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マンモス VS 魔王

 街を出て数キロ、やはり怪獣はすぐそこまで迫っていました。

 目視で体長10メートル。

 重さ100トンは確実にあるでしょう。

 牙の長さ4メートル。

 怪獣はいわゆるマンモス。

 毛の生えた象です。

 ぱおーん。

 世界観崩壊のお知らせ。


「……いつもあんなのと戦ってたんですか?」


 あきれ果てた私はゼスさんに言いました。


「いえ……つい先日まではもう少し小型ものばかりでした……」


 徐々に巨大化。

 思った通り人為的です。

 マンモスは「ああコラ?! やんのか? やんのか?」というこちらをなめたツラをしています。

 なんかムカつくので『突撃ぃッ!』と言いたいところですが、ここはグッと我慢。

 ドラゴンもそうですが、相手がなにしてくるかなんてわかりませんからね。


「アレックス様、どうなされますか?」


「とりあえず弓を放ってみましょう」


 遠くからチクチク攻撃。

 相手が音をあげるまでチクチクチクチクチク。

 動きを止めたら一斉攻撃。

 相手になにもさせない。

 兵法の基本ですね。

 私は手を上げます。

 さすが鬼軍曹がトップにいる組織です。

 弓兵はすでに配置完了しています。

 同時に網を持った部隊も待機します。

 網を足に引っかけて機動力を奪う予定です。

 素晴らしい。

 やはり獣の駆除は馴れてますね。

 私は早くも勝ち誇った顔で手を下ろしました。


「発射ー!!!」


 一斉射撃が始まりです。

 矢が飛びマンモスに当ります。

 効果がないはずはありません。

 予想通り矢はマンモスに突き刺さっています。

 次は足を止めてから槍攻撃です。

 適当に刺したらダッシュで逃げる。

 あとは相手の出血死を狙ってダラダラ逃げながら、休ませないように遠くから攻撃し続ければ終わりです。

 卑怯?

 るしぇー!!!

 勝ちゃいいんですよ!

 勝ちゃ!!!

 つうわけで、張り切っていきましょう!!!


「投網部隊と槍部隊とつげ……」


 私が拳を振り上げたその時でした。


「ぱおおおおおおおおおおおんッ!」


 マンモスの目が光りました。

 いやな予感がします。

 私は殺気には小鳥のように敏感なのです。

 今まで勇者の予想外の愛のパワーで葬られてきた経験は伊達じゃないのですよ!


「伏せろおおおおおおぉッ!!!」


 私が叫ぶのと同時に粉塵が舞いました。

 一瞬遅れて衝撃波が襲ってきました。

 マンモスの目から発射されたのは怪光線。

 マンモスがビームを撃ってきやがったのです。

 ビームで周囲をなぎ払いやがったのです。

 へー。

 マンモスってビーム撃てたんだー。

 知らなかったー。

 じゃねえよ!!!


「んが!」


 私の脳内ツッコミと同時に衝撃波が私たちを襲いました。

 吹き飛ばされる私たち。

 おかしいやろが!!!

 マンモスがビーム撃つなんて!!!


 だがそれはまだ序の口だったのです。


 よろよろと立ち上がる私たち。

 耳はキーンという耳鳴りが大音量で鳴っているせいでなにも聞こえず、頭を打ったのか目眩がしています。

 足ももつれます。

 するとマンモスがまたもや雄叫びを上げました。


「ぱおおおおおおおおん!」


 そしてマンモスの背中が機械音を奏でながら開きました。

 ういーんってやつ。

 背中からなにかがせり上がってきます。

 それはミサイルでした。

 羽がついててロケット推進のアレ。

 いやいやいやいや!

 おかしいやろが!!!

 なんで現代兵器がでてくるんよ!!!


「ざっけんな! ここはファンタジー世界だろが!!!」


 と、私がツッコミを入れた瞬間、ミサイルが発射されました。

 轟音を立てながらミサイルは後方へ炎を吐き出しながら私たちへ向かってきます。


「メーデー!!! メーデー!!!」


 適当なことを叫びながら、私たちは蜘蛛の子を散らしたように全力で逃げます。

 アレがヤバそうなのは見た目でわかりますからねー……

 くっそ!

 死んでたまるか!!!


 私たちの後方でミサイルが着弾しました。

 衝撃。

 炎。

 またもや吹き飛ばされる私たち。

 うわーん!!!

 これは陰謀だ!

 なにもかも勇者(リア充)の陰謀だ!!!

 絶対に許さん!!!

 砂をかんでも、泥をすすっても生き残って仕返ししてやる!!!


 直撃を避けたものの爆発で私たちはゴロゴロと転がります。

 普通だったら三回は死んでいることでしょう。


「ひ、被害は!!!」


「ありません!!!」


 ゼスさんが叫びました。

 ドラゴン肉すげえなおい。

 でもまだ彼らは強化された肉体を持て余してます。

 なにせ、まだ訓練してませんので。

 それにしても理不尽です。

 あのふざけたマンモスのせいでリスクゼロで怪獣を狩るという私の目論見は完全に崩れたのです。

 私は周りを見ました。

 あのふざけた生き物を倒せる手を探していたのです。

 ですがそれは無理でした。

 さすがの私もビームとミサイルは想定していなかったのです。

 だって最初は少なくとも常識的なドラゴンでしたよ!

