表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽園の鼠  作者: 金林檎
第1章 蝙蝠神の契約者
17/22

第15話 新たらしい眷属が増えました

第15話です。

カマソッツ視点で始まります。

 前回のあらすじ!!意識を失ったまま目を覚まさない和風美少女!!目覚めさせるには俺の眷属にするしか方法が無いらしい!和風美少女葵ちゃんを救う為、俺はシズクちゃんの説得を試みる!!見事シズクちゃんの説得を成功させ、後は葵ちゃんを眷属にするだけ!!俺は相棒と交代して彼女を救う準備をするのだった←今ここ



 ソラと意識を交代したカマソッツは意識の無い葵を眺め、状況を確認する。


「(ふむ、見たところ呪の残滓は無いな、と言う事はやはり霊格に損傷がある訳だ、彼奴め意地の悪いことをする、だが巡り巡って相棒の益になるとは皮肉なものよ、クック愉快愉快、さて始めるか)」


 カマソッツは葵の額に手を当て、彼女の深層心理へ自身の意識を潜らせた。


「(ほう、なるほどなるほど、彼奴めに目を付けられる訳だ、この娘巫女か?相当高貴な血筋と見える、これは相棒の眷属として申し分ないな、どれ娘の意識は何処にあるのか)」


 心象風景は辺り一面が花畑で、障害物もなく見晴らしがいい、それらしき影は直ぐに見つかった。


「(あそこか、むむ、だがアレは)」


 葵らしき少女の周りを複数の子供達が囲んでいる、まるで少女を護るように子供達が佇んでいた。


「(『神隠し』の童共か)」


 『チャイルドエラー』の1体が周囲をキョロキョロと見渡す。


「あれなんだろう?」

「え?どれどれ?」

「あ〜!ずるい僕もみたい!」

「なになに?」

「あ!ホントだなんかいる!!」


 1体が気づくと、次々とこちらに視線が集まる。


「うわ〜大っきなコウモリ!!」

「大っきい!大っきい!!」

「ねぇ、アレ神様じゃない?」

「あ!本当だ神様だ!!」

「神様神様遊びましょう?」

「神様神様何して遊ぶ?」


 『チャイルドエラー』がカマソッツに向け[異能]を発動させるが、効果は無かった。


「(無駄だ童共余には効かぬ、それに用があるのはそこの娘だ、貴様達は邪魔だ退ね)」


 カマソッツの言葉は物理的圧力をもって『チャイルドエラー』に襲いかかるが、『チャイルドエラー』はその場に倒れ伏しながらも、誰一人消える事は無かった。


「…………駄目だよ……神様」


 子供の一人が掠れるような声を出した。


「この…子を………連れて行…かないで………お願いし…ます……神様」


 【神】の放つ威圧を受けながらも、必死に口を開く。


「この子…は………僕達の……私達…の初めて…の…唯一の……お友…達だから」


 挫けず言葉を紡ぐ。


「だから……僕達か…ら…………私達…から…………この子を……とらないで」


 そんな『チャイルドエラー』を眺めながら、カマソッツは目を細める。


「(ほう、童の亡者共よ存外粘るでないか、冥界の【神】たる余に亡者たる者共が抗うか、クックク、良い、良いぞ、それでこそ我等の従僕にするに相応しい、クックク、クアーハッハッハッハッ!クアーハッハッハッハッ!!)」

「うん、なんかもうこっちが完全に悪者だよね」

「(ハッハッハ、ん?、!!?)」


 上機嫌で高笑いをするカマソッツに声を掛ける者が一人、そう俺である。


「(あ、相棒!?な、なぜ意識がある!?)」

「いやなんか相棒って眷属とかこう神様的な話になると暴走気味になるじゃん?心配で寝たふりしてこっそり見守ってたのさ、すっげぇ眠かったけど、そこは気合いと根性で乗り切ったぜ!!」

「(え?え〜、仮にも【神】たる余が主導権を握っているんだぞ?それが気合い?根性?相棒マジなんなの?本当に人間か?…………もしかして既に【神】に?)」


 なんかドン引きされたでゴザル、ゲセヌ。


「とにかく!ガキ共を虐めちゃ駄目でしょ!幼児虐待駄目、絶対」

「(むむむ、だがな相棒、この童共を始末しなければ、あの娘はあのままだぞ?)」


 やれやれ、神様の考える事は物騒でいけない、いいか相棒、子供でも話せば分かるってなもんだ。


「お〜いガキ共!俺だ!このイケメンお兄さんの顔を忘れたとは言わせないぜ?」


 相棒の威圧が解かれたからか、『神隠し』のガキ共が一斉に飛び上がった。


「うっわ!お兄さんだ!?」

「げぇ!お兄さんだぁ!?」

「ひぇ!大人げないお兄さんだぁ!?」

「はわわわ、ど、どうしよう!大人げないお兄さんだ!!」


 ハッハッハッハ、人気者は辛いぜこんちくしょう!!


