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GWP! GWP!

 結局、私は宝石のことはみんなには言いませんでした。

 無駄な争いを生むからです。

 そのかわり我々はブラック企業株式会社という組織を作りました。

 あとは秘密裏に話をつけた村長たちに村人を寄こしてもらってこれまた秘密裏にショッピングセンターで買った物資を運び出してもらったわけです。

 小麦粉とか、押し麦とか雑穀とか、冷凍たこ焼きとかです。あとカップ麺。

 ちょっとした聖人気分です。


 これにより食糧事情は改善。

 怪獣退治により領内も少し平和になりました。

 最低限の生活の保障ができると誰でも欲がわくものです。

 エアコン欲しいとか、パソコンとインターネット欲しいとか、漫画と小説が欲しいとか、SNSとスマホが欲しいとか……です。

 かき氷を食べながら快適なエアコンの中でネット三昧。

 マクスウェルのショッピングセンターには工事部門もあるのでそれもいずれ可能になるでしょう。

 私は欲まみれのゲス顔で皆を説得してまわりました。


「げへへへ。シャチョさんシャチョさん。もっといい生活できるアルヨー」


 具体的な内容は伏せているので、最初はみな嫌な顔をしてましたがドラゴン退治に食糧確保という功績が領地中に知れ渡ると、私と同じくゲス顔をした住民たちが守備兵団に続々と集まってきました。

 全てはブラック企業株式会社という謎の組織の功績ですが、自動的に私の功績にもなるわけです。

 みなさん豊かな生活を望んだ方々です。

 欲で民を先導する。

 古来からの統治の基本です。

 正しい政治?

 なにそれ美味しいの?

 数と欲こそ力なのです。


 こうしてただでさえ多い守備兵団の団員はさらに増員。

 正式に騎士団を名乗ることになりました。

 どうやらこの世界では兵団と騎士団の違いは人数だったようですね。


 かくして我々は積極的に巨大怪獣の討伐をすることになりました。

 ぐへへ。

 私はゲスい笑顔になりました。

 私には野望があったのです。


 ショッピングセンターにつながった我々。

 なんでも手に入ります。

 あきらめていたものすべてが手に入るのです!


 私の目標は印刷機にパソコン。

 ペンタブにSNS作って……

 通信インフラも手に入れてヒャッハー!

 ふははははは!

 薄い本に、映画にドラマアニメ!

 この世界から文化を作ってやるのです!

 この世界もオタの(じょうねつ)で焼きつくしてくれる!!!


 ぐあーっはっはっは!!!


 私はGWP(ゲス顔ダブルピース)しながら立っていました。



 さて狩りです。

 枯山水によるとマンモスのいた反対側に大きな反応がありました。

 騎士団の半分は使命感に燃えた漢の顔で、もう半分は欲まみれの顔でこれに挑みことになりました。

 私はマクスウェルとの取引で宝石を全て物々交換してしまいました。

 それを領民に配ったり、急遽編成した行商軍団に卸したりしていたらいつの間にか金まみれに。

 もの凄く儲かりました。

 私はそれを守備兵団の皆さんにパーッと配ってしまいました。

 宵越しの金は持たない主義ですので。

 お金をもらった兵隊さんたちも無闇に貯蓄するわけにもいきませんでした。

 だって銀行ないもん。

 銀行がないから金渡しても最終的には私の元に帰ってくるんですよ!

 税金でね!

 ゲハハハハハ!

 おっとまたもやGWP(ゲス顔Wピース)してしまいました。


 と、いうわけで討伐です。

 私たちは聖剣と伝説の防具で身を固めてました。

 狩りのはじまりなのです。


 私はマクスウェルから買った双眼鏡を覗きました。

 巨大なものが見えます。

 双眼鏡さすがです。

 伝説の聖剣より高いだけあります。

 巨大なもの。

 それは表現に困る物体でした。

 一言で表現すればヌイグルミ。

 巨大なペンギンのヌイグルミでした。

 どこかデッサンが狂ったような、子どもの落書きを思わせる造形です。


 ざけんなコラァッ!!!


