開眼!成長!呪いの剣!
「お、スキルと名前も変わっとるな。」
タタリノツルギ ノヴァ
攻撃力87 属性 祟り
スキル
呪い-装備が外せなくなって、体の自由がきかなくなる。呪い耐性が上がると緩和される
吸収-【LEVEL1】敵を倒すたびに攻撃力+4とHP回復
魔力貯蔵【LEVEL1】-敵を倒すたびに剣に魔力が貯槽され、剣から魔法を出せるようになる。レベルアップで使える魔法が広がる
タタリイチシキ スベテヲノロウ。
「うっわ物騒なスキル!あんまり不用意に使えへんなあ…」
「おい!僕を無視するナ!…まあいい。呪いが効かないなら直接流し込めばいいのサ!」
左手で杖を持ち、右手で上部を掴む。そのまま引いていくと、美しい銀の刃が躍り出た。
「まさか剣を使うことになるとハ…敵ながら感心するヨ…でもそれも終わリ!」
宝玉部分に左手を添えて思いっきり踏み込んだ!このまま刺突するつもりのようだ。しかも刃に魔力が帯びる。
「呪術 裂傷!これは痛いよォ?内側から抉る様に斬撃が続いて楽には死ねないからねェ!」
ポケーっとしているキリヤの腹に狙いを定めた刺突は肌を食い破り、強烈な呪いを流し込んだ!はず。
「なんかチクっとしたけど~、これだけ?」
「な、なぜだ!ありえない!あ、剣が…」
バキ!と音がして銀の剣が折れる。キリヤの被害はチクっとしただけ。トカゲと竜ほどの差である。
「フッフッフ…僕をここまでコケにしたのは君だけだったよ…名前だけは聞いてあげよう。」
舐め腐った話し方を捨てて真面目な口調になる。
「ん~?僕はキリヤ・ミラージュだけど?」
「言うなや!敵に情報渡す奴がどこにおんねん!」
叱責している間、アンコウの様子がおかしい。信じられないという顔だ。
「貴様、今、ミラージュと言ったな…?」
「なんか嫌な予感がするで…」
刃の折れた杖(上)を鞘に戻し、ローブの中から丸まった古びた紙を取り出し、その紙を開く。
「魔法紙、魔翼。」
翼のように広げられた魔力を羽ばたかせ、明らかな撤退の意思を見せる。
「なんか逃げられたらヤバそうや。しゃーないし新スキル使ってまうか。はよはよ。逃げられるって!」
「え~、でも使い方わからないし~」
「まあ今までは自動で発動してたからな…つーかどうやって発動するんや?まー、タタリイチシキ 展開って言ってみよ。」
「え~っと…『タタリイチシキ 展開』」
まるで別人が出したかのような声が出た。キリヤの声よりも低く、声からして20年は歳が離れていると推測。で、タタリイチシキの力は…
「!?翼が!てか体が重―」
言い終わらぬ内に翼が霧のように消え失せ、本人は真っ逆さまに落ちてゆく。
「大丈夫~?キリヤ~!こっちは片付いたわよってヤバ!」
「キリヤ殿~!うっ、今までとは比べ物にならない…!」
今まで魔物を殲滅していたギリアラとシラクスが血まみれで玉座の間に飛び込んできた。擦り傷多数なだけで、大きなケガはない。
「かっは!ケホ!ケホ!く…るし…」
地面に激突したアンコウは喉を押さえてのたうち回っている。
(くっそ!肺に…空気が入ってこな…い!)
