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猫魔女と弟子と魔法の世界  作者: 月輪林檎
立派な魔法使いへ

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クリスマスイブ

 こんな状況になって、普通に授業があるわけもなく、私は白の寝室で師匠の魔力を増やしていた。そこに、寧音と蒼がやってきた。傍に冷音さんがいるから、連れてきてくれたみたい。白の間に来ているからか、二人とも緊張していた。


「二人とも残ったんだ?」

「当たり前でしょ。そのために修行に参加したんだから」

「ん。水琴守る」

「ありがとう。でも、危なくなったら逃げてね。私のために二人が死ぬのは嫌だから」


 二人は正義の心とかじゃなくて、私を守るために残ってくれた。だからこそ、ちゃんと伝えないといけない。私のために死ぬような事がないように。自分のせいで、友人が死ぬのは嫌だから。


「それじゃあ、水琴も命は粗末にしないでね。ちゃんと自分で自分を守って」

「分かってる」

「ん。私達はもう行く。戦いまでに修行する事になってるから」

「そうなんだ。無理はしないでね」

「ん」

「うん。水琴も修行頑張って」

「うん。ありがとう」


 これで二人は白の間を出て行った。クライトンが攻めてくるまでに、ある程度戦力を高めるための修行があるみたい。実戦向きの修行をする感じなのかな。

 本当なら私も参加するべきなのだけど、私は師匠の魔力を増やし操る修行を続けないといけない。それが、自分自身を守るために必要な事だからだ。そして、同時に茜さん達の魔力も取り込む。複数の魔力を持ち切り替えて戦えるというのが、私の大きな強みの一つだからだ。


「そういえば、白の魔力は取り込んじゃ駄目なの?」

「さすがに死ぬわよ。白の君の魔力は濃すぎるわ。私の魔力のように一気に取り込んだら、身体がボロボロになるわ」

「そうなんだ……分かった」


 白の魔力を私が使えたら、かなり強くなれると思ったけど、さすがに都合良くはいかなさそうだ。大人しく皆から魔力を貰いつつ、魔力増加を続ける。定期的に茜さんから検査を受けて、状態が落ち着いている事も確認している。

 今日も今日とで、寝室で検査を受けていた。


「そういえばぁ、水琴ちゃんの魔力量増えてるよねぇ」


 検査を終えた茜さんが、そんな事を言う。


「そうなんですか?」

「うん。ここ数日でも大きく増えてるねぇ」

「でも、何でなんですか?」

「ここが源泉に近い状態だからだろう」


 答えたのは、寝室の入口に来ていた白だった。


「源泉って、あの源泉?」

「その源泉だ。私の魔力が広がっているからな。それを取り込んでいるんだろう」

「えっ!? それって、大丈夫なの!?」


 思わず師匠の方を見る。師匠からは、白の魔力を取り込むと危ないと聞かされていたので、本当に大丈夫か心配になったからだ。


「大丈夫よ。確かに、白の君の魔力が濃いけれど、それは身体に異常が起こるような濃さじゃないわ。こういう間接的な方法で取り込むのであれば、問題は無いはずよ」


 確かに、ここでずっと魔力増加をしているけど、身体がボロボロになるとかはなかった。師匠の言うとおり、この方法でなら白の魔力を取り込んでも問題はないらしい。ただ、これで取り込んだとしても白の魔力は、私の魔力に変換されるらしい。大気魔力と同じと身体が判定しているのかもしれない。


「私の魔力を直接取り込もうと思うなよ。死ぬからな」

「分かってる。師匠からも言われてるし」

「そうか。それなら良い。アリスの魔力の方はどうだ?」

「大分増えてるよぉ。でも、アレの魔力も増えてるかなぁ。多さで言えば、師匠の方が上の状態。師匠から直接摂取出来るから、その分多くなってるんだと思うよぉ」

「だろうな。無理はするなよ」

「うん」


 それからさらに時間が経過していく。第二封印が解けてから、クライトンがすぐに襲撃してくるという事はなかった。クライトンの襲撃は、第二封印が解けてから二週間後に起こった。