 こんな変な生き物じゃないですからね!


 なんだこのクソ人生!

 責任者出てこい!

 マジで殴るから!

 これも勇者(リア充)の陰謀に違いない!

 テメエら私になんの恨みがあるんだ!

 お前らの親殺したわけじゃねえぞ!

 勇者(リア充)まじで爆発しろ!

 ……ふう。


 さんざん勇者(リア充)を罵ると、私はとうとう覚悟を決めました。

 しかたない!

 ここは私がやるしかありません。

 痛いの嫌いだけど、私が前に出るのが一番勝算が大きいに違いありません。


「網貸してください!!! 私が怪獣の動きを止めます! 全員援護してください!!!」


 私はそう言うと、兵士から網を引ったくり突っ込んでいきます。

 足に引っかけて動けなくしたついでに宝剣(ドス)を腹に突き刺してズラかる。

 それが私の作戦でした。


 私は夏のゴキブリのごとく超高速で走りました。

 私に気づいたのかビームを乱射してくるマンモス。

 爆発、そして粉塵が舞う中、私はビームを熟練のボクサーのように華麗なステップワークでかわしていきます。

 ゴキブリのように舞い、ゴキブリのように飛ぶ。

 殺虫剤をかけられてからが勝負なのです!!!

 そしてとうとう私は網の間合いまで接近したのです。


「おどりゃあ!!!」


 私は網をふりかぶり、放りました。

 私の放った網はマンモスの足に絡まっていきます。

 マンモスは完全には止まりませんでしたが、足が引っかかって動きにくそうにしてます。

 機動力はそぎました。

 おっしゃ!

 あとは宝剣を腹に突き刺せばミッション終了です。


「おどりゃー! (タマ)とったらー!!!」


 私は宝剣(ドス)を構えさらにマンモスの至近距離まで肉薄します。

 ところがその時でした。

 私の視界の隅になにかが見えました。

 完全に忘れてた!!!


 ぶおん!!!


 それはマンモスの鼻でした。

 体重100トンのフリッカージャブです。

 人間などひとたまりもありません。

 強化された私でも骨は折れるでしょう。

 あ、こりゃ負けたかも……

 と、すっかり負け癖のついた私があきらめたその時でした。


「全員密集隊形(ファランクス)!!!」


 声が響きました。

 兵士たちが盾を持って私のサイドをガードしていました。

 大きな物体が壊れる重い音が響き、兵士たちがよろめきました。

 盾の破片が破砕され、その破片が飛び散っています。


「アレックス様!」


 ゼスさんの声でした。

 オッシャ行くぜ!


「だりゃあああああああッ!!! 魔王剣スクリュードライバー!!!


 ※今適当に考えました。


 私は全身の気を宝剣に集めマンモスの腹にぶち込みました。

 私の一撃はマンモスの腹を破り背中まで……


 ぼきり。


 ん?

 なんでしょう今の音。

 私は手元を見ました。

 剣が……

 剣が……ひん曲がってねじ切れてるうううううッ!!!


 私の大出力の気に剣が耐えられなかったのです。

 やべ!

 これ国宝ものだよな……

 全力で隠蔽しなきゃあああああああッ!!!


 慌てる私。

 そしてどこまでも無情で残酷なアレがやって来ます。


 ぶち抜いたマンモスの残骸の背中から、にゅうっとなにかが出てきました。

 ミサイルではありません。

 なにかの装置です。

 規則正しい電子音が鳴りながら、正面についた黄色いゲージが徐々に減っていきます。


 ……これってアレじゃね?

 爆発するやつ。

 っちょ!

 おまッ!!!


「自爆装置だああああああああああッ! 野郎ども逃げろおおおおおおぉッ!!!」


 私は叫びました。

 ざっけんな!

 聞いてねえ!!!

 陰謀じゃあ!

 すべて勇者(リア充)の陰謀じゃあ!

 こんなクソ領地で死にかけているのも、私の背が低いのも、昨日階段踏み外したのも、昨日の晩飯が微妙だったのも!

 これもそれもなんでも全部、勇者の陰謀なんじゃあああああああッ!!!


「絶対に許さねえ!」


 私は叫びました。


勇者(リア充)ども滅ぼしてくれる!!!」


 鳴きながら逃げる私と兵隊さんたち。

 そして自爆装置のゲージが全てなくなりました。



 ちゅどおおおおおおおおおおん!!!



 まずは衝撃派と炎。

 遅れて来るのは轟音。

 私たちはまたもや吹き飛ばされました。


 おのれリア充ども!

 たとえ私を倒そうとも第二第三の魔王(お一人様)が……

 みっともない台詞を吐きながら私は深い闇の中へ意識を手放したのです。


 ……私、近いうち死ぬかも。

ストリエ版と怪獣が違っています。

ストリエ版はイラストの関係でゴリラですがマンモスに変更になっています。

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