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 まぶしい光に包まれて、目を開けるとそこには明らかに豪華に飾られた中世の城の中みたいな場所に立っていた。


「よくぞまいられた異世界の・・・」


「ヒャッホーーーーーーー」


 思わず歓喜の声を上げてしまう。だって異世界召喚だよ。剣を振り回して魔法を行使して世界を救っちゃおうZE☆的な。テンション上がるだろう。何より仕事しないで済むしね。


「あの・・・勇者そろそろよろしいか」


「あ・・・どぞどぞ」


 歓喜に身を任せてたところを王様っぽい人を含め大多数の人に目撃された。やばい、恥ずかしい。恥ずかしさのあまり冷静な思考が戻ってきた。目の前にいる王様は年取ってるのに凛々しいな。日本にはなかなかのない彫の深い顔とか。映画とかでは見るけど実際に見るのとでは全然違う。参考になるな。隣にいるのは王女様かな。すっげ可愛い。人形みたいな端正な顔立ちでって・・・まじまじ観察して王様の言ってることは耳に入ってなかった・駄目だな。休暇になったというのに職業柄の悪い癖だ。


 俺の名前は広瀬裕也。職業漫画家27歳。羨ましいって思う人がいるかもしれないが。ちょいマイナーな月刊誌で連載している作家で。その中でもとりわけ人気っていうレベルではない。その癖担当は鬼で、ここ数年休暇って何?って感じだ。まぁ、そのおかげで俺なんかでも連載していけるのだから感謝はしているが。さすがに休暇がほしい。以前アマゾンにまで逃げても追っかけてきたから今度は北極でも目指そうかと旅のプランを考えていたところに。女神に出会った。比喩的な表現じゃないぞ。本当の女神が玄関のチャイムを押して。異世界に興味ありませんかって言ってきたんだ。そりゃもう飛びついたね。ここでなら絶対に追っかけるのは不可能だと。


「勇者よ。勇者よ聞いておるか?」


 王様が心配そうに聞いてくる。いけない、また自分の世界にとんでしまった。

「あぁ、聞いてますよ。魔王を倒してくればいいんですよね」


 本当は聞いてなかったんだが。まぁ、女神さまから簡単な話は聞いてるし。元中堅ネットげープレイヤーの俺が命は大事にプレイスタイルでいけば大丈夫だろう。


『・・・が・・・すか』


「ひっ」


 突如地獄から轟くような声が耳に入って。俺は反射的に悲鳴を上げた。


「どうかしたのか勇者?」


 良かった幻聴か。周りには何も聞こえてないようだ。俺としたことがあの声がトラウマレベルまで刻み込まれてるようだ。


「いや、なんでも・・・」


『見つけたぞーーーーー』


 今度ははっきり聞こえた。その瞬間空間に亀裂が走る。


「なんじゃ?今の声、そしてこの魔力魔王の仕業か?」


「全員勇者様を護れ。この世界の希望だ」


 周りのどよめきがこの声が現実であると告げる。


「うわぁぁぁ」


 魔王なんかでではない。それよりももっと恐ろしいもの。亀裂から細くて綺麗な指が、まるでエヴァがATフィールドを破るみたいに空間をこじ開ける。


「あんな中途半端な休載など認めると思ったのかヒロセェェェェェ」


 担当佐山香織が異世界の壁を越えて地獄へと連れ戻しに来た。さよなら、俺の異世界ライフ。


皆さん読んでいただきありがとうございます。この小説は二話完結ですが。ブックマークや評価の量に応じて話が増えます。どんどん増やして俺が書くネタ無いよぉぉぉと泣かしてみてください。

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