タタリイチシキの能力で強力な呪い、もしくはそれ以上のナ二カがキリヤを中心として渦巻いている。効果としては、だいたい激しい呼吸困難、極端な疲労、強力な魔力制限といったところだろうか。範囲は狭いものの、暗行がやったように相手を弱体化させて有利に立ち回れるかもしれない。
「うう…なんか気持ち悪い感じのするものがキリヤから出てる…」
「まあまあ離れてるのに息苦しいぞ…いろんな魔術を見てきたがこんなの初めてだ。見たところ彼に近づくにつれてこれは増すようだが…!」
えげつない威力の呪いこそがタタリ(祟り)なのだろう。ノヴァの呪いが成長することによって、キリヤに影響があるのかは不明。
のたうち回る暗行へ近づくキリヤ。顔は苦痛で見るに堪えないことになっている。生き地獄がこれほど合う光景は見たことない…
「キリヤ、情報持ち帰られん内に首撥ねとくぞ。できるか、キリヤ?」
「…やってみる。」
「ケヘ!カハ!ゴヘェ!(なんという重圧…!僕以上の!クソ!やめろ!剣先をこっちに向けるな!)」
「…セイ!」
(おのれェェェェ!キリヤ・ミラージュゥゥゥゥゥ!!!)
―バス!アンコウは首を切断されて息絶えた。その目には彼の人生で一番の憎しみが込められていた。途端、王国にかかっていた呪いと、キリヤの呪いの重圧が解ける。
「…やったか。しっかしな~んか既視感が…ミラージュ家についても知ってるような反応だったし…」
「気のせいじゃな~い?」
「そーかなぁ…」
一方、惨たらしい光景にやや眩暈を感じ、閉口しているギリアラ。できることは首から流れ落ちる血がノヴァの方へ吸われていくのをただただ眺めるのみ…シラクスはというと、あまり見ないようにして何かを探しているようだ。
「父上ー!どこですかー?助けに来ましたよ!」
「…あ、呪いが解けたからかしら?この城の地下から、生気が強くなった気が…?」
「地下牢か!しかし閉じ込められてるなら鍵が…」
「鍵ならこれの服の下にあったよ~?」
キリヤが首のない死体の服を躊躇なく引っぺがして鍵を見つける。キリヤは金になりそうなものを探しているついでに見つけたのだろう。杖は砕けて使いものになりそうになかった。
「ああ、父上…どうかご無事で…」
(アンコウに逆らったから投獄されたんだろうな~)
(お城壊しちゃったな~)
(シラクスの父さんやから王なんやろうな~)
三人とも全く違うことを考えながら地下牢に続く石造りの道を歩く。そして牢屋の真ん中辺りでボロボロの布切れを纏った夫婦がいた。そう、この国の王と王妃である。
「シラクス!シラクスなのですか?よかった…逃げることが出来たのですね!」
「シラクスた~ん!パパ心配したよ~!ちゃんと強い冒険者たちをつれてこれたんだね~!」
シラクスを見るなり超大泣きし始めた夫婦。とりあえず二人を解放し、その他国の主要人物や兵団を救出した。不思議なことに数名の行方不明者以外生存していた。また、今は兵士達に民を救出させている最中である。
崩れた王座に座る王、その横に王妃、正面のキリヤ達という構図で話をする。身分が王であること、シラクスが王子であること、
「まあ…これは建て直しが必要ですわね…」
「むう。すまない旅人…本当は2億くらい出したいところだがな?国を復興させるのに余裕がなくてだな…」
「ていうか~、シラクスって王子だったんだ~」
「し、知らなかった…」
(アホやなあ…わりと王族オーラ出とったで…)
どうしたものかと悩んでいる王が一言ぽつりと漏らした。
「不死鳥様が来てくだされば…」
「そうねえ…しかしあなた。そんなにうまいことはいきませんよ。あの方にはなるべく頼らず繁栄・復興させるのが昔からの誓いでしょう?」
「そ、それはそうなのだが、民は呪いで衰弱しきっている!指を咥えて見ているわけには…!」
二人が険悪になり、シラクスがなだめようとしたとき、ギリアラがある異変に気づく。
「…なんか暑くない?気のせい?」
「ん~?そういえば暑~い。」
玉座の間を超えて国全体が熱気に染まっている。王や王妃はすぐさま外に出て外を狂ったように見回す。だんだん街外れのやたら高い山から、夕暮れのような光がこちらに迫ってくる。
「「不死鳥様が…来てくださった…!」」
次話はキリヤが暗行と戦ってる間のギリアラ達を書こうと思っています。短くなりそうですね…