「おいおい、落ち着けよお前等」

「(いやいや、相棒じゃあ無いんだからそんな簡単に)」

「「「「うん、落ち着いた」」」」

「(うっそ〜ん)」


 なんだよ相棒こんなの普通だろ?まったくおっちょこちょいなんだから。


「(え?余が間違ってるの?あれ?)」


 よし!ガキ達も落ち着いた様だし、本題に入りますか!


「はいちゅうも〜く!!俺達の了見を言うぞ!俺達はお前等との約束通り、葵ちゃんと仲良くなりに来たんだ!だから話をさせて欲しい!道を開けてくれ!」

「(いやいや相棒、余の威圧を耐えきった此奴等が、それで引いたら苦労はせぬぞ?)」

「「「「え?いいよ〜」」」」

「(うっそ〜ん)」


 な?話せば分かるもんだろ?


「(…………もしかして余が間違ってるの?え?え?マジで?)」


 ほれほれ、呆けてないで仕事仕事、葵ちゃんを起こさなきゃ。


「(むむむ、まぁ良い気にしては負けな気がするし、余は大丈夫だ問題無い)」


 そ〜だよ、大丈夫だよ、相棒は最高!相棒は最高の神様なんだから平気平気!


「(うむ!であるな!フッフッフッ!どれどれその娘をよく見せてみよ!余が見事治してみせようぞ!)」


 相変わらずのチョロ神様ぷっりに安心するぜ相棒。


「(ん?何か言ったか相棒?)」


 いやいや、何でも無いよ?それよりも俺早く相棒の活躍が見たいな〜。


「(うむうむ!では目を見開き、余の活躍存分にその目に焼き付けよ!何簡単な事よ、呪の後遺症など新たな契約で上書きすればよいのだ!さぁ始めるぞ!『原初にテペウとクグマッツ、始まりに在りて有る者よ、最初に泥を、次に木を、これなることに人にあらず、さりとて最後の穀物にて人は出来る、神が望む叡智を持つ者よ、かくも神に傅くべし』さぁ目覚めるがいい娘よ!余の片割れたるソラの生き血を啜り〝眷属〟として生まれ変わるのだ!!)」


 ほえ〜、なんだかずごい事になってるな、シズクちゃんの時もそうだったのか?…………ん?生き血?ねぇ相棒生き血って何さ?


「(細かい事など気にするでない相棒、ほれ娘が目を覚ますぞ)」


 お!ホントだ!少しだけど動いたぞ!


「……う…ん……あれ?此処は?」

「(目覚めたか娘よ)」

「ッ!!!!?この圧倒的存在感!!まさか【神】だと言うの!?クッ!だとしたら此処は人界ではないと言う事!?」

「(娘よ、落ち着け、落ち着くのだ)」

「此処が人界ならばこれは【神】の完全顕現なんだよ!?これが落ち着いていられるか!!?」

「(おぉ、見よ相棒!これが余を前にした者の正しい反応だ!そうだよな!?恐ろしいよな!?冥界の【神】は!!あの『神隠し』の童共の契約者だから心配してたが!うむうむ!やっとまともな反応が出来る者が現れたな!余は大歓迎だ!!)」


 おぉ、相棒がいつになくハイテンションだ、最近少しからかい過ぎたかな?ちょと反省。


「(まったくだ、最近は余の方が間違ってるのではないかと少し悩んでいたのだそ相棒、そのまま反省しておれ)」

「うっす!反省するッス!!チョロ神様!さーせんしったぁ!!」

「(うむうむ、うむ?何か違和感が?)」

「気の所為であります!チョロ神様!!」

「(う〜む、何かが引っかかる様な?)」

「気の所為であります!!」

「(…………そうか気の所為か、うむ悪かったな相棒)」

「へ、気にすんなよ相棒、俺達の仲だろ?」

「(フッ、そうだったな相棒)」


 やだうちの神様ホントチョロ過ぎ、ちょと心配になっちゃう、でもそんなとこが可愛いだよな〜、やっぱチョロ神様は最高だぜ!!


