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「うん、これで頼むよ?」
「ははは、ガキの割にいい商談だったぜ!! ……こんな、金になる卵を多くもらえるとはなー。」
スキンヘッドの巨体が盛大に笑い、フードの少年を絶賛している。
壁には大きな穴が空き、血飛沫が散らばる。それを成したのは、現実とは思えない現象だった。
男は握る杖を、そしてテーブルにある大量の杖をニヤニヤとしまい部屋を出る。
部屋を出る時、男は扉の横にもたれる女に鼻で笑う。
「はっ、手柄はオレのもんだ。次の作戦、ちゃんと俺の指示に従えよ娼婦崩れ」
「………」
特に無反応なことに舌打ちをして部屋を出た男を、女は冷ややかな目で見送ると少年の方に向く。
「……何が目的だ? 我々『アルネス』にこんな取引。裏切ればどんな制裁があるか分からない子供でもないでしょ?」
「…目的、ですか。そう、私は目的がありますが、あなた方への協力はその目的の一つに過ぎません。」
少年は用事が無いと言いたげに窓を開け、足を乗せる。ここは十五階もあるビルの一室だ。
「敵対でも構いませんが、あの男を今、あなたは止められない。放置もできない。なら諦めて私の手の上で踊ってください。大丈夫、あなたのような方ならそう死ぬ事もないでしょう。それよりこれから第一の祭りの下準備をしようと思うので失礼します。
あ、そうそう。目的ですがね、私、『平和湧磨』を本気で怒らせたいんですよ」
振り返る彼は、それまで淡々とした態度に反し無邪気な、輝きを持った瞳で話し出す。
「私はユウマと、怒った本気のユウマとの『チートバトル』がしたいんです。そのためにいくつもお祭りをしますよ。彼はヒーロー、英雄、勇者……そう呼ばれる人種だ。故に必ず彼は悪の私を倒しに現れるでしょ。それまでに殺意を育てなければね。
なぜ聴かせてるか気になります? それはですね………あなたがいずれ彼に助けを求めるはずだからですよ、『ヒーロー』にね。」
すぐ後、ブワッと風が吹き手で塞いだ。その一瞬に目を開けるとそこにはもう少年はいなかったのだった。




