかな?だが、残念だがそれは僕の専門外だよ。」


「おお!ワイの言葉が聞こえとるんか!こりゃいいな。」


「仕事柄、喋る道具とは何回も出会っているからね。所持者にしか声が聞こえない物の声も聞こえるようになったんだよ。」


キリヤは研究道具に見惚れてぼーっとしてるのでかわりにノヴァが説明をする。かくかくしかじか。


「ふむ。その指輪、ちょっと貸してくれるかな?」


「ええで。ほらキリヤ!ソウゴさんに指輪を渡し!」


「は~い」

指輪を渡すと、いくつかの研究道具を持って戻ってきた。


「おお。ほうほう。なるほど…これはすごい…うむ。解析できたよ。この指輪は魔物と契約できるようだ。」


ソウゴによると、「契約の指輪」自体はそう珍しくない物だが、大抵はEからDランク、稀にCランクの魔物しか契約・召喚できないが、この指輪はトラップラントの膨大な魔力を受けてSランクの魔物も契約できる上、Sランク以下の魔物と契約したならもう一体だけ契約できるそうだ。AランクとAランクの掛け持ちもできるのは相当強力である。


「ほ~Sランクの魔物はそうそういいひんけど仲間にできたらええなあ。てかこの指輪むっちゃレアやろ。ワイらが持っててええんか?」


「ああ。間違いなく国宝級だ。多分研究ギルドもただの契約の指輪としか思ってなかったのだろう。魔法道具学は人気が無いからね…」


少し寂しそうに答えるソウゴ。本当に魔法道具学は人気が無く、魔法道具学を選ぶ人は魔法系全体の約5%ほどしかいないそうだ。


「んなありがとな!指輪の事わかって良かったわ。また来れるときに来るわ!」


「もう行ってしまうのかい?止めはしないが。」


「ほらキリヤ!お礼言わなあかんやろ!」


「んあ、ありがと~」


ぽけーっとしてる暇はないのでさっさとお暇するキリヤ達。次に行く場所は教会。キリヤにはまだジョブが付いていないのでもらいにいくのだ。宗教は三つに分かれて争ってるらしいが…今日来たのはそのうちの一つ、神教の教会である。所謂神を信仰するとか。ジョブの付与もしている。


「ここが教会なんやけど…なんかワイ体がヒリヒリしてくるんや。やっぱ行くのやめよかな。」


体の違和感を覚えながらもノヴァとキリヤは神父さんのお話を聞く。まとめるとこんな感じ。まず、能力をチェックしてどう向いているか調べる、そしてジョブを神から授かる。

ジョブの加護をうけて強くなる。ということらしい。


「では少し覗かしてもらいますぞ。うむむ…これは!」


神父は頭からつま先まで真っ青になってしまった。青すぎて足元の深紅の絨毯まで青くなったと錯覚するくらいに。しかもキリヤ達の問いかけに全く答えなくなってしまった。仕方ないので宿に戻った。


「あ!やってもーた!宿代稼いでない!うわあ!どーしよ!」


「あ~ほんとだ~。お金ないね~」


「あら、お金無いのー?」


宿屋の店長ギリアラはこれはチャンスだと思い、キリヤに提案をする。


「だったら私を仲間に入れなさい。そしたら宿代はチャラにしてあげるわよ。」


ちょっと無理があるが、これが成功すれば計画の第一段階はクリアとなる。キリヤの回答は…


「でも~…お店は?」


「ああ…いいのよ、経営としてはギリギリ黒字になるくらいだったから。それに子供だけじゃ危ないでしょ?旅に出たことは無いけどきっと役に立つわよ?」


なんで自分たちが旅をしようと知ってるのかはノヴァだけが疑問に思った。


「じゃあ~仲間になってください!」


これを聞いたギリアラは思わずガッツポーズをしてしまった。心の中でだが。

ここで計画の全てを説明しよう。まずキリヤの仲間になる。そしてじわじわとギリアラの魅力を伝える…というわけだ。言ってしまえば自己満足の自分勝手。

そんなことも知らずに喜んでるキリヤを、少しながらギリアラはかわいいと思ってしまった。


「とりあえず部屋は昨日と同じでいいわね?はい、鍵。」


―部屋にて

「なんか怪しいけど鑑定のスキル持ってるみたいやしギリアラを仲間にできたんはでかいで。」


「そうかな~?ただの優しいお姉さんだと思うけど~?」


「まあええわ。明日から旅が始まんねんで。どっか行きたいとこあるか?」


「う~ん…ない!いいところはノヴァが教えてよ~」


「しゃーないやっちゃな…ま、ワイもどれくらい世界が変わったんか見れるし…ええんかな?」


意外と、自由気ままな旅はキリヤに向いているのかもしれない。旅の先々での出会いや別れなどを行き当たりばったりで経験するのは、無垢なキリヤにはいい刺激かもしれない。仲間を一人増やしたキリヤは本格的な旅を始める。


友達の呪いの剣と仲間と共に、自由気ままな旅を。

一応タイトル回収でしょうか。少し早い気もしますが、キリヤ君を旅に出します。どうか、今後も温かい目で見守ってください…

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