嘘と誠の協奏曲 Ⅲ
「…うげっ」
ノブキが嫌そうにしたが、彼はまず俺の前に立ち握手を交わす。
「俺【遠藤 武】って言うんだ。よろしくヒラナゴ君!」
「あ、はい。」
ヒラナゴ君、とは珍しい。大抵ユウマの方が呼びやすいからそっちでくるのだが。
そしてよく見てわかったが、この人、美形の男児だと思ったが胸の膨らみがやや見えることからまさかの女子だとわかった。
「…女子剣道部が何でまた、ノブキを?」
「ああ、それは我が剣道部に自分以上の実力者が少なくてな。だから【神童】とまで言わしめた彼と手合わせすることでさらに自分を高められると踏んだのさ!!」
「いい迷惑っすよマジで。」
ノブキはため息をつくが、イサムは勢いをそのままに捲し立てる。
「だから、君と対戦し、剣道部にきてもらおうと思ってな!」
「何でっすか!?」
あ、これ言葉通じないかも。俺はノブキを憐れみつつ、しかしと逡巡する。
それを聞きつけてか、他の生徒、主にスポーツ系の特待生達がわらわらとやってきた。
「それなら俺ら野球部が!」
「いや、ノブキはサッカー部に!!」
「いやいやアメフトも」
どんだけスポーツ部勧誘あんだよ、とノブキを囲む群れに………
ダンッッッッッ!!!
と、唐突にどデカい音がした。
後の先に振り向くと、ギンキがボールを、校舎方面に投げ、まさか数百先の後者の壁にヒビをつけている光景。静寂は必然だろう。
「……へー、オレの受けれる奴だったことか?」
ニヤッとしたギンキの笑みに、群れはスッと散開したのだった。
「すごいすごーい!」
そんな中でキャッキャしていたのは一人、一番怒っていいロリ事長だけだった。




