秘密
タケル……。
いつも待ち合わせる公園で。
今日も私は一人。
もう何日、タケルに会ってないんだろう。
―――――― 好きと告げた、あの日から。
どうして?
タケルも、私と同じ気持ちなんだって思ったのは。
まちがい?
……私、振られたのかな……。
待ちぼうけの1ヶ月は。
つらくて。
信じようと、そう決めたのに。
不安がまた大きくなって。
もう限界……。
タケル……。
……会いたいよぅ。
いつも二人で見てた噴水を。
今日も一人で見て……。
景色が涙でにじんだかと思うと。
「リコ……」
突然、目の前に。
びっくりした顔のタケル。
「タ……ケル……?」
「……と、見ちゃった? ―― っと」
タケルにしがみついていた。
「タケル……、タケル……!」
久しぶりに見るタケルの、顔。
久しぶりに聞くタケルの、声。
うれしくて。
また会えたことが嬉しくて。
それしか、頭になかった。
―――――― そのときは。
「心配かけて、ごめんな」
ふるふる
「……うまく来れなくて……」
苦しそうな表情。
そこでようやく考えた。
奇妙な点。
タケルの現れ方は……。
「タケルは……何か……特別な力、持ってるの?」
「……」
「聞かない方が……いい?」
少し考えたあと、タケルは私を見つめた。
「リコには、話しておかなきゃ、と……思ってた」
「……テレポートとか、いうやつ?」
いつになく真剣な瞳で。
首を横に振って。
「タイムトラベル」
頭の中で、何かが鳴り出した。
「時間を、行き来することが出来るんだ。……自由に」
膜を通したように、タケルの声が少し遠くなる。
「……俺はこの時間の人間じゃない」
タイムトラベル?
時間を……自由に?
「俺の本当の時間は、リコから言えば……過去になる」
タケルの声が、ものすごく遠くから聞こえる。
過去?
「11年前……じゃ、ないよね……?」
「?……そんなに前じゃ、ない。数年。……大丈夫?」
「あ……、びっくりして……」
「ごめんな」
タケルがさびしそうに笑う。
「本当はリコに、こんな風に会っちゃいけなかったんだ。俺は……過去の人間だから」
過去の、人間……。
「最近は。なんか調子も悪くてさ、……ずいぶんリコのこと待たせたろ? ほんとに、ごめんな」
ぼんやりと、頭にもやがかかって……。
「でもな、思うように来れなくて。リコに会えなくて。……もう2度と会えないかも知れないから。……どうしても伝えなきゃいけないと思ったんだ」
―――――― もう2度と会えない?
「リコ?」
私の手を握って。
私の目を見つめて。
タケルが笑顔で。
「俺も……リコが好きだ」
涙が出た。
嬉しくて、笑ってるのに。
哀しくて、涙が止まらなかった。
「リコ……」
抱きしめてくれるタケルの腕の中で。
ぬくもりの中で。
不安が、私を押しつぶそうとしてる……。
―――――― 11年前。
私を助けた少年。
それはきっと……。
タケル。




