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「___ではみなさん、これから楽しい学校生活を送ってくださいねー!」
四月一日午前11時06分、
「以上、新理事長【葉坂ミサ】ちゃんでしたー!」
そう言って可愛くウインクしたミサは一礼して笑顔で壇上を後にした。
まさに滑稽な顔な生徒達に、登壇後隠しつつくすくすと笑う。
つい数日前にも先生方から似たものを見たから何ら不思議はない。むしろ何とも思ってなかったやつはよほど人の話を聞かなかった馬鹿か、同格以上の【異常者】だ。
なぜか?簡単な異常だ。
「…アレが例の【天才少女】?」
「ああ、てか【幼女】だろ、あれ。」
「何でも今年からだって。びっくりよねー」
ヒソヒソ話に耳を傾けたミサの年齢が『10歳』であるからだ。
【葉坂ミサ】
5歳にして某外国大学以上の知識を持ち、主にAIを始めとした機械や科学の発展に貢献、
さらにはその謝礼等を元手に株で儲けて個人資産も数億単位にのぼる。
数年前に出たテレビでは【現代の幼き発明王】とかセンスのない呼ばれ方までされた。
故に、ミサは孤独でもあった。
唯一の理解者だったのは父。上に二人姉がいたが、異端と呼ばれるミサはソリは合わず、母親に関しては不明。
父は元々はこの学校の理事長でもあり校長だった。だからか、姉二人にも、ミサにも平等に正しく、優しい父親だった。
でも、ミサは人の裏は読めても心は読めない。故に数年前に他界した父に代わり理事長を継いだが、校長は別に優秀な人を雇った。
天才故に、金持ち故に狙われることもあり、知識と金を費やしミサは、
丘に立つ【葉坂高校】を防衛面を重点的に箱庭化もさせ、他人を信用せず……いやできなくなってしまっていた。
しかし去年、クリスマスの夜に転機が訪れた。
「ふんふふーん♫」
ミサは午前で下校する新入生の困惑の目を気にせずスキップしながら一つの教室に向かう。
数年前からこの高校は超高校級の生徒をスカウトして回り、今では有名な学校となった。
だが、そんな特待クラスも素通りしてミサが向かうのは、普通より若干問題児が集まるA〜EのクラスEクラスだった。
「…なあ、噂だがEってあの【狂犬】がいるってさ」
「あ、それ知ってる!」
ふと会話が聞こえ足を止めたミサは、その会話をする二人の生徒に視線を注ぐ。
「確か【粉吹市】の不良校統一を中一でやったとかな。」
「ああそれそれ。でも確か去年ついにここらのヤクザと揉めたってな話だったな。でも確かアレ結局どうなったって話聞いてないなー」
「それなんだがどうも、例の【聖夜】の時に解決したって噂があるんだよ。実際一月以降狂犬、すでに解散してアイツとつるんでるから。」
「アイツ?……ああ、聖夜と絡むとしたらアイツか!」
ここ【粉吹市】には去年、ちょっとしたイベントがあった。
それは何の変哲もない潰れつつあった商店街でのクリスマスイベント。
その頃からネットでもそこそこ話題となった少年、その通り名は
「あんたが【聖夜の魔法使い】だってのはわかってるのよ!!」
唐突な怒声に辺りは静まる。
ミサは振り返るとそそくさと下校する生徒達の姿があり、それはまさに1-Eだった。
揉め事だろうが、それがEで、【聖夜の魔法使い】と言う単語が聞こえた時、小走りにその教室に駆けるのだった。




