愉快な仲間達2
ロズの発言の後、リクはあっさりとロイを探す事を承諾してくれた。しかしそこで全員寝間着のままだという事に気付き、着替えやら何やらをしてからもう一度集合という事で一旦3人は別れた。
ティカは急ぎ足で女子訓練部屋に戻ってきた。ロイが行方不明になってから、少し時間が経ったとは言え、まだ早い時間なので寝ているかも知れないポポやキルアを起こさないように、古びた大きな木製のドアをそっと開ける。
「ティカ!」
いきなりかけられた声に、ティカはびくりと身を震わせた。どうやら二人とも起きていたらしい。少し怒ったような顔のキルアと困った顔のポポがベッドの一段目に腰掛けている。
「もう!眼が覚めたらベッドが空っぽだからびっくりしたんんだからね!」
口調こそ怒っているものの、心配してくれていたらしいキルアに頬を緩ませる。書置きくらいするべきだったかと思いつつ表情を引き締める。
「一大事だ。二人とも。」
いつもはニヘラニヘラと考えの分からない表情をするティカに二人は何事だ、と顔を見合わせた。窓から、ゆっくりと夜明けの光が薄暗い部屋に差し込んできた。空中を舞う埃が光に照らされてキラキラと輝いている。
「ロズって奴がいるだろ?」
「うん・・・ロズさんってあの・・私たちのひとつ年上の?」
「そうだ。んで、その人の弟・・・ロイが行方不明だ。」
「えええええっ?!」
キルアが大きな黒い眼を更にいっぱいに見開き、大きな音を立てて椅子から立ち上がった。ポポも珍しく険しい表情をしている。
「大変じゃないの!」
「ああ。だからあんたらにも探すのを手伝ってほしいんだ。」
「もっちろん!!!」
ねえ、とキルアがポポの方を向くとポポもきゅっと表情を引き締めて頷いた。ポポには妹と弟がいる。おそらくロイをその二人に重ねたのだろう。
「ねえ・・行方不明ってその・・・誰かに攫われたってこと・・・?」
ポポが険しい表情のままティカに訊ねた。ポポの問いに、キルアははっとした表情でティカを見つめた。
「まだ何も分かってないんだ。侵入者か・・・・それとも――――――」
二人はその先をティカが言わなくても理解した。このセレスティン海賊団に裏切り者が居るという事になれば、ジルヴァはどうするだろうか。普段はへらへらしているが、あれでも海の荒くれ者を束ねる長だ。面子や体面を異常なほど気にするのは当たり前の事。攫った者はおそらく潰す(物理)だろう。もしくは恐ろしい拷問にかけられるかも知れない。それが海賊というものだ。
ティカはふっと笑うと椅子から立ちあがり、すたすたと部屋から出て行った。ティカがドアを開けて出て行ったとき、小さな声で「ありがと・・」と言ったのはキルアとポポだけの秘密だ。
「よしっ、メンバーは集まったな?」
ティカはぐるりと揃ったメンバーを見渡した。ティカが連れて来たのは、キルア、ポポ、リンヤ、カイ。ロズが連れて来たのはリク、ブルーノ、リフェ、パウル。・・・なんだろう、メンバー濃すぎだろ・・・
「さーて、探しに行こう」
ティカが淡々といいながら、紙を破いて何かを羽ペンで書き出した。
「なんだ?それ?」
船大工用に支給される手袋を脱ぎながらパウルがティカの持つ紙を指差す。周りの皆もそうだ、というように頷く。
「ん?これはクジだ。さっさとメンバー分け済ませてさがさねえと」
そう言うとん、とクジを差し出した。
「さーてさっさと引けい!」
「んで・・・どういうメンバーだ?」
「えーっとだな――――」
・ティカ&ロズ&リク&パウル
・キルア&ブルーノ&カイ
・ポポ&リフェ&リンヤ
・・・大丈夫かこのメンバー
「いいか?危険だと思ったら絶対に逃げろ。探しに来た私たちに何かあったら二の舞だ。」
「すまねえが協力してくれ。」
ロズがぺこりと頭を下げた。少し長い黒髪がさらりと揺れた。
「おーおーロズが頭を下げるとは明日は槍がふrいだだだだだいだいぞロズ!」
ロズの必殺眉間ゴリゴリがリクの頭に炸裂する。緊張した空気が少し緩む。
「っしゃあ!行くぞォ!」
リンヤの掛け声で全員が一斉にかけだした。
上り始めた太陽が、それぞれを明るく照らしていた。




