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猫魔女と弟子と魔法の世界  作者: 月輪林檎
立派な魔法使いへ

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白の休まる時間

 白と一緒に白の間に移動すると、そのまま白に手を引かれて、白の間の奥の奥に進んでいった。途中壁が開いたから、本当に驚いた。全部が真っ白だったからか、魔法で継ぎ目すらないくらいに正確に作られていたからなのかは分からないけど、私は全く気付かなかった扉だ。

 そして、その扉の奥にはベッドが置かれている。まるで寝室だ。


「こんな場所もあったんだ?」

「前の部屋は応接で使うからな。本当にプライベートの場所は確保しておいた。つい最近だがな」


 そう言って、白はベッドに倒れ込んだ。本当に疲れているみたい。国相手に色々な取引をしていたと考えたら、それも当たり前か。

 そんな白の隣に座る。


「疲れているなら、また今度にした方が良いんじゃない?」

「いや、傍にいてくれ」


 そう言いながら横寝になって私を見る。私で癒しになるなら、白の傍にいてあげる事にする。白を抱き起こして枕の上に頭を乗せる。白の使っている枕は、かなり大きいので二人で使っても余裕がある。


「それじゃあ、このまま話そうか」

「そうだな。ここ最近はどうだった?」

「修行に変わりはないかな。同じ事に繰り返し。相変わらず、蒼には勝てないね」

「ふむ。近接戦が課題という事だな。魔力総量は多いのに負ける理由は分かるか?」


 少し考えてから答える。


「運動神経は負けてないと思う。だから、単純に経験?」

「経験に関しては模擬戦相手をして貰っている間は、いつまで経っても追いつけないだろう」

「それじゃあ……あっ、師匠から言われたのは目だったっけな」

「それだ。蒼には、戦況を把握する目がある。恐らく感覚が鋭いのだろうな。水琴の初動から動きを予測される。それを真似ろとは言わん。それに対抗出来るような何かを水琴が考えれば良い。勿論、近接戦に拘る必要はない」

「でも、近接戦で勝てないんだよ?」

「近接戦という名前で水琴の思考は肉体を使った対抗手段に偏っている。魔法を考えろ」


 魔法。詠唱する時間はない。その前に蒼のパンチが飛んでくる。そうなると、必要になるのは無詠唱魔法。詠唱はあくまでイメージを固めるための要素の一つ。だから、イメージがしっかりとしていれば魔法は発動するはず。まだ、まともに発動した事はないけど。


「無詠唱は難しいよ」

「無詠唱を使えるようになった後も課題が多いからな。発動時間が普通の魔法よりも長ければ意味がない。イメージの構築を即座に完成させて、魔法を放てるようにしなければな」

「課題が難しすぎる……」

「せっかく色々な魔力があるんだ。そっちの活用はどうなんだ?」


 白が違う提案をしてくれる。


「ヤツデの魔力は無理かな。私から干渉する方法が師匠の魔力を仲介に挟むしかないから。小さいヤツデが出て来た時、また暴れたけど抑えつける事しか出来なかった。師匠の魔力は、身体が頑丈になるだけだしなぁ。美玲さんの魔力と合せたら、耐久出来るけど反撃に繋がらないし。茜さんの魔力は、繊細なコントロールが出来るけど身体能力に繋がらないし、冷音さんの魔力は、私とあまり変わらないんだよね」

「冷音の魔力は変わらないのか?」

「うん。ちょっと弱いかなって感じ」

「ふむ……魔力視はどうだ?」

「魔力視?」


 魔力視は、魔力を目に集中させる事で魔力を目で見る技術の事だ。幽霊退治の時に習って時々使ってみたりしていたけど、自分の魔力以外ではやっていなかったかもしれない。


「魔力視も身体強化の一種だ。使ってみたら変わると思うぞ」

「そっか! じゃあ、やってみる!」

「あっ……いや、ここでは……」


 白が止めようとしてくれていたのに気付かずに、冷音さんの魔力で魔力視を使って見る。直後に視界が真っ白になった。さらに、何かが突き刺すような痛みすら感じる。反射的に目を閉じる。


