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血を斬れ、勇者よ
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「なっ… 子供…!!」
音の方向にいたのは1人の少女だった。
服には焦げ跡、金色の髪は焦げたせいかボサボサになっている。
だが、青年にはその状況が不思議でならなかった。
「生存者はいないはずだ…」
巨体を持つ男、小柄な子供や老人、妊婦や病人でさえも、1人残らず惨殺されたこの村に生存者などいるわけがない。
子供なら尚更、生存確率は0%に等しい。
『意図的に殺されなかった』場合以外は…
「罠か…」
「ジュガガガガガガガガガァアアアア!!!」
背後から聞こえる人ならざる声。
青年は勢いよく腰を回転させる。
「ジュがガガガがガァアアアアアア!?!!?」
青年は劔を鞘から抜き出した。
ドバァアアアアアアア
血の雨と共に魔獣兵の頭は地面に転がる。
「スネークの魔獣兵か… 道理で、首が斬りやすいわけだ…」
青年は血で染まった劔を川に投げ込む。
そのまま目の前の少女を抱き抱え、川岸に向かって歩みを進めた。