「え?…………ソ、ソラ兄?」


 お?葵ちゃんが俺の存在にやっと気づいたようだ、まぁ10メートルはある蝙蝠の姿をした相棒が側に居たんじゃ直ぐに俺に気づかなくてもしょうがないけどね。


「ソラ兄ぃぃ―――――――――!!!!!!!!!!」

「どふぇらぁ!!!?」


 葵ちゃんがものすごい勢いで俺に飛び付いてきた!ぐふっ、も、もろにみぞおちに、げふっ。


「す〜〜〜ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄ソラ兄」


 怖い怖い怖い怖い怖い!!え!?何!?どうしたの!?ぐふぁ、頭でみぞおちグリグリするのやめて〜!


「ソラ兄〜!!会いたかったぁ!!ふぇ〜ん!!」

「げふっ、そろそろ、…………離して、ガク」

「ソラ兄!?ソラ兄〜〜!!?」


 肩をガシッと掴んでガガガガ、ガクガク、すすす、するの、やややめて〜。


「(娘よ相棒がそろそろ昇天してしまうからその辺で止めてくれ)」

「ハッ!ソラ兄が居てその近くに居る【神】?まさか御身は神〈カマソッツ〉ですか?」


 ぜぃぜぃ、やっと止まった、ふぅ死ぬかと思ったぜ、葵ちゃんの思考が相棒に向いて助かった。


「(うむ、いかにも余こそ冥界の【神】〈カマソッツ〉である!!クックク、存分に敬うが良いぞ?相棒の〝眷属〟と成るからには余の機嫌もとっておくのだな、クックク、クァーハッハッハッハッハッ!!)」


 相棒は葵ちゃんを相当気に入ったんだな、本当に機嫌が良いし、ちょとびっくり。


「御身が神〈カマソッツ〉ソラ兄が契約した【神】、よかった、御身に拝謁する栄誉を賜り感謝いたします」

「(うむうむ!そう畏まるな、相棒の〝眷属〟は余の〝眷属〟も同じこと、シズク共々面倒を見てやるとも)」

「シズク姉も居るのですね!やった!」


 あれ?シズクちゃんと知り合いだったの?


「では御身は用済みですね、さっさとソラ兄から出ていって下さいクソ野郎」


「(ん?)」


「ん?」


「「(ん〜〜!?)」」


「あれ?聞こえませんでしたか?ソラ兄からさっさと出ていけと言ったのですよ?この寄生虫野郎」


 どうやら聞き間違えじゃ無かったみたいだ、あっれ〜?さっきまでいい雰囲気だったじゃんどうしたよ?


「(…………む、娘よ、急にどうしたと言うのだ、まさかまだ彼奴めの呪術の影響があるのか?)」


 葵ちゃんの激変ぶりに相棒も心配になったのか、声のかけ方も心なしか優しげだ。


「はぁ?いえいえ、もう雅楽魁蟲の影響はありませんよ?つ〜か【神】って存在自体嫌いなんだよウチは、人の信仰が無ければ人界に留まる事も出来ないクソがよ、いちいち粋がるなよ、いいからウチの家族に寄生するな、虫唾が走るあ〜嫌だ嫌だ、『お父様』といい超常存在は上から目線でウチら人間を管理したがる、うぜ〜んだよいい加減子離れしろよ毒親か!【神】との同化?【神】への信仰?確かにソラ兄とシズク姉の『楽園』のコンセプト的に真正の【神】は相性がいいのは分かるけどよ、そもそも『お父様』が計画している〝ユニバース25〟ってのが気に食わねぇだよ!ウチの家族を巻き込むな!だから御身みて〜なクソマイナー神はお呼びじゃないの分かる?分かれよ!まぁ体質的に?ソラ兄が神格化するのはいいよ?かっこいいし、シズク姉やウチがソラ兄の〝眷属〟になるのもいい、でもテメェは駄目だ!家族水入らずを邪魔するな!!さっさと消えろ〈カマソッツ〉!!」


 全長10メートルはある相棒に和風美少女がメッチャ怒鳴ってる、すげぇー光景だ。


「(……………………相棒助けて、クスン)」


 え!?俺に降るの!?俺も怖いよこの子!!


