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短編

超健全VRゲーム

作者: 相浦アキラ
掲載日:2021/01/20

(内容は健全ではありません)

「おいケンジ。新作のVRゲームやろうぜ」


「何てタイトル?」


「ユニバースオンライン。略してユニオン!」


「あれ買ったのかよ姉ちゃん。それネットでクソゲーとか叩かれてたぞ」


「ネットの評価とかアテにならねえよ。それに他のVRゲームは全部サービス終了しちゃったし」


 法改正でフルダイブVRゲームがガチガチに規制されて、半年になる。

 色々と事件が起きたり、VRゲーム内で変態行為を働いたりする輩が出て社会問題になったせいだ。

 鹿児島デスゲーム事件とか、ワドワル洗脳事件とかもニュースになってたな。

 まああれだけ問題になれば規制されるのも仕方ないが。

 しかし……


「……あんだけガチガチの規制をよく擦り抜けられたもんだな。そのゲーム」


「あまり期待はすんなよ」


「まあ……俺も久々にVRやりたいとは思ってたけど」


「よっしゃ! じゃあやろうぜ!」


「おう。待ってて」


 自分の部屋に戻ってヘッドギアを取り、姉ちゃんのベッドに座った。


「いくぞケンジ! スタート!」


 暗闇に落ちて行く感覚。懐かしいな。この感じ。


 ユニバーサルオンライン、とカタカナのロゴが出て来た。

 何かフォントが丸っこくてしょぼい……。


 まあいい。キャラメイクだ。


 名前はいつも使ってるコンチマタンキ。


「エラー。卑猥な単語が使用されています」


「はぁ!?」


 仕方ないので、リーゲーコンウにする。


「エラー。卑猥な単語が使用されています」


「何だよこれ! クソゲーだろ絶対!」


 もう知らねえ。適当に「ふぇおら」でいいや。


「エラー。卑猥な単語が使用されています」


「何なんだよもう! どこがだよ!」


 開き直って、「大真面目太郎1192」にしたらやっと進めた。

 クソ……覚悟していたとはいえ規制がきつすぎる。


 続いてのキャラメイクも、全然面白くなかった。

 いくら頑張っても精々フツメンのおっさんにしかならない。

 極限までキモ顔のおっさんでプレイするのが俺のポリシーなのに。


「絶対クソゲーだなこりゃあ」


 やる気が失せながらも、適当に設定していく。

 クラスは戦士でいいや。

 ……よしこれで完了。


「同時接続有線プレイヤー『清純派杉子48億歳』さんのエリアに転送します」


 どうやら姉ちゃんも、俺と同じ苦渋を味わったらしい。


 光に包まれ、気付いたら中世ヨーロッパ風の村に立っていた。

 前評判が最悪だったせいか、全然人の気配は無い。

 あ……姉ちゃんいた。


「ケンジ。……お前どうしたんだよ。全然キモくねえだろ」


 はあ?


「……姉ちゃんこそ何だよそのおっぱい。Gカップくらいしかねえだろ! いつも超乳にしてるだろぉ!?」


「Gまでしかできなかったんだよ! やっぱクソゲーだわこれ!」


「マジかよ。俺も全然キャラメイクでキモくできなくてさあ。ほんとクソゲーだな……早くGE〇にでも売ってくれば?」


「待てよケンジ。クソゲーにはクソゲーなりの楽しみ方ってのがあるだろ?」


「はあ?」


「禁止ワード言ってみろ」


「――――」


 覚悟はしていたが、規制のせいで声が出ない。


「雑魚過ぎだろお前! 聞いてろよ……! スゥウェエエエエックス!」


 おお……すげえ!


「姉ちゃん天才だろ!」


「当たり前だろ! お前も言ってみろ!」


「スゥウエエエ……あ……駄目だ出ない」


「下手だなお前! こうやんだよ。スゥウェエエエエックス!」


「スゥウェエエエエエックス! おお! 出来た!」


「やるじゃねえかケンジ」


 やばい……


「……なあ姉ちゃん」


「ん?」


「なんか逆に楽しくね?」


「私も思った! もっと色々やってみようぜ!」


 姉ちゃんもウキウキになっている。

 それにしても……普段より小さいとはいえ、十分巨乳ではあるな。


「姉ちゃん。いつものおっぱいプルダンしてくれよ!」


「悪いけどやる気出ねえよ。この――じゃなかった……うぉっぷぅあぁい固くって全然揺れねえんだよなあ」


「マジで? 触らせて……うわっ!」


 何か見えない壁がある。


「ケンジ。何かいいアイディアねえか?」


「……いい事考えた!」


 俺は民家の庭に勝手に入り込んで、落ちてる木の枝を回収して戻った。


「姉ちゃん。一回うぉっぷあいプルダンしてくれ」


「いいぞ」


 姉ちゃんが高速でスクワットをしてくれた。

 当然おっぱいは揺れない。

 しかし俺の狙いはここからだ……!


