未来
秋が来て。
冬が過ぎ。
春になって。
私は思い出した。
タケル……。
ゆっくりと巡る季節の中。
私だけに流れる時間の中で。
今もタケルを想ってる。
彼は、いた。
夢じゃなくて。
本当に。
私のそばにいたんだ。
忘れなかった。
……ちゃんと……思い出せた。
―――――― 心が。
―――――― 身体が。
彼は、私に言った。
「リコ、愛してる」と。
まぶしそうに目を細めて。
優しいまなざしを、私に向けて。
『君を愛してる』
私もよ、……タケル。
忘れない。
もう二度と。
決して。
私は、もう二度と、彼のことを忘れない。
違う時間から来た彼のことを。
私と出会い、触れ合ったあの時間を。
私を守ろうと、命をかけた彼の愛を。
私を愛した……彼のことを。
私は。
もう二度と忘れない。
…………私が愛した…………
タケル。
──── 5年後
タケルといつも待ち合わせてた、懐かしい公園。
もうすぐ来るはずのあのひとを待つ、幸せな瞬間。
……今はもう、思い出しても泣かなくなっていた。
確かなものがあるから。
今が……幸せ、だから。
「なんて言おう……」
ちょっとドキドキしながら。
ちゃんと、笑えるかな。
きっと、もうすぐ。
見つめた先の景色がゆがみ始めて。
そこに現れた少年に、微笑む。
「リコ……? 俺、またしくじったみたい……。リコ? 大丈夫? どうしたの?」
泣かないつもりだったのに、やっぱり涙が出てくる。
つらいからじゃなく、懐かしくて。
それと。
……やっぱり好きだから。
タケルが消えた後。
涙を拭いてつぶやく。
「幸せになる為に。……タケル、……あなたのおかげ」
左手の薬指には
もらったばかりの、指輪。
空にかざして、祈る。
すべてがうまくいくようにと。
……もう、あんなつらい思いはしたくないから。
未来を想って。
愛はあるから。
私は。
タケルを。
……愛してる……。
14歳のころにかかってた病にようにてる。。。
過去自サイト 初出2002/08/10-18




