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魔王城の中ボスと四天王

 私はわざと『殿』をつけました。

 なるべく下出に出るようにしたのです。

 私は領主なので職務上の格は上ですが、年齢が遥かに下なので偉そうな呼び捨ては相手もいい気分にはならないと思ったのです。

 気を使える私カッコイイ!!!

 褒めてもいいんですよ。


 どうやら先手を打たれてゴリラは焦っているようです。

 ちなみに下出に出た私を見て、私よりも格上だと勘違いするバカならいいように利用してポイ捨てる予定です。

 後ろの男も驚いた顔をした後、あわてて一礼しました。

 うけけ。

 焦ってる焦ってる!

 するとゼスさん、ゴリラの方がいきなり疑問を口にしました。


「なぜ、私の方がゼスだとお分かりになったので?」


「色々ですが、まずは耳。潰れて腫れています。体術の熟練者に多く見られる特徴です。次に服装。ズボンは王都の流行のものではないです。儀礼上、職務上格下である従者はわざと流行遅れの服を着てくることになっています。そうやって格の上下を表すのですが、ゼス殿は騎士です。いつでも動けるように関節部分に余裕があるデザインにしてるのでしょうね。さすが騎士の中の騎士です。お隣の方はどなたでしょうか?」


 私は微笑みながら言いました。



 はい全部嘘です。



 どちらも根拠にはなりません。

 思いつく限りの適当なこといいました。

 本当は常識的にゼスだという方の反対を選択しただけです。

 だって試してますよって態度が露骨に顔に出てるんですもん。

 二人とも。

 ばーかばーか!!!

 騙されてなんかやらねえ!


 それにもう一人も只者じゃないですね。

 これはただのカンですが。

 そんなことを考えていると領主と直接話すのはまずいと思ったのか、ゼスさんが私に紹介をします。


「彼はギルです。守備兵団の主計長を務めております」


 なるほど裏方さんでしたか。

 でも裏方って言うわりには拳頭が潰れてますね。

 絶対この人強いですよ……

 私はゼスさんと握手をしようと手を差し出します。

 ゼスさんも手を差し出してきて、二人の手が握られます。

 するとゼスさんの顔色が変わりました、何かを調べるように私の身体をパンパンと軽く叩くゼスさん。

 次の瞬間、ヒザと拳を地面につけて頭をたれながら伏せました。


「我ら、アンダーソン閣下のご子息であるアレックス様に忠誠を誓います。」


 あれま好印象。

 まだ小細工なんもしてないんですけど……

 なぜだ?

 まあいいや。

 ラッキー。


 その後、私はゼスさんたちに預かっていた親父からの手紙を渡しました。

 ゼスさんはシルヴィアには自分たちの身分が低いことを理由に挨拶をしないで帰っていきました。

 半人前のガキに会うのにそんな律儀にしなくても。

 やっぱ騎士って苦手です。

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