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楽園の鼠  作者: 金林檎
第1章 蝙蝠神の契約者
9/22

第7話 『チャイルドエラー』

第7話です。

主人公視点で始まります。

 前回までのあらすじ!!なんだかんだで対[アンノーン]最前線防衛都市『シンシア』にたどり着いた俺達!!ジェームズさんと言うとても親切な人に都市内を案内されこの都市で一番偉い人の所までやってきた!!←今ここ。


「そうですか、やはり現在の異常事態には原因があり、貴方達は極秘に調査を、それでこの都市に?」

「あくまで僕達は旅行中のしがない夫婦です、そうですね、旦那様?」

「え?あ、うん、そうだね?」

「ですので僕達の事は出来るだけ御内密に『守護者』ランシス、そう例えばこの都市で若い男女が逢い引きしていても見逃してくれると助かります、そうですね、旦那様?」

「お、おう、そうだな、アイビキ?は見逃してほしいよな、うん」 

「なるほど、あくまで夫婦の旅人であり、この都市には観光に来たと」

「はい、そのように扱ってください」

「分かりました、この都市での行動は制限いたしません、どうぞ自由に調査、んん、逢い引きして頂いていただいて構いません」

「感謝します『守護者』ランシス」

「いえいえ『王族』には逆らえな、んん、最近は物騒ですので、都市内とはいえ気を付けてくださいね?」

「はい、ああ、それと僕達がこの都市を出る頃には、貴方の悩みは無くなりますよ『守護者』ランシス、そうですね、旦那様?」

「あ、うん、そうだと思いますです、はい」

「っ!ああ!感謝しますシズク様!」

「ふふふ、では僕達は行きますね?」

「『聖王』猊下万歳!!」


 うん、何話してるのかさっぱり分からん、とりあえずそのアイビキ?ってのをすればいいのか?そもそもアイビキってなんじゃろな。


「(逢い引きは、いわゆるデートと言う奴だぞ相棒)」


 え!?デート!?じゃあなにか?俺はシズクちゃんとデートすればええのん?最高じゃん!!ウッホホーイ!!


「ソラ様、『守護者』ランシスから、この都市の調査許可を貰いました、これで自由に出歩けます、救世の第一歩ですね!」

「あれ?デートは?」

「はい、大義名分としては便利ですよね?夫婦の逢い引き、お気に召しませんでしたか?」

「あ、大丈夫です、はい」


 ショボ〜ん、だよね〜そうだよね~、うん分かってた、最近このパターンだもんね〜、クスン。


「ではソラ様、さっそく調査に参りましょう!」

「ああ、そうだねキュウセイしなきゃだしね」

「はい!!」


 まぁいっか、シズクちゃんが楽しそうだしね。






            ◆





 ソラ達をランシスの下まで案内し終えて、ジェームズは肩の荷を下ろした気分になっていた。


「はぁ〜『王族』の相手とか、緊張して心臓が止まるかと思ったぜ、しかし『守護者』ソラは凄まじかったな『王族』が護衛に付けるわけだ、同じ人間とは思えん、もしやあれが噂に聞く『聖刻者』なのかもな」

「ねぇねぇ、おじさん」


 背伸びをして、さて相方と合流しようかなと思った矢先、不意に背後から声がかけられた。


「子供?住居区から迷い込んできたのか?」

「おじさん、おじさん、私達と遊びましょう?」

「こらこら、此処は軍事区だ住居区まで送るから」

「ねぇねぇ何して遊ぶ?」

「だからな、此処は遊び場じゃ」

「かくれんほ?鬼ごっこ?」

「目隠し鬼は?」

「いいね!そうしよう!」

「鬼はだあ〜れ?」

「な!?」


 ジェームズは驚愕し目を見開く、いつの間にか周りには十数人の子供がジェームズを取り囲んでいた、ただの子供が『選抜者』である自分に気づかれず近づくなど不可能だ、背筋に怖気が走る。


「鬼はおじさん!」

「そうだね」

「そうしよう」

「おじさん、しゃがんで!」

「しゃがんで!しゃがんで!」

「おい!やめろ!っ!?か、体が動かない!?」


 [異能力]で身体強化をして逃れようとするが、体が思うように動かない、いよいよこれは異常事態だ。


「じゃあ、はじめるよ?」

「はじめよう、はじめよう」

「みんな〜おじさんをかこんで〜」

「わになれ!わになれ!」

「っく!やはり動かん!誰か!誰かいないのか!?」


 隊舎の周りは人数は少ないがまったくのゼロではない、しかし今はいない不気味な程静まり返っている。


「かごめかごめ♪」

「かごのなかのとりは♪」

「いついつでやる♪」

「よあけのばんに♪」

「つるとかめがすべった♪」

「うしろのしょめんだぁれ♪」


 口が動かない、どの子共も全然違うのに、男女だって別れてる、なのに全て同じに見える、同一人物に見えてしまう、答えられない。


「あれ?」

「あれれ?」

「おじさん、わからない?」

「わからないの?」

「いや、ま、まってく」


 とっさにジェームズは静止するよう声を上げるが、無情にも子供達はゲームの終わりを告げる。


「じゃあ、おじさんの負けだね?」

「負けだって」

「僕達の勝ち〜」

「私達の勝ち〜」

「おじさんはバイバイだね?」

「バイバイおじさん」

「おじさんバイバイ」

「いい事したね?」

「うん、いい事した」

「お父さんの言うとうり」

「僕達が」

「私達が」

「遊び続ければ」

「いっぱい、いっぱい遊び続けければ」

「最後に鬼はいなくなる」

「悪い鬼はいなくなる」

「僕達の手で」

「私達の手で」

「「「「「「「「また一歩世界は平和に近づいた」」」」」」」」


 バサッと、その場に『選抜者』の制服が落ちる、そこに居た〝誰か〟は姿を消した、だがそれは誰にも知られることは無い、なぜやら世界中の誰もが、そこに居た〝誰か〟を覚えていないのだから。


「次は何して遊ぼうか?」

「次は誰と遊ぼうか?」

「お兄ちゃん?」

「お姉ちゃん?」

「だめだめ!お兄ちゃん達は最後!」

「だめだめ!お姉ちゃん達は最後!」

「お父さんに言われたでしょ!」

「お父さんに言われたよね!」

「じゃあ次はあそこのおじさんに遊んでもらおう」

「そうだね!あそこに居るおじさんに遊んでもらおう」


 いつの間にか隊舎の周りには人が戻っていた、そして隊舎から出て来た『選抜者』の制服を着た男に声が掛かる。


「おじさん、おじさん僕達と遊びましょう?」

「あん?なんだこのガキは?」


 次の遊び相手が決まった。


「何して遊ぶ?」

「何して遊ぼう?」

「かくれんぼ?」

「鬼ごっこ?」

「鬼ごっこが良いな」

「鬼ごっこをやろう!」

「はぁ!?なんだこりゃ!?周りの奴らはどこ行ったんだ?誰もいねぇぞ!おい!お前等がやったのか!?お前等一体何なんだ!!?」


 まるで違う世界に迷い込んだ錯覚に陥り、混乱している遊び相手の問いに子供達は答えた。


「僕達?」

「私達?」

「僕達の名前はね」

「私達の名前はね」

「「「「「「「「チャイルドエラー」」」」」」」」


 また一人世界から〝誰か〟が消えた、人知れずひっそりと、この日『シンシア』の異能力者の九割、4500人が姿を消した、だがその事に誰も気づかない、ただの一人も気づかない。










 

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次は第8話です、次回もよろしくお願いします。

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