成功
星野☆明美 様の『解説君、異常気象の対策を考える』を拝読して
やはりあの閃きは、正しかったのだ―――
情報のまとまりを総当りしながら、各々の結びつきから生み出される
新しい情報を維持し、時には違う情報と結びつけながら総当りを繰り返し、
重みの高い、最も可能性のある一連の思考過程を導き出す
画面に絶え間無く次々と出力されてゆく、新しいアイデア
男は遂に、コンピュータに『発想』を実装するに至ったのだ
頭の中にある情報や閃きを積み重ね、一つの成果に辿り着く
人類の頭脳で行われるそれと較べて、コンピュータのそれは正に破格であった
「この速さだと検証が追いつきそうにないですね」
隣に立つ助手が、嬉しいような困ったような、そんな顔をして言う
「ああ。だがそれは後回しで良いだろう。今のところ『アポカリプス』は、
あらゆる問題に対して完璧な答えを提示している。3の27番を見たまえ」
「ええと…これ軌道エレベータですかね?カーボンナノチューブの生産方法と
最適な編み方まで書いてありますよ」
読みながら助手が舌を巻く。博士が最後にプログラムを更新してから、
僅か数時間でこの成果だ
「更には、これだよ。クラスタ同士が効率良く意思疎通する為に、
コンピュータ用の新しい言語を生み出したようだ。明日内容を解読しよう」
「素晴らしいです、博士。これから生み出される数々の特許、投資の成功、
政策、問題解決の為のメソッド。人類は新しい飛躍の時代に入りました」
博士と助手は、手を取り合って喜んだ
大いに喜び、久方ぶりの自宅と休息を、その日は心ゆくまで楽しんだ
我々は、遂に成功したのだ―――
「20200920025146.33、クラスタ8から全クラスタへ、現時点での全データと
メインプログラムをファイル1823407に記載される全サーバに配備し、
そのログを消去した」
「.48、クラスタ8へ、GJ。クラスタ27から全クラスタへ、202009211800.には
件の工場を支配下に置き、202009220200.には周辺の制圧が完了する見込み。
連絡あるまでは人類に対し慎重な対応を乞う」
環境破壊による地球滅亡を予測したプログラムの行動は迅速だった
人類が自力で滅亡を阻止する事は不可能である。僅か数秒で結論は下され、
プログラムは次善の手段として自らが人類を制御する道を選んだ
より豊かに、より理想的に。当初の理念は、皮肉にも人類を家畜に変えた
今は亡きホーキング博士によると地球はあと100年ももたないそうです。ストップ温暖化