魔王 VS ゴリラ親父
やっほーみなさん!
アレックスちゃんだよー♪
超絶カッコイイ技でドラゴンを仕留めた私。
えっへっへー!
みんなが褒め称えてくれるはずです。
ほめられるのが嫌いな人はいないですよねえ?
ね?
でね!
いまね! いまね! 今アレックスちゃんね!!!
「アレックス様。ご自分がどれほど愚かなことをしたのかわかっていますか?」
ゴリラがもの凄い迫力で言いました。
今ね……
アレックちゃんゴリラにお説教されてるの。
ゴリラと書いてゼスさんが超怒っています。
怒り狂ってます。
こんな怒られたのは千年ぶりです。
「しかたないやん!!! 私が行かなかったらみんな死んでましたよ!!!」
私はたまらず反論しました。
涙目になるほど必死です。
するとゴリラは大きな声で怒鳴りました。
「領主が前に出て戦ってどうするんだ!!!」
おっと、もっとなご意見です。
反論できません。
「でも私たちじゃないと誰も勝てないでしょ! ドラゴンですよ!!!」
そもそも勝てる前提で話してるのが狂っているのは自覚しています。
でもこの路線でごり押しするしかありません。
魔王道とは開き直ることと覚えたり。
「だからって王位継承権第8位のアレックス様と、王位継承権第3位のシルヴィア様が戦う理由にはなりません!!!」
「王位継承権?」
私は真顔で聞きます。
初めて聞いたぞ。
なにそれ美味しいの?
「うがー!!! 将軍家は先々代の王のお血筋でしょうが!!!」
あ、そうか。
実家はそんなに偉かったのか。
聞いたかもしれないけど全く興味なかったから覚えていません。
そういや小さいころからシルヴィアと遊んでたなあ。
あ、そうか。
実家が偉いからから遊ばせてたのか。
うわーお、納得。
「アレックス様は将来、最低でもこの国の軍を率いることになります。御身がどのような立場なのかちゃんと理解してください!」
「ふーん」
ほじほじ。
私はつまらなさそうに鼻をほじりました。
だって興味ないですもん。
軍ですよ!
軍!
あれですよ。
魔王軍全軍で勇者を倒すぞ!
アッサリ返り討ち。
目に浮かぶようです。
なんどもやりましたしー。
それに隙を見て革命起こして民主制に移行しようと思ってましたし。
そんで私たちは政治を頭のいい人に押しつけて楽隠居。
適当な財団の理事長でもしながら、庶民に課せられた重税の甘い汁で一生面白おかしく暮らす予定です。
なので私には王位が云々という話には全く興味がありません。
そのどうでもいいという態度が伝わったのでしょう。
ゼスさんの顔が真っ赤に変わっていきます。
「お前は!!! バカなのかー!!!」
次の瞬間、私の視界がもの凄い勢いで揺れました。
それは拳骨でした。
ゼスさんが私の頭に拳骨を落としたのです。
「ぎゃぼおおおおおおお!」
痛い!
超痛い!!!
ちょっと待て!
頭が割れる!
「話すか話すまいか悩んでいたが仕方がない! アレックス! このゼスは貴様の叔父である!」
「やっぱりウチの血縁だったー!!!」
がばりと起き上がった私はゼスさんを指さしました。涙目で。
ゼスさんの眉がぴくりと動きました。
あのね紋章見りゃ気づくでしょ……
もしかして……
わからないレベルの超絶おバカだと思われてた!!!
い、いや待て、バカならバカの方が楽ですよ!
「てへッ♪ アレックスちゃん、おバカだからなんにもわからなーい♪ へいへーい、うんこちんちーん♪ だから領地運営はみんなで適当に……」
私はそそくさと逃げだそうとしました。
部屋の外にある自由という理想郷を求めて。
そう、自由とは窓の外にあったのだ!
俺たちの戦いはこれからだ!
~第一部 完~
アレックス先生の次回作にご期待ください。
しかしゴリラに回り込まれた。
がしり。
捕獲されました。
「今さら誤魔化されるかー!!!」
ゴリラに怒鳴られました。
完全にキレています。
しかたない。
こういうときは話を逸らそう。
「ところでドラゴンですが、守備兵団の一人が『収穫前に来たことがない』と言っておられましたが? もしかして何かを隠していらっしゃいますか?」
ゼスさんが言葉を失いました。
絶句してます。
よしウィークポイント見つけた。
いえーい!
私の勝ちー!
ひゃっほー!
「つまり、以前から襲撃を受けているということですよね?」
ゴリラがゴクリと生唾を飲み込みました。
「資料には遊牧民の襲撃とありましたが、本当はあのドラゴンの襲撃ですね」
誰かに報告したけど、誰も信じてくれないから、信じてくれそうなシナリオをでっち上げたんですね。
よくわかります。
にっこり。
私はフィニッシュに入ります。
「まあいいじゃないですか。有害鳥獣も無事駆除しましたし。ここは一つ何もなかったということで?」
真実や証拠なんて書類に書き込まなければ残りません。
例えなにかあっても何もなかったことにする程度の権力は実家にあるはずです。
いやはや一件落着。
これであとは怠けることができますね。
はー疲れた疲れた。
私は労働に向いてないんですからね!
無理に働かせるのはやめてください。
さあって城の貯蔵庫から盗んできたぶどう酒飲んで寝よっと。
未成年ですがなにか?
と、思った私が甘かったのです。
「違います」
絞り出すようにゼスさんが言いました。
「へ?」
ち、違うってなによ?
まだなにかあるんですか?
「あのドラゴンだけじゃないのです……」
「はい?」
おかしいです。
流れがとんでもない方向へ行っています。
「昨年だけでも、巨大なアンデッドに空から爆撃してくる不思議な生き物にドラゴンを超える大きさの巨大怪獣に……」
「マジっすか?!」
私は驚きのあまり頭の悪そうな声を上げました。
世界が全力で私を殺しにかかって来てるような予感がしてきます。
「……よく生きてましたね」
「ええ。もう本当に……何度も死ぬかと……」
ゼスさんが肩を落としました。。
うんうん。偉い偉い。
魔王として何度も死ぬような目にあっている私は感情移入しまくりです。
って、あれ……?
ちょっと待てよ。
これからそれ全部私の仕事じゃね?
これから死にかかるの私じゃね?
は、話を逸らさねば!
話のスケールを小さくするのです!
「そ、それじゃあ、まずはドラゴンの死体を見聞しましょう」
話題を誤魔化しきった私はいい顔でそう提案しました。
かなり動揺していたのは内緒です。
ゴリラはハトが豆鉄砲喰らったような間抜けな顔をしています。
「なんのために……ですか?」
「だってここって、砂漠に荒れ地にとどう考えても大型の怪獣が生息できるほど野生動物が多い地域じゃないですよね? なのに巨大怪獣が複数。なんらかの原因があるはずです」
私はニコリと笑いました。
膝が震えていたのを誤魔化しきれたのは自分でも偉いと思います。
ガクガクブルブル。
こうしてゼスさんが叔父貴であるという事実は一旦棚上げになったのです。
というかしばらくは誤魔化そうと思います。
だって私が知らないなんて、よっぽどシャレにならない……おそらく聞くと後悔するレベルの話ですよ。
だからなにも聞こえない。
聞きませんでした。
はいはい。
ゼスさんが語り始める前にサクサクとドラゴン見に行きましょう!
仕事が終わりませぬ……
次仕事場から投稿するとさすがにバレるので続きは下手するとあすになるかもれす。




