Ⅵ(6)
「ノブキ、小学生の時は剣道のスポーツ少年団に入ってて、同年代だけじゃなく中学生や高校生でも相手にならなかったの。大人の、それもそこそこな人とも普通に打ち合えるから『神童』、なんて呼ばれてたんだ。」
フミザカはミサがいた席に座るとカミキさんが持ってきたカプチーノを飲む。その間カミキさんも知ってるからか話を代わる。
「あー、あの悪ガキ、中一までは剣道部にもいたっけね。他と違って剣道は大舞台でってことはないけど、剣道界隈ではかなり名が通ってたってアイツの母親が昔言ってたわ。」
「へー、あいつバットとか棒状のもの握らすと型みたいなのたまに彷彿とさせてたけどそういう。」
「……ま、その一年の最初の大会前に問題起こして退部して、それから各地区と揉めまくったって感じで去年まで荒れてたけど、むしろ荒れの本番みたいな高校で、いやそれこそクリスマス、もといユウマが来てからこの地区とセットでガラッと変わったもんだな。」
と、カミキは俺を見る。
「なんすか、俺が来てあいつのバカが加速したみたいな言い方しないでください。俺は普通の人間ですからね!」
と抗議したら、何故かフミザカ、カミキ、さらにはユウカにマオ、その膝に座るミサまでジトーッとした目をされた。え、俺何もやってないよな。
「…プッ、まあバカは加速したかもね!!」
カミキは笑い俺の背中をバシバシ叩いた。
「ちょ、俺悪くないでしょ!」
「いやバカはお前だけだよ」
と、ようやくノブキが多少疲弊した顔をして戻って俺の左後ろから俺の肩側にもたれる。
「あー、もうマジでしつけーよ。」
「あれ、先輩は?」
「今日は追い返した。もう同じことしか話してなかったからな。」
「あ、ノブキ!私を置いてったでしょ!」
「げ、キキ!?」
と今気づいたノブキはささっと背後に後ずさるが、立ち上がったフミザカに問い詰められる形で距離も詰められた。
「まてまて、朝から勧誘されてたから逃げるために早くこっちきたんだ、悪かったとも思うが別に待っててくれって頼んでないだろ?」
「それでも一本電話入れるなりあるでしょ! あなたがもらったスマホはゲームやるためにお母さんが渡したものじゃないんだからね!」
「あーいやこう言うちまちましたの苦手でさー。」
「一昔前のおじいちゃんみたいな言い訳しない!」
「……へい。」
相変わらずフミザカには頭が上がらないノブキに、再度笑いが起こるのは言うまでもないだろう。




