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第一話 前世、俺はニートだった

 唐突だが俺は死んだ。

 部屋の中で飢え死にだ。

 栄養失調ともいう。

 意味が分からない?

 いや、言葉通りだって。



 部屋の中で

 誰に看取られることもなく

 一人で

 死んだ。



 それだけだ。



 少しばかり付け加えるなら、両親は既にない。

 兄弟にも放置された。

 親類親戚は言うに及ばず。

 ただ一人で、親と一緒に住んでた家で死んだ。

 そりゃそうだろうな。

 親が死んでから少ない遺産で生活してたんだから。

 いわゆるニートってやつなのかもしれん。



 それで、最後の最後までネットでゲームをして、そのまま栄養失調。

 食い物より電気代とネットを優先したから当然か。

 でもやっぱり未練がある。

 あのゲームのレアアイテム、あれだけは揃えておきたかった。

 そうすりゃ未練もなくいけたんだろうけど。



 この際、ドーテーだとかキモメンなんてのは放っておこう。

 対人スキルの欠落もだ。

 そんなもん、二次元がありゃ十分だ。

 会話なんか、NPCに用意された台詞がありゃいい。

 煩わしい人間関係なんてもんにとらわれるより、シンプルで明快だ。

 こんないい事はない。



 で、そうやってパソコンの前で死んだんだから、まあ、大往生だろう。

 葬式は、そのうち誰かがやってくれる。

 ただ、もうちょっと派手に生きたかった、ってのはある。

 でもまあ、出来なかった事は仕方ねえ。

 いつまでも三次元にこだわってるわけにもいかねえ。

 死んで、こうして魂って状態になったみたいだし、あとは行くところに行くっきゃねえ。



 …………聞いたところによると、死んだらキレーな場所で、キレーなオネーサンに囲まれるらしいし。



 生きてる時は出来なかった魔法使い(三十歳以上・異性経験なし)から転職可能かも。

 そんなわけで、俺は次のステップかつ来世、あるいは天国に行くぜ。



 あばよ! 下界。



「んな勝手に決めるな」



 ん?

 なんか声が。

 聞き間違いか?

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