お疲れ様会
実「というわけで、無事『神すらも知らず』完結いたしました!」
始「最後まで読んでいただいた読者の皆様方、本当にありがとうございました」
フェンリル「今回は今までの感謝を込めて、執筆裏事情なども少し話して良いと作者が許可を出しました」
桜「ほんの一部ですがどうぞ楽しんでください」
悠斗「やっと終わったんだからFINでいいじゃないか」
実「これもサービス! 最後まで仕事してよ主人公」
フ「まあここでうまくやれば次回作も読んでもらえるかもしれませんしね」
ミドガルズオルム「現金だね」
ヘル「ではどうぞ」
執筆裏事情1 これって○○のパクリでは?
始「いきなり何だこれは」
悠「実際クレームが来たわけじゃないんだが、読者にそう思ってる人がいるかもということでだ」
フ「実際は作品が生まれたきっかけについてです」
実「なら最初からそう言ってよ…」
悠「ある漫画(※1)でもやはり人間界に堕とされた邪神ロキが主人公なんだ」
桜「それくらいならまあ…」
フ「さらにウトガルドロキがロキの前世であり半身であるという設定だそうです」
実「まんまじゃん!」
ミ「じゃあやっぱりパクリなの?」
悠「ではないらしい。まずウトガルドロキの設定だが執筆当初と大分変わってるんだ。そのあたりは後で説明するが、半身という設定は後で生まれたものらしい」
フ「作者が北欧神話に興味を持つきっかけになったのはその漫画だそうです。ただまだその段階では小説を書くことは考えていなかったそうです」
ヘ「じゃあいつから?」
フ「北欧神話に興味を持って個人で調べ始めてからですね。さらにウトガルドロキとロキの関係性についてはその時参考にした本(※2)にウトガルドロキを『外側の世界のロキ』と解釈していたからです」
ミ「確かに同じ名前で同じ巨人族出身だもね」
悠「北欧神話中二人の接点は作中でも述べたトールの遠征くらいなんだがな」
桜「特に関係はなかったのね」
始「もしかしたら作者の勉強不足もあるかもしれないが、まあこれくらいで勘弁してください」
執筆裏事情2 ロキ冤罪説
悠「と言っても誰を主人公にするかは北欧神話を題材にすると決めた時点で決まってたらしいがな」
始「他にも相応しい神や英雄がいたと思うが」
悠「人間の物語にする気はなかったそうだ。最終的な結果は神のいない世界と決めていたしな」
ヘ「冒頭からずっと言ってましたよね」
フ「ロキを主人公にしたのは彼のキャラクター性に興味があったからだそうです」
実「確かに他の神々と違うよね。他の神様は豊穣とか知恵とか良いイメージが強いのに、ロキだけ邪神だし」
悠「ロキが意図的に悪者にされる傾向はあったな。これはキリスト教の影響があったとも言われてる」
桜「どこが?」
悠「救世主が悪人に殺されるが最後に復活するというのはキリスト教の好きなパターンだからな」
実「でも何で北欧神話がキリスト教に影響されるの?」
悠「キリスト教の拡大によって元々あった宗教や信仰が潰されたり変えられたりした時代があったんだ。北欧神話もその例だろう」
フ「ロキによるバルドルの殺害やバルドル復活は元々なかった設定という説もあるんです。今はそちらの方がメジャーになっていますが」
ミ「それってこの作品そのままだね」
悠「そう。作者もその説を知ってこの小説を書き始めたんだ」
桜「じゃあロキは冤罪だったわけ?」
悠「バルドル殺害に関してはな。この説の根拠としてバルドルが死んだのはロキの捕縛の後だとされることだ」
実「その時にはもう捕まってたの?」
悠「別の罪で捕まっていたから殺せるわけがないということだな」
ヘ「父様が悪者にされるのは嫌」
悠「ありがとう。でも俺はあまりきにしてないがな」
フ「本当の犯人がここにいますからね」
実「それこの作品中の話でしょ!」
桜「はいはい喧嘩は後でね。次行きましょう」
執筆裏事情3 実=ウトガルドロキは後付
実「…何、これ」
フ「そのままの意味ですが?」
始「さっきもウトガルドロキの設定は変更されたと言ってたな。じゃあ実がウトガルドロキという設定は最初からあったわけじゃなかったんだな」
フ「脇役がずいぶん出世しましたね」
実「脇役じゃないし!」
悠「この設定ができたのは第4章の頃らしい。3章までほとんど書き上げてそれから掲載したんだ。だから実際に連載は4章からと言ってもいい」
桜「ずいぶん行き当たりばったりね」
悠「元のプロットに色々追加した結果が今の話だそうだ。特に4章と5章は完全に後から作った話だそうだ」
始「? じゃあお前の長男が死んだり俺が重傷になる設定は最初なかったのか」
悠「そういうことだな」
フ「おやおや、ずいぶん安いものですね、私の命は」
室内気温2℃低下
悠「さらに言えばオルムも死ぬ予定ではなかったそうだ」
ミ「え! 何それ、ひどい!」
桜「話を戻すけど、実の設定は後付なのよね」
悠「ああ。6章は最初の設定とほとんど変わってないが、そこだけ変わってるらしい」
桜「みんな死に過ぎよね」
悠「まあ最初の計画よりかなり死んでるよな。フレイも準レギュラー化する予定ではなかったらしい」
フ「本当に脇役が(以下略)」
ヘ「私は変わらないのね」
悠「残念だったな。どうやら作者は生かすより殺す方が得意なようだ」
執筆裏事情4 登場人物誕生秘話
始「じゃあ今度はそれぞれの登場人物が生まれるにあたってと、思い出話だな。まず主人公から」
