拾壱(11)
校門前で、黒塗りの箱が止まっていた。この世界では『車』、さらに言えば『ベンツ』。
そしてその横に立つ黒服に銀髪のその人に手を振る。
「ルーちゃん待たせてごめんねー!」
「まお……様が謝辞を述べる必要はございません。それよりもその者も同乗ですか?」
「そうだよー。もー……まだ根が深いとはおもうけどさー」
「いえ、ユウカには特に。ただ勇者一行の『脳筋バカ』がまた突っかかってくるかと。」
「誰がバカだ堕天使。」
と、そんな会話の中に割り込むように筋骨隆々の男が、
「…おい銀斧の、なぜ自転車で迎えに来た?」
とルーちゃん__『ルシフェル』は眉間を摘みながら問う。
「は? そんなの小回りも効くし、そんなでっかいのなんかより最短を移動できる最高の乗り物だろうが!」
「貴様は勇者を、それも少女を羞恥の目に合わせる気か!! ユウカ、貴様もなぜ当然のようにそのバカの後ろに座ってるのですか!!」
ユウカは彼『ギンキ』に渡されたヘルメットを着けて今まさに腰に掴まっていた。
「…合理的だと思うけど。」
「……ギンキ、それを荷台に積むから貴様も乗れ。宿敵がそんな姿、頭が痛くなる。」
「なんだとテメェ!!」
といつものように犬猿の二人は歪み合いながら、結局ギンキが運転、助手席にルシフェルが乗り、目的地となる町外れの製薬会社に向かうのだった。




