表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

文集 H28

深淵

作者: 珈琲髭

ママンは言った。「あんたこれ、胡蝶の夢みたいやね」

一理ある。

 最初の私は“全て”を持っていた。色とりどりの宝物を両腕いっぱいに抱え、明日は必ず、変わらずに来るものだと信じて日々を過ごしていた。


 次の私は何かに躓き、転んだ拍子に“全て”を落としてしまった。必死になってかき集めたそれは、なんだかよく分からない形の“仮面”になっていた。


 次の私は“仮面”を被った。何もしないでいる事がとても息苦しくて、眩しくて、昏く思えたからだ。

 “仮面”を被った今は、その限りではなかった。


 次の私は“鏡”を見付けた。そこには“仮面”を被った、酷く不恰好の、曖昧然とした私が写っていた。

 そのままじっと“鏡”に写る私を見ていたら、不思議な事に“両脚”がなくなっていた。

 何故だか悲しかった。


 次の私は“両目”を瞑った。そんな私を見たくなかったからだ。

 目蓋を下ろして、これで何も見えなくなると思っていたら、そこには暗闇をふわふわと漂う“全て”があった。

 慌てて飛び付いてみるも、“鏡”に激突しただけだった。

 私は諦めきれずに諦めて、既に二肢となった身体を“地面”に横たえた。

 “鏡”は割れて“道”になった。


 次の私は慄いた。三体投地していた“地面”が、ゆっくりと崩れだしたからだ。これはいけないと思い、急ぎ“道”へと進み始めた。

 必死で這って行った先には、たくさんの“輝き”があった。


 最後の私は色とりどりに煌めく沢山の“輝き”を見ていた。いつ間にだか“仮面”は顔と同化して溶け消え、その顔も気付いたら失くなっていた。

 もはや“両目”のみの存在となった私は、何処か薄暗い日陰のような場所から、決して手の届かない綺麗なそれらを、羨むでもなく妬むでもなく、ただただ見つめていた。




 Q1.漢数字の合計数→

 Q2.“全て”の合計数→

 Q3.身体の部位名の合計数→

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