悠「何で今更自己紹介なんて。他のやつがやれよ」
実「やる気なさすぎ」
始「少しは仕事しろ。ったく。それじゃあお互いの紹介をまわしていくということで。まず悠斗について。一番苦労したキャラクターだそうだ」
桜「主人公なのに?」
始「北欧神話のロキからあまり離れさせないよう、彼の矛盾した性格を表現するのが難しかったらしい。最初は話し方一つにさえ気を遣ったそうだ。さすがに今は慣れたらしいが」
実「そういう意味でも一番愛着があるだろうね」
始「まあ主人公だからこそ一番気を遣ったんだろう。次、実」
桜「じゃあ私が紹介するね。実の裏事情はさっき大方話したけど、最初に生まれたきっかけは『似てない双子』を書こうと思ったことかららしいよ」
ミ「普通こういう創作に出てくる双子はそっくりなことが多いね」
悠「実際そっくりなのは一卵性双生児であって世の中の双子=うり二つとは限らないものだがな」
実「それ、作品冒頭でも言ったよね」
始「作者はいわゆる王道や定番と言われるものをわざわざ覆したくなるらしい」
フ「ひねくれてますね」
桜「まあそういう精神から生まれた設定ではあったらしいけど、双子にしたのは人間サイドで悠斗に近い人間を出そうとした結果なんだって」
始「結局人外サイドの人間になったわけだが」
ミ「一番設定が変わった人かもね」
桜「実はこんなものかな。次、始さんね」
フ「では私が」
始「待て、悪意しか感じないから他の人に」
フ「人間サイドというのは弟と変わりませんが、人間側から父上をしかれる存在として作ったそうです」
始「無視か」
悠「実が対等なら、始は兄としての側面もあるからな」
ヘ「お父様を子供扱いするってこと?」
フ「父上をしかれる人はほとんどいませんからね。結果的に人間サイドで本当に父上を心配できる人間になったわけですが。ある意味一番第三者の立場で神々を見ていましたしね」
桜「確かに真っ向から悠斗をしかれるのは始さんだけだもね」
フ「その結果、早期リタイアすることになりましたね。出番が多いと調子に乗ってたようですしちょうどいいでしょう」
始「リタイアしたのはお前も同じだろ。というかリタイアする原因作ったお前が言うな」
フ「それでは脇役の紹介はこれくらいで。次は桜さんですね」
ミ「フェン兄、もう悪意隠す気ないね」
フ「オルム、無駄口叩いてる暇があったらさっさとしてくださいね」
ミ「は~い…。て言われても本編で接点がほとんどないんだけど」
桜「まともに会話したことすらないわよね」
ミ「神々と関係無しに大杉兄弟を見ることができる人ってことで考えたらしいよ」
悠「単純に女性率が少ないからじゃないのか」
ミ「それも否定しないって」
実「否定しないんだ…」
ミ「これくらいね。次、フェン兄」
悠「じゃあ俺がするか。フェンリルもそうだが北欧神話にも登場する連中については原作を尊重した設定にしてるらしい」
実「三兄弟を登場させることは最初から決めてたの?」
悠「らしいな。フェンリルに関しては忠実で真面目な長男ということで、始とは違うタイプの兄にしたらしい」
始「俺はこんな兄がいたらぐれるな」
フ「私だってあなたのような兄がいたら、思わず下克上したくなりますよ」
ミ「怖い…」
悠「喧嘩は後で好きなだけやれ。フェンリルの設定変更は先に言った通りだ。じゃあ次、ヘルだな」
実「空いてるの僕しかいないじゃない。でもやっぱり接点ないよね」
ヘ「私はそれでも構いません」
実「…やっぱり悠斗の娘だ。性格の悪いところそっくり」
悠「かわいいだろ」
実「はいはい…。ヘルさんは元々原作の設定を持ってきてるから、自然に病弱って設定があったんだよね」
桜「兄弟でずいぶん対照的だよね」
実「わざとそうしたらしいけどね。死ぬ設定は最初と変わらないし」
ヘ「…(しょんぼり)」
悠「実…」
実「つ、次! オルム君。ヘルさんよろしく!」
ヘ「あ、はい。オルム兄様は私と順番が逆になることも多いそうです」
始「というかそっちの方がメジャーだろ」
ヘ「はい。でも参考にした本ではそうなってたのでそちらを採用されたようです。末っ子じゃないけど兄らしくない末っ子っぽい兄ということで、フェン兄様と対照的にしたそうです」
ミ「全然嬉しくない設定…」
フ「そう思うなら少しはしっかりしなさい。いつまでも父上に甘えてばかりで」
始「はいはい、この話はここまで。説教は後にしてくれ」
最終題目 最後に一言
始「ではついにこのお疲れ様会も終わりだな」
桜「今までで一番長かったわよね」
実「まあ最後ということでね。これにて本当に『神すらも知らず』完結でございます」
ヘ「ここまで来れたのもひとえに読者様のおかげです」
フ「定番ではありますが、ここで感謝の言葉と、またの再会を願って」
ミ「また気が向いたら遊びに来てね」
始「ほら主人公、最後に締めくくれ」
悠「面倒くさいな…。この物語はこれにて終わりだが、また著者が気まぐれに書く物語を、気が向いたら読んでくれ。もちろん、この物語もな」
実「永遠にループする世界は終わりましたが、この世界に終焉を与えられたのも皆様のおかげです。どうかお元気で」
悠「それじゃあ、またな」
※1 木下さくら『魔探偵ロキシリーズ』マッグガーデン
※2 山室静『北欧の神話 -神々と巨人のたたかい-』筑摩書房




