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魔王と勇者に好かれたもの  作者: ヨベ キラセス
一章 平穏と日常に思い馳せたもの
17/25

拾弍(12)

「待ってましたマオさん、それにルシフェルさんも。」

 製薬会社につくと、そこに元勇者一行の参謀兼槍術士『ハンサ』、そして人族の『聖女』と呼ばれた僧侶の『カナコ』が笑顔で出迎えてくれた。

「ユウカさんも元気そうで嬉しいです!」

「ありがとうカナコ。そんな中で申し訳ないけど」

 と手を握られたユウカが少し苦笑いを浮かべながら背後を見る。

「あー、はい。そういう事ですね。」

 カナコも半笑いな程に、まだまだいがみ合うルシフェルとギンキ。するとハンサはカナコの肩を叩き、

「カナコさん、二人を先に案内してください。ジブンがあの人たちを連れて行くので。」

 と言って二人のところへ歩いて行った。

「…では、案内しますねユウカさん、マオさん。」

「う、うんありがとう。」

 彼らのことは気になるが、ひとまずボクらはカナコの案内で地下の隠し会議室へと案内されたのだった。



「…で、これはなんだって話だ」

 全員が席についた後、納得のいかない顔をし頬杖をつくギンキがトントン、と一枚の写真を叩く。

 それは霧がかった風景に、巨体な人形豚の姿、まさにそれは『オーク』と呼んでいいだろう。

「なんで空想の存在、って認識のこの日本にいるんだって話だ。いるとすればテメェら魔族……『凰巻財閥』のやつだよな?」

「ま、待ってきださいギンキさん! マオさん達が原因と決めつけるのは早計でしょう!!」

 と、ハンサが慌てて止める。

「騒がなくても聞こえてるっての。……冗談、とまでは言わねぇがよルシフェル、お前らの現在の四天王の威光はだいぶ落ちてると思うんだがどうなんだ?」

「……」

 ルシフェルは図星を刺されたように気まずそうに視線を逸らしている。一言言おうかと立とうとしたボクを、しかしユウカは制す。

 ギンキは頭を掻き、唐突に立ち上がるとルシフェルの元に向かってその背をバシン、と叩く。

「!?」

 ルシフェルがびっくりしてギンキを見上げると、ギンキはため息をついて言う。

「…ちげーだろ、そこは。お前の大将は力で従える前々世代まえの魔王と一緒か? 今の右腕はテメェだし、俺と同格の強者だろうがよ。」

「巨漢のツンデレは需要ないですよギンキさん」

「ぐ、ハンサテメェ!!」

「ひっ!?」

 赤くなったギンキの威圧にハンサは瞬時に椅子の後ろに隠れる。

「…ふっ、人間のあなたに負けるわけないでしょう。」

「な、テメェもか!」

 彼の言葉に、一息つくとルシフェルはいつも通りに戻っていた。

「…確かに今、四天王は弱体の一途でしょう。そもそもの話四天王と言いつつ今は3人。さらに言えば四人め……彼女の立ち位置のバランス装置みたいなものでしたからね『四天王』は。……ですがそれでも、今の魔族に人、それ以外の生命に対しての敵対意思はありません。それはマオ様がいてこそ、いえマオ様とユウマ様がいてこそのこと。」

「…そうはっきり最初から言えっての。」

 ギンキは自分の席に戻り、一安心したハンサも席に戻り一枚の写真に再び話を戻した。

「…それでここからが問題なのですが、どうもこのオーク、協力者が存在すると考えます。」

「協力者?」

 ユウカの問いに、ハンサは一瞬言いづらそうにしたが、意を決して話を続けた。


「…これ、おそらくですが『迷いの森』の霧と同じ現象、いえ『魔法』が行使された形跡がありました。」


 それで一同は静まり返る。

 彼が今回ユウマを呼ばなかった理由はそこにあると分かったからか、ボクは唇を噛み、その写真を睨む。




 その『迷いの霧』の魔法を行使できた人物が、ボクらの知る限り魔法と『平和流』を教えてくれた先生、唯一ユウマが『師匠』と口にする人物だったからだ。

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