第6話 もういいかい、まあだだよ
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第6話です。
『守護者』ランシス視点で始まります。
本当に忙しい、死んでしまう。
毎日毎日[アンノーン][アンノーン]もううんざりよ。
先月なんて[変異種]が出やがったせいで、貴重な戦力の『御使』が8人も死んでしまった、『選抜者』と違って『御使』は後任が来るのに時間がかかるのに、それまでの戦線の維持が本当にしんどい。
本来都市の結界を維持する『守護者』たる私がなぜ前線に出向かなきゃならないのよ、そもそも『守護者』と言っても防御特化の[異能力者]の私は戦闘は専門外なのに、せめて私以外に『守護者』がもう一人欲しいわ、欲を言えば『聖刻者』が居てくれたらなと思う、あいつ等『聖都』から動けないからな~、っていうか普通逆じゃない?『聖都』に防御特化の『守護者』を置いて、戦闘特化の『聖刻者』を防衛都市に置いた方がいいのよ絶対、まぁ『聖刻者』は『王族』お抱えの暗部だし、公にできないのも解るんだけどね。
とにかく最近問題起こるのが多すぎる、何度も言うわ、忙しくて死んじゃう、『聖王国』が誇る『守護者』の死因が過労死とか笑えないわよホント。
「『守護者』ランシス!報告します!正門より10キロ先[アンノーン]の群が出現!規模は推定2000!複数体の[変異種]が確認されました!」
「『御使』の小隊を偵察に、[変異種]が確定なら『選抜者』は下がらせなさい、詳しい情報が入り次第、私も出ます、その間都市の結界が途切れるので全『選抜者』は防壁に待機、『御使』と連携し『御使』一、『選抜者』三のフォーマンセルで迎撃準備」
「はっ!!」
行ったそばから問題発生、よりにもよって[変異種]?先月出たばっかじゃない!?もうこれ以上『御使』クラスが居なくなると、私ホントに過労死しちゃう!!
「ハァハァ!『守護者』ランシス!!大変です!!」
も〜う!!今度は何!?
「落ち着きなさい、どうしましたか?確か貴方は城壁にて荒野の監視をしていた、おや?相方の『選抜者』ジェームズはどうしたのですか?貴方の[異能]よりも彼の[異能]の方が連絡しやすいでしょうに」
「ハァハァ…ア、[アンノーン]が」
「ああ[アンノーン]の大量発生は報告を受けております、今対策を」
「ハァ……ア、[アンノーン]の群が殲滅されました!」
「なっ!?」
はぁ!?殲滅!?2000クラスの群を!?複数体の[変異種]もいたのよ!?
「何が起こったというの?いったい誰が?」
「はっ!城壁での荒野監視時、私の〈サーアイ〉にて異変を確認、『選抜者』ジェームズの〈クラアル〉も同様に確認しました、男女2人、そのうち男性1人で[変異種]を含む[アンノーン]の群を瞬く間に殲滅、女性は戦闘に加わりませんでしたが、身体的特徴が白髪朱目でして」
まんま『王族』の特徴じゃない、と言うことは男の方はまさか『聖刻者』?もしかして、今起こっている[アンノーン]の異常発生って『王族』が『聖刻者』を連れて出向く程の異常事態ってこと?でもそう言う報告は聞いてないし、でもでも『御使』が複数人殉職と言う事態を重く受け止めて、『聖都』から応援が寄越す事になったけど『聖刻者』を『聖都』から出すのは表向きは不味いから極秘で来たとか?ん〜?
「………分かりました、その方々の対応は私がします、皆さんは当初の予定通りの行動を、『選抜者』ジェームズはその方々の所に行ったのですね?合流後そのまま隊舎に来るよう伝えてください」
「はっ!!」
さてさて鬼が出るか蛇が出るか、しっかりするのよ私、あ〜胃が痛くなってきた。
◆
『シンシア』と言う都市にたどり着いた俺達を案内してくれているジェームズさんの後ろをトコトコ歩きながら、俺は街の様子を眺めていた。
「ほえ〜、すっげぇでかい塔がいっぱい有る、中に人がいるみたいだけど、あれって家なのか?」
でも中身が透けて見えるってどうなの?プライバシーもクソもないよな。
「あれは〝高層ビル〟と呼ばれる建造物です、今は無きロストテクノロジーで作られた建物で、今の技術では到底作ることの出来ない代物なので、現在は[異能力]で修復しつつ騙し騙し使っているのが現状です、僅か半世紀前にはあのような建造物が世界中にあったと言うのだから驚きでよすね」
へ〜そうなんだ、昔の人って凄かったんだな~、何で[アンノーン]に負けたんやろ?こんな凄い技術があるなら、普通圧勝だよな?