 私は双眼鏡を叩きつけたい気分になりました。

 双眼鏡高いからやらないけど。


 我々はなんだか無性にイラつきながらヌイグルミに迫りました。

 巨大なヌイグルミ。

 もしかすると敵性オブジェクトではないのかもしれません。

 私は騎士たちとさらにヌイグルミに近づきました。

 ですがヌイグルミの前に来るとヌイグルミは突如雄叫びを上げたのです。


「めえええええええええええッ!」


「待てーい!」


 なんだ今の狂った泣き声は!!!

 ねえ!

 おかしくね?


「めええええええええええ?」


 疑問形かよ!

 なんなの?

 自分の存在に疑問感じちゃってるの?

 子ども落書きみたいな造形で哲学しちゃってるの?

 ねえコラァッ!


「……狂ってるのだ」


 シルヴィアが言いました。

 今回彼女はムリヤリついてきました。

 というか、もう面倒なので魔法の使い手であることを説明しました。

 ゼスさんは最後まで私の出撃すら反対しましたが、そんなの知りません。

 欲に狂った連中引き連れて数の暴力で押し切りました。

 民主主義制の世界で大統領やったこともある私の小細工にかなうとでも!

 ぐははははは!


「シルヴィア」


「なんなのだ?」


「あのファッキンヌイグルミをこの世から消し去りませう」


「病んだ目で言うのはやめるのだ」


 おっと目が逝っちゃってましたか。

 うへへへ。


「まあ、敵かどうかわかりません。今回は様子見……」


 どごん。

 ヌイグルミがパンチを繰り出しました。

 えーっと……騎士が数人潰されました。

 でも慌てて這い出しているので死んではいないようです。

 さすが伝説の鎧……って、緊急事態じゃねえか!


「全員! 戦闘態勢!!!」


 私は怒鳴りました。


「いつも通り我が大きい魔法。お前が時間稼ぎなのだ」


「へいへい」


 私は兵士さん達に指令を出します。


「弓兵は一成攻撃! それが終わったら皆さん突撃! なあに伝説の鎧があなたがたを守ってくれます!」


 私は倶利伽羅を抜いてヌイグルミに襲いかかります。

 おどれタマ獲ったらー!


 魔王! ギャラクティカファントムなんたらかんたらー!

 ※もはや技名を考えるのが嫌になりました。


 ヌイグルミパンチ!


 ばふん!

 私は夏の蚊のように打ち落とされます。

 な、超反応力!

 敵は恐ろしく素早いです。

 私も受け身を取ってちゃんと着地しましたけどね。


「魔王レーザー!」


 シルヴィアがビームを出しました。

 ビームはヌイグルミを直撃。

 おっしゃ勝った!

 ところが……


「な、魔法無効化障壁ですと……」


 魔法無効化障壁。

 超絶理不尽アビリティです。

 文字通り魔法は無効。

 障壁に近づいた魔法はマナレベルで分解されてしまいます。

 この異能が存在するせいで魔法使い型の魔王は必ず肉体派のボディガードを連れているのです。

 ほとんどの場合、魔法無効化障壁を持っているやつは物理が弱点ですからね。


「あかん! シルヴィアは待機!」


 私がそう言うとシルヴィアはこくんと頷きました。

 相棒はこと戦闘に関しては聞き分けがいいので助かります。


「だりゃあああああああああああああ!」


 私が剣を振りかぶります。

 相手は魔法耐性があるのがわかりました。

 こういう相手はたいてい物理攻撃に弱いと相場が決まってます。

 ですので物理でボコります。


「魔王! なんとかオブデストラクション!」


 ※そろそろボキャブラリーの限界に近づいてきました。


 かきーん!


 ぽきん。


 はい?

 私の剣はあっさり弾かれました。

 しかもぽきりと折れました。

 ぐ、ぐりからが!

 倶利伽羅が折れたー!

 っちょ!

 物理障壁だと!


 ちょっと待て、物理も魔法も効かないですと!

 理不尽系のラスボスじゃないですか!

 こんなのどうやって倒すのよ!!!

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