間違った異能の遊戯譚 Ⅲ
「よお、また変なこたぁしてんなユウマ」
ノブキに毒付いていると、背後から聞き覚えのある声がした。ノブキはチラッと見て「肩幅やべー!」って興奮したところから、やはりと言うべきか予想できた人物に俺は振り向きながら嫌々しく口にした。
「…ギンキ、今日はお前も敵だな。」
「おい待て待て、俺はユウカやカナコを懐柔しやがった魔王に付き合わされてる哀れな羊達だぜ! お前以外男連中で女陣を止められる奴いねーだろが。」
とギンキは親指を向けた先、懐柔されたとは思えんくらいに前々日から設備等の指示して現在ぐったりな参謀を指す。
「…………」
「…わかった、正直乗り気ではあったさ。 ……何たって、どんな形であれお前とはあの戦いで唯一、終始【敵になれなかった】からな。」
「……その口ぶりからして、お前も【エキシビション】参加か?」
「ああ」
と、そこでギンキを呼ぶルシフェルの声に、眉間に皺を寄せながらも声の方に歩き去った。
「これまた、珍しい光景だな。」
ギンキとルシフェル、それこそ終始【味方にならなかった】二人の貴重な光景にフッと、つい笑ってしまう。
【敵になれなかった】、それは魔王と戦った勇者一行の頃から、俺が世界そのものの敵役になった頃までを指す。……正直、勇者一行の頃はともかく、あいつが俺側についたのは今更だが知らないままだったりする。今度聞いてみようかと思う。
そうすれば、少しは【あいつ】の本当の心情も、読めるかもだしな。
「おいおい、テメーらの因縁もいいけどよ」
と、隣のノブキが口を開く。
「…いつか、オレとの決着もつけてくれよ、悪友」
「何だよ、お前対戦チームにならねーのか?」
「まーな。…悪友だが、変な疑念は晴らしてやりたいって思ってな。」
「……お前、意外と人情深い奴なんだよな。」
「おうお前今まで何見てやがった」
変わる環境、変わる関係性。
だが、今日もこうして漫才してられる日常だけは変わってほしくないなと、俺は少しばかり願ってしまいたい気持ちになりながらくだらない口論を、始まるまで続けるのだった。




