ジャングルの中のテント
ブリュム・ニュアージュ島の裏側のジャングルにたくさんの人間が集まっている。セレスティン海賊団の海賊達がテントを張るためだ。
その一角に、子供だけが集まっている場所があった。訓練生達用のテント張りだ。しかし、もう彼是一時間以上かかるのに、全然進んでいない。
「もうっ!!!なんでこんなに不器用なの!あんた等!」
キルアが苛々と男子を叱りつける。臆病なカイがびくりと体を震わせ、リンヤはぷいとそっぽをむく。キルアの後ろではポポがおろおろとどうしよう、とあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。
本来、このテントは30分か40分で組み立てられるはずなのだが、いつもふざけるリンヤのストッパー役のティカが、兄であり、船長でもあるジルヴァに話があるという事で30分ほど前から出かけている。というわけで、笑顔でありながら、恐ろしい殺気を放ってくるティカを恐れるリンヤはこれ幸いと遊び始めたのだ。そして、普段は軽く注意するくらいであまり何も言わないキルアがブチギレしたのだ。そして現在に至る。
そのころ、大きなテントの中でも一際大きいテントに、ジルヴァとティカはいた。
「成る程、この島に、な」
「ええ。確かに気配を感じました。それに、近くに停泊していた船に忍び込んでみましたが、船内には明らかに海上兵と思われる人間たちが居ました」
きゅっ、とティカが猫のように目を細めた。この島にいる事での危険性について考えているのだろう。
「それに・・・」
ティカはテントの天井を見つめた
「ここにいる兵士達はかなりの猛者達です」
その言葉に、さっきティカがやったようにジルヴァもきゅっと目を細めた。そしてふうっと息をつくと、ティカの後ろにある窓代わりの穴に目をやった。
その視線の先をティカが目で追うとああ、といったように呆れたように三つ編みにした白い髪の毛の先を引っ張った。ふとしたときに見せるティカの癖だ。
くすくすとジルヴァが笑った。ジルヴァの視線の先にいたのは、ティカの訓練生仲間達だった。怒るキルアとおろおろするポポ。そして怒るキルアにギャーギャーと屁理屈をこねるリンヤ。その横ではカイが半泣きになりながら、真面目にやろうよ、とリンヤに説得を試みている。
「テントを張るのも一苦労だな。金がかかるから宿をとるのは嫌だと宿代をケチったのは駄目だったか」
可笑しそうに酒を一口飲むジルヴァに、「いいえ人数が多いから仕方ありません兄様」、と一言言ってから失礼します、とズカズカと大股で歩き出した。
あの調子ではかなり怒っているだろう、と思った矢先
「ぎゃあああああああ!!!!」
というこの世の終わりような悲鳴が聞こえてきた。きっと拳骨の一発か二発でも食らっているのだろう。もう一度窓代わりの穴をみる。予想通り見えたのは、ぐったりと地面に倒れるリンヤと、リンヤを放置しさっさとテントを組み立て始めるその他訓練生たちだった。
風にのって、にぎやかな町の人々の声が聞こえてきた。