「痛っ!?」

「目を閉じてろ」


 白の手が瞼に触れる感触がする。それと同時に痛みが和らいだ。私の目を治してくれているみたいだ。


「私の魔力量を甘く見るな。常人が見れば目が潰れるぞ」

「ごめん」

「それで、何か分かったか?」

「白の魔力が真っ白って事くらいかな……」

「そうか。これは、後でアリスと検証してみると良い」

「そうする」


 白の手が離れたので、目を開けてみるけど、若干ぼやけている。


「ぼやぼやする」

「しばらくすれば治る。そのまま目を瞑ってろ」

「うん。そうする」


 眼を瞑ってベッドに横になっていると、段々と眠くなっていく。元々寝るための家具だから正常だとは思うけど、この状況では寝ない方が正しい。私は、白を癒してあげるためにいるわけだし。

 眠気を我慢しながら、白との会話を続ける。


「冷音からレポートは見させてもらっているが、中々に面白いな。若干見当違いをしているものもあるが」

「えっ!? そうなの!? 師匠は、何も言わなかったけど……」

「敢えて見逃しているのかもしれないな。全てにアリスが口出しすれば、水琴のレポートというよりもアリスのレポートになりかねないからな」

「そういう事かぁ……」

「それに関しては、冷音が指摘内容をまとめているようだから、そのうち戻ってくるだろう」

「直しかぁ。まぁ仕方ないよね」


 こればかりは本当に仕方ない。間違っている事がまとめられていたら、直しをもらうのは当たり前の事だから。


「良い視点とは言っていたがな」


 そう言ってくれる白の声が段々近くなっている事に気付いた。目を閉じたまま、手探りで白との距離を確認してみると、やっぱり近づいている事が分かった。それと、私が白の身体に触れた瞬間、ちょっとだけ白の身体が強張ったような感じがした。急に触っちゃったあら驚いたのかな。白の髪は、外出していたからかまだ結ばれている。今日は軽く結んであるだけみたいなので、手探りでも解く事が出来た。白の柔らかく滑らかな髪の感触がする。

 白は、私の行動を咎める事なく受け入れていた。なので、そのまま白を抱き寄せる。白が近づきたいと言うのなら、こっちから受け入れてあげた方が手っ取り早い。白は奥手っぽいから。


「白の方はどうなの?」

「最近、何か変わった事はあった?」

「さっきも言った通り、話し合いばかりだった。おかげで、学校の外にいる事が多かったな」

「修行ばかりで気付かなかったけど、二ヶ月近く会えてなかったんだもんね。そりゃ大変なわけだよ。お疲れ様」


 そう言いながら、労いの意味も込めて、白の頭を撫でてあげる。白の柔らかい髪の感触が気持ち良い。しばらく撫でていると、小さな寝息が聞こえてきた。本当にお疲れだったみたい。それにしても、外から帰ったというのに白からは良い匂いしかしない。これが身だしなみの差かな。それを考えてから、自分が普通にお風呂とかにも入っていない事に気付いた。


(せめて、入る前に【洗浄】しておくべきだったか……いや、魔法はイメージ次第。それをちゃんと学んでいるところじゃん。なら、この状態でも汚れを取り除くイメージ。例えば、光で汚れを落とすような……)


 そんな風にイメージを固めようとしたのだけど、良い感じにまとまらない。だから、もう一つの方法を思い付いた。


「【清まれ】」


 言霊を自分の身体に掛ける。すると、何だかすっきりしたような感覚がした。反動は来ないので、そこまで強いものではないみたい。一応、白にも掛けてあげて、ゆっくりと白の身体を抱きしめてあげる。その内、私も段々と睡魔に抗えなくなり、意識を夢の世界へと飛ばした。

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