モーニングコールはおばちゃんの鉄拳
重たい金属―――剣と剣同士のぶつかり合う音が甲高く響く。耳の奥でしつこく木霊するその音は、なんどもなんども繰り返され、一種の音楽のようにさえ感じられる。
大男が降り下ろした大振りなサーベルをダガーで受け止める。体格の差もあり、腕がジンジンとしびれる。しかしスピードではこちらも負けてはいない。体を反らし、相手の懐に潜りこむ。動きについてくる事のできなかった男は目を剥く。しかし待ってやる程親切でも甘くもない。ダガーは深く肉を抉った。
勝負あり
「こが、ッア、」
真っ赤な血を吐き出し倒れる相手。死への恐怖と痛みに表情が歪み、びくびくと痙攣し、糸が切れたかのようにくったりと動かなくなった。さっきまであれほど自分を手こずらせていたのが冗談のようだった。
「セレスティンを舐めんじゃねエ!!!」
高笑いをしながら吐き捨てた少年は、男の体に刺さったままのダガーを引き抜いて血を払う。固い地面にほんの微かな音立てて血液が染みをつくり、地面に染み込む。
ゴッ!!!!!!
頭に重い衝撃が走ると同時に意識が覚醒する。それと同時に今までの出来事が夢だったのだと理解し、のろのろと起き上がる。ぼんやりと重たい頭に鈍い痛みが走る。
「何してんだい‼訓練の時間だよ‼」
おばちゃんの声が脳にガンガン響く。
なんだ訓練か…
「え、訓練?」
ぱちぱちと瞬きを繰り返した後、ふと我に返る。
「ぎゃあああああああ!!!!!」
「ヤバいヤバいヤバいヤバい訓練だああああ‼しかも今日の教官はドルン教官じゃん?!」
少年はわたわたと準備をして部屋を飛び出した。