 雪の降るその日は、クリスマスイブだった。私は、師匠と一緒に白の間で修行を続けていた。


「せっかくのクリスマスなのに、修行漬け……」

「仕方ないでしょう。いつ襲撃があるか分かったものじゃないのだから」

「まぁ、そうだけど……」


 そんな話をしていたら、不意に師匠が顔を上げた。


「どうしたの?」

「襲撃よ。白の君の結界が攻撃されているわ。恐らく、陽動ね」

「何で?」

「壊す気がある攻撃に思えないわ。恐らく、結界を越える別の方法を使ってくるはず。先に寝室に隠れるわよ」

「うん」


 白の寝室には、特殊な処理が施されており、魔力の感知を遮断する事が出来る。クライトンの襲撃に備えて、白が改造してくれた。寝室に入ろうとしたその瞬間、大きな音と振動が学校に広がった。そして、白の間の天井にも罅が入る。


「やってくれたわね」

「どういう事?」

「どんなに硬い要塞も内側からの攻撃には弱い。裏世界から結界の内側に侵入したのよ。一番確実で、一番厄介で、一番危険な方法のはずなのだけど。裏世界の戦力がやられたようね」


 一番確実に結界を越える方法だからこそ、裏世界に人員を配置していたみたい。でも、学校が攻撃されているという事は、その戦力がやられたという事が分かる。


「水琴、しゃがみなさい」

「うん」


 師匠に言われた通りしゃがむと、師匠が私と自分を覆うように『防壁』を作り出す。同時に、天井が崩れて瓦礫が落ちてきた。それらを『防壁』が防いでくれる。


「これじゃあ、寝室は機能しないんじゃ……」

「その通りね。あれは魔術的なものだから、機能はしないでしょうね。だから、すぐに移動するわよ」

「うん」


 師匠が瓦礫を吹き飛ばして、道を作り出す。白の寝室が使えなくなった以上、まずは校舎から離れるように移動しないといけない。校舎が攻撃されたという事は、校舎近くにクライトン達がいる可能性が高いからだ。

 でも、その前に魔法による攻撃が飛んで来た。即座に師匠が『防壁』を張る。


「危ないわね」

「これは重畳だな。まさか、侵入早々見つけられるとは」


 そんな声がした方を見ると、そこには幽霊退治の時に襲ってきたクライトンの姿があった。その周囲には、他にも多くの人がいる。恐らく、クライトンの仲間だ。


「最悪ね。白の君は……」

「残念ながら、白の君は来られないぞ。そちらに戦力を割いているからな」

「あら、じゃあ、それだけの戦力で私を相手にするという事かしら?」

「ふん! 今の貴様如きなら、この程度で十分だ。そして、そいつは頂こう」


 クライトンがそう言うのと同時に、私の足元で魔法陣が展開した。師匠もすぐにそれに気付く。


「水琴!」

「師匠……」


 師匠に向かって手を伸ばすけど、師匠に届く前に周囲の景色がかき消えて、別の景色に切り替わった。


「え? ここは……裏世界?」


 近くに白が建てたと言われている塔があるから、裏世界だと分かった。師匠も近くにいたのに、私だけ飛ばされた。つまり、私だけを選択して転移させたという事だ。周囲には、人の死体が沢山転がっている。クライトン達が倒した人達かな。無残な死体に、気分が悪くなるけど、無残な死体は何度か見ているためか、吐き出すという事はなかった。嫌な慣れだ。

 状況把握をしていると、周囲から見覚えのない人達がわらわらと現れる。


「大人しく拘束されな」


 私を殺すよりも、捕まえる事を優先するみたい。生きたままの私から魔力を奪うという考えは変わっていないみたいだ。


「断る。あんな馬鹿の言う事なんて聞く訳ないでしょ」

「なら、死なない程度に痛めつけてやる!」


 予想していなかった展開だけど、ここで捕まるわけにはいかない。ひとまずは生き残る事を最優先に行動する。覚悟は決めた。

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