 すかさず木の枝を指でつまんでユラユラしさせ、目の前に掲げる。

 姉ちゃんの揺れないおっぱいの下部分が、木の枝のお陰でグニャグニャ揺れてる感じになった!


「姉ちゃん! すげえ! 揺れてるぞ!」


「マジか! お前天才だろケンジ!」


 それから、ノリに乗った俺と姉ちゃん。ギリギリを攻める変態行為を思いつく限り楽しんで行った。


「見ろ! このハンドサイン! マイナーだけどウェルォい意味なんだぞ!」


「マジで!? すげー!」



「この切り株に座ったらウゥムゥクォしてるみたいじゃね?」


「マジだ! 俺もやる!」


 そんな感じで、何となく港町に向かっていると、


「ケンジ! 何かモンスターが出たっぽいぞ!」


「おっしゃ! 戦うぞ! って……動けねえ!」


 と思ったら手だけ動く。

 ……なんか攻撃コマンドボタンが出て来た。

 押してみる。


「うわっ! 体が勝手に!」


 俺の体が勝手に動いて、スライムを切り裂いて倒していた。


「姉ちゃん……体が勝手に動いたぞ! やっぱクソゲーだな!」


「VRの意味ねえだろ! ほんとクソ過ぎるだろ……ウケるわ……!」


 散々に笑い合った。

 クソゲーだけど、心の底から楽しい。この感じ久々だ。


 それから俺達は、適当に進んで港町に辿り着いた。


「必殺! うぉっぷあいプルダン!」


「くらえ! グニャグニャ枝!」


 飽きもせずにずっと遊んでいると、おっさん二人組が目についた。

 初めて他のプレイヤーと出会った気がする。

 ……何か話してる。


「最悪やなあ。このゲーム。クソゲーオブザイヤー取れるやろ絶対」


「ほんっと。自由度も全然ないし、戦闘もクソだし」


「あの……」


 俺は思い切って声を掛けていた。


「ん? 何だ?」


「俺達とウェルォい事して遊びませんか?」


「……なんやそれ……面白さそうやないか!」


 おっさんは二人とも最高に面白い人だった。

 しかも二人ともモールス信号に詳しかったので、エロいモールス信号を教えてくれた。


「トントンツー! トントンツー!」


「ガハハハハハ! 大真面目太郎さん! 面白いなあんた!」


 やがて、噂を聞き付けてサーバー中から人が集まって来た。

 俺と姉ちゃんは脱法エロの第一人者として、一気に有名プレイヤーになっていった。


「大真面目太郎さん! アレ言ってくれよ!」


「スゥウェエエエエエックス!」


「スゲーっす!」


「まあねー!」


「おいケンジ! 私が最初に言ったんだぞ!」


「マジっすか!? 清純派杉子さんもお願いしまッス!」


「スゥウェエエエエエックス!」


「うおおおお! これが元祖スゥウエエエエックス!」


 港町は脱法エロ祭りで大盛況になった。

 やがてキモ顔キャラメイクコンテストや、うぉっぷあいプルダンコンテストまで非公式に開催されだした。


 そして始まったうぉっぷあいプルダンパレード。


「うぉっぷあい! うぉっぷあい!」


 みんな楽しそうで何よりだ。

 俺と姉ちゃんも木の棒でおっぱいを揺らしたり、適当に踊りながらパレードに参加する。


「なあ姉ちゃん」


「何だよケンジ」


「このゲーム楽しいなー」


「本当だな。初めてケンジとVRゲームやった時も、こんな風に夢中で遊んでたっけ」


 ふと、リミットタイマーが、ピピピと頭に鳴り響いた。


「……そろそろ帰るか。姉ちゃん」


「うん。また遊ぼうな。ケンジ」





 ……俺達は二度とあのゲームを遊ぶことは出来なかった。

 利用規約に引っかかって永久BANされてしまったんだ。


 あれからユニオンでは、偽装エロワードやうぉっぷあいプルダンも規制されてしまったらしい。

 ユニオンは名実ともに、健全極まるVRゲームになってしまったのだった。


 でも楽しかった。

 あの日の事は、多分一生忘れないと思う。


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― 新着の感想 ―
[良い点] うんこんなVRゲームはクソゲーです。 マン湖に沈めてしまったほうがいいとさえ思えるのですが、 しかしっこの姉妹は正しく楽しんでしまえる才能の持ち主。 ガチンコに超健全な快感に思わず何度も声…
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