「(余、もう、ムリ、相棒、タスケテ)」


 あ、これ本当に駄目なやつだ、もう!しゃ〜ね〜な!後は野となれ山となれだ!南無三!!


「え〜と、葵ちゃんは俺達とは来てくれないってことかな?あ!それともお父様?って人の所に帰りたいのかな?」


 無理はしなくていいよ?と遠回しに伝えてみると、不思議そうな顔で俺をみていた葵ちゃんは答えた。


「え?ウチは是非ともソラ兄達と一緒に居たいんだけど、シズク姉も居るんでしょ?天国じゃん、それに雅楽魁蟲を植え付けられた時点で『お父様』には愛想が尽きたよ、確かにウチに家族を作ってくれた事は感謝してるけど、まぁ普通家族が優先だよね?」


 まてまて、また新しい情報が出て来たぞ?それにさっきからチラホラ出てくる家族ってさ、ともかく。


「そもそもな話、俺も葵ちゃんの知り合いなのか?なんかシズクちゃんとも知り合いみたいだし?まさかモノホンの兄妹なのか?シズクちゃんも?え?マジで?」


 それが事実ならもしかして、俺兄妹に恋しちゃたて事?嘘でしょ?だいぶショックなんだが。


「ん?あ、あ〜!そうかそうか!ソラ兄は『お父様』に記憶取られているんだっけ?そっか〜どうりで話が噛み合わない訳だ!そんで【心臓】はシズク姉に移植されたと、うんやっぱ『お父様』許せね〜!ぶち殺そう!ああそれと残念だけどウチ達は血の繋がった兄妹じゃあ無いんだ、本ッッッ当に残念だけど!でもでもウチ達はあの辛い実験を共に乗り越え血なんかよりも深い絆で結ばれた本物の家族さ!」


 ホッ、どうやら血は繋がって無い様だ、義理の兄妹か…………うん、ありだな。


「おけおけ、俺の事情も知ってる訳ね、まぁご存知記憶喪失真最中なんで、俺等は何となく活動してるんだけど、それでも一緒に来てくれるんだね?まぁ相棒に思うところがあるみたいだけどそこは我慢してくれ、俺にとって大切な相棒なんだ」

「(あ、相棒〜〜!!)」


 おい相棒!そんな巨体ですり寄るなよ!潰れちゃう潰れちゃう!!も〜ほらほら落ち着けよいい子だから、お〜よしよし、って相棒モッフモフだなおい。


「(ゴロゴロ♪)」

「ちっ!ウチの目の前でイチャイチャと!これだから【神】って奴はよぉ!クッ!が、我慢だ、だ、大丈夫だよソラ兄、うん、ウチはソラ兄達と一緒に居たいから、駄神が一緒でも我慢出来る!」


 相棒をモフモフしながら話を聞いてたら、葵ちゃん不機嫌に成っちゃた、でも我慢出来るみたいだしいっか!!


「ほんじゃ改めて、これからよろしくな!!」

「幾久しく我が主、……うん!よろしくソラ兄!!」


 こうして無事、新しい眷属が増えました。


「(よ、よろしくな娘よ)」

「死ね」

「(クスン)」


 次回に続く!!



 



 葵について


 ファミリーコンプレックス約してファミコン少女葵ちゃん、やっと仲間にできました。

 ちなみに彼女の言う家族とは妄言では無く、実際に一緒に暮らしていた期間があります、ソラは記憶喪失、シズクは幼い頃の移植手術のショックで忘れています、作中で彼女が言った〝ユニバース25〟という『お父様』が行っている計画実験に関係しているのですが、まぁこの話は後々本編にて。

 基本的に過去に同じ班だった被験者を家族扱いしています、彼女の最優先順位は〝家族〟で他はわりかしどうでもいいと思っています、余りに度が過ぎて言うことを聞かなかった為『お父様』に雅楽魁蟲を植え付けられたりしちゃいました。

 ソラの眷属として彼の影響をもろに受けたシズクと違い、葵は100%素です、別段暴走とかしていません、恐るべしファミコンです。

 


ここまで読んでくれてありがとう御座います。

次は第16話です、次回も宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
全体的に、キャラクターの関係性や感情の描写が豊かで、続きが気になります❗️ 外伝の方も楽しみにしてますぜ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