地球を守ろう
すでに地球は病んでいた。
もう見逃すことが出来ないほどに。
大気や海は汚染され、
多くの生命の種は絶滅した。
もちろん原因は人間だった。
「このままでは地球の生命は絶滅する。
こうなれば人間を減らすしかない」
「とりあえず、半減させよう」
「そうだな、そうすれば反省するかもしれない」
三者の意見は一致した。
「じゃあ、競争だ。
俺から始めよう」
しばらくすると、インフルエンザが世界中で大流行した。
新型ウイルスだった。そのため既存のワクチンは効かなかった。
WHOはワクチンの製造に躍起になり、世界各国に働きかけた。
しかし、新型ワクチンの誕生まで1年を要した。
「4000万人か~
思ったより少なかったな」
「じゃあ、今度は俺の番だ。
俺はそんなに甘くはない」
その直後、大地震が起こった。
太平洋のど真ん中で大陸プレーとは全く関係ないところだった。
環太平洋各国は20Mを超す津波に襲われた。
「完全に失敗だった。
80万人~
上手いこと非難しやがって。
それにこんなはずじゃあなかった」
大地震の後、出産が相次いだ。
地震と関係ない国でも同じだった。
危機を感じると種を残そうとする本能だった。
「馬鹿な奴らだな~
そんな面倒なことしなくてもいいのに。
でもちょっと時間が掛かるかな」
十年後、南シナ海周辺諸国とC国との戦争が起きた。
C国の圧勝だと思われていたが、軍隊の規律が崩壊していた。
C国の兵隊に国家に対する献身さが欠けていた。
それで、危険を感じると武器を投げ出し逃げる始末だった。
これに対し、C国は禁じ手を使った。
逆転を計り、敵各国の首都に核ミサイルを発射したのだった。
しかし、それだけでは終わらなかった。
何を勘違いしたのか、C国は世界各国の首都にも核ミサイルを発射した。
米国はミサイル防衛システムで迎撃した。
NATOに加盟しているヨーロッパ主要国も。
当然、ロシアも撃ち落とした。
しかし、それだけでは収まらなかった。
C国の首都を含む、5都市に核ミサイルを発射した。
さらに世界最大を誇るロシア陸軍は国境を侵し、C国深く進攻した。
日本は最悪だった。
核ミサイルを落とされたのだった。
政権交代によって安保法案は進まず、
米国とのミサイル防衛システムが完成していなかった。
数百万人の市民の犠牲にしたが、政府首脳は生き延びた。
核シェルターに避難したのだった。
このことがさらに日本を混乱させた。
憎しみはC国以上に生き残った政治家らに向けられた。
結局C国はロシアに降伏した。
戦後、奉天裁判が始まった。
核により汚染された北京から、
ロシアは奉天にC国の首都を遷していた。
もちろん、ロシア国境近いからだ。
そこで戦争のきっかけが明らかになった。
いち軍司令官が政府の命令もなく、
戦争を始めたのだった。
結局、C国含め世界中で亡くなった人は2億3千万人を超えた。
「やるなあ~
これが神の力か。
どんな手を使ったんだ」
「地震を発生させたお前みたいな力は使っていない。
俺は一部の政治家と軍人に愛国心を注いだだけだ」
神は一つ手を打った。
「あッ、もう一つ忘れていた」
「もう一つって誰にだ」
「これだ」
神は空間にテレビのニュースを投影した。
キャスターはさかに首相の批判していた。
『これが民主主義なのか』
とテロップが躍っていた。
神が言うもう一つとは、民衆を煽るマスコミだった。
核により広大な土地が汚染させた。
しかし、数年も経つと緑が戻り、生物も戻った。
人類がいなければ、地球は守られるという証明かのように。