「(文明を発展させすぎたせいであろうな、僅か数世紀で異常なほど技術が進み、人類は神秘を否定してしまった、[アンノーン]は神秘の力以外で傷つけることはできぬ、神秘を捨てた人類では太刀打ちできぬだろうて)」
いや〜世知辛いね〜、あっちを立てればこっちが立たずってな感じかね?
「しっかしシズクちゃん交渉凄かったね?あっという間に話付けちゃうんだもの、びっくりしちゃった」
「お褒めに預かり光栄ですソラ様、僕は村の外に出るのは初めてだったのですが、『教会』の神父様に、もし外の村や街に行くことがあるのなら、どのように対応するのかを教えていただいたのです、想像以上に効果があって僕も驚いてしまいました」
「ほほ〜ん、そうなんや〜、神父様に感謝だね」
「………はい、本当に感謝しております」
あれ?しんみり空気になっちゃた?
「(相棒、村の神父と言うことは、村に行ったあの時にはもう、人間はこう言った内容の話に敏感であろう)」
はい、デリカシーのない話題を振ってしまいました、だよな〜、シズクちゃんしか生き残りがいないってことは既にいないって事だよな、反省反省。
「ごめんよ、配慮にかけてた」
「いえ、ソラ様には感謝しかありません、神父様や皆が死んでしまった時、僕は卑しくも助かりたいと、生きたいと願ってしまった、そんな僕を、醜い僕を受け入れ《眷属》として認めてくれた、神父様達には悪いと思いますが、僕は今とても幸せです」
「シズクちゃん」
うお〜ん!シズクちゃんそんなに俺の事思ってくれてたんだね!俺頑張るよ!いい旦那さんになるからね!
「シズク様、ソラ様見えて参りました、あの隊舎に都市の代表である『守護者』ランシスがおります、今後の方針などの話はそちらでお願いします」
「案内感謝します『選抜者』ジェームズ、ですが我々は飽くまで旅人です、『守護者』様とお会いしてもよろしいのですか?」
だよな〜、この都市の一番偉い人だろ?俺達がいきなり会えるものなのか?
「ええ大丈夫です、先に使いを出しましたので、シズク様達の事情も伝えてありますのでご安心ください」
「そうですか、色々と配慮してくださりありがとう御座います」
おお〜、上手く話が進むな〜、これなら黒幕野郎の調査もすぐにできそうだな。
「(うむ、相棒の色恋沙汰を抜きにしてもよい拾いものだったな、中々使えるではないかこの娘)」
ふふん、自慢の嫁ですのでね!ドヤ〜。
「(それを口に出せばいいものを、シズクのやつも満更ではないのだ、さっさと番になればよかろう)」
いや〜思春期男子にはハードルが高いんっすよ、もう少し待っててください、おなっしゃす!!
「(相棒がそれでいいのならよいが、余としては貴様の子孫ならば余の加護を与えても良いと思っておるでな、人間の寿命は短い、余の今後の楽しみを残すと思って、子は沢山作ってくれると助かる)」
相棒お前そんな、婚期を逃しそうな息子に結婚を急かす親ムーブすんなよな、まぁそんだけ俺の事気に入ってるって事だろ?へ、照れるぜ。
「(クックックッ、まぁそうであるな相棒、貴様は今までに関わったどの人間共や神々とも違う、余を友として扱った唯一の存在だ、子々孫々に至るまで見守ってやろうと思う程度には気に入っているぞ?」
「相棒がデレた!?」
「?、ソラ様いかがされましたか?」
あ、ヤベ声出ちゃた。
「コホン、いや?なんでもないで御座いますですのことよ?」
「???、そうですか」
「お二方付きました、この〝高層ビル〟がうちの隊舎です、どうぞお入りください」
うわ〜近くで見るとマジでデカいな、人間が作ったなんて信じられないぜ。
「ソラ様?」
「ごめんごめん今行くよ」
いけないいけない建物に見惚れてたら置いてかれるとこだった、さてさてこんなスゲー都市のお偉いさんってどんな人なんだろ?やっべ緊張してきたぞ。
◆
「来たね」
「うん、来た来た」
「お父さんの言った通り」
「お姉ちゃんかな?」
「お兄ちゃんかな?」
「楽しみだね」
「うん、楽しみだね」
「いっぱい遊ぼう」
「何して遊ぼう」
「遊んでもらおう、いっぱいいっぱい遊んでもらおう」
「「「「「「「「死ぬまで一緒に、遊んでもらおう」」」」」」」」
ここまで読んでくれてありがとう御座います。
次は第7話です、次回もよろしくお願いします。