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楽園の鼠  作者: 金林檎
第1章 蝙蝠神の契約者
15/22

第13話 害虫駆除にはご注意を

第13話です。

主人公視点で始まります。

 前回までのあらすじ!!突如現れた謎の化け物!抗戦する俺!顔面を叩き割るとあら不思議!中から和風の美少女が!?呆気になる俺!ぶっ飛ばされる俺!!そのまま気を失ってしまったが、謎の女神様により俺復活!!誰なんだこの女神!?なにぃ?相棒だってぇ〜!?相棒の言うことにゃ、今俺の代わりにシズクちゃんが戦っているとか!こうしちゃおれん!今行くぜシズクちゃん!!そして只今現場に到着!!←今ここ


「僕の役割はここまで、後は頼みますソラ様」

「おう任せなシズクちゃん!!」


 とは言ったものの状況が分からない!一体何がどうなってんの?あの和風美少女はどこ?あとこのキモい蟲はなんだよ?まぁとりあえずコイツをぶっ殺せばいいんだよな、どう見ても〝私邪悪です〟って見た目だし。


〘呪、呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪祝呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪!!!!〙


 うん、間違いない、コイツ悪い奴だわ。


「(雅楽魁蟲だな、人の善意を喰らい、悪意を肥大化させ、仙人すら堕落させる呪術の秘奥の一つ、彼奴めが好んで使う外法の業よ)」


 ほうほう、つまりどういう事だってばよ?


「(呪術は返すが基本よな、シズクが呪術に実態を与えた、良い御膳立てだな、後は相棒の権能で雅楽魁蟲の実態を砕けば、呪は術者に返る、簡単な話し目の前の害虫駆除だ、容易かろう?)」


 んまぁ、さっきまでの和風美少女よりはなんとかなりそうだけど、その呪術?ってのは[異能力]とは違うのん?


「(うむ、呪術や魔術などは神秘の力を人が使用する為形式化させた技術だな、前時代では文明の発展と共に廃れたようだが、文明水準が下がった今ではこの大陸でも使える者も複数存在している、特にかの島国『大日本帝国』では当たり前の技術になっているらしいな、対して[異能力]とは神秘そのものである怪異と直接交わり、怪異の力をそのまま使用する、厳密には違うが要するに余と相棒の関係見たいなものだ)」


 ほほう、じゃあその魔法的な技術は俺にも出来るって事?お、ワクテカしてきたぞ!


「(むむ、相棒には必要あるまい、呪術や魔術、法術などは所詮怪異の[異能力]を真似た劣化品なのだ、余の契約者である相棒が修得しても意味がないぞ?そもそも余というものがありながら、他の神秘の業に現を抜かすとは何ごとだ、ふん)」


 おや?ヤキモチかな?んもう相棒ったら本当チョロ神様なんだから〜、安心しろよ〜浮気なんてしないって。


「(相棒は真正の【神】たる余の契約者である事を、もっと自覚して欲しいものだな、あとチョロ神言うな)」


 さてさて、じゃあ早いとこ、このキモい蟲退治しちゃいますかね!


「(うむ、【神】の威光存分に知ら示してやれ相棒)」


 おう!やったるぜ!!


〘呪あれ!災いあれ!!我が神の愛に背きし者に天罰を!!信仰無き愚者に厳罰を!!神の愛に報いよ!『楽園』を再現せよ!世界を『お父様』の愛で満たすのだ!!出来ぬ者には神罰を!役立たずに慈悲は無い!!呪あれ!災いあれ!!背信者に惨たらしい死を!!信仰を無くした者に壮絶なる死をぉぉぉ!!〙


 あぁもう!さっきからごちゃごちゃと!五月蝿いなコイツ!!


「うちの神様は相棒だけで充分なんで!宗教の勧誘とか迷惑です!!大人しく帰って下さい!!」


 改宗する気無いんだよこっちは!宗教はご自由に、ただし俺達を巻き込むな!


〘!!!!呪あれ!!呪!呪、呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪!!!!〙


 雅楽魁蟲の体が風船のように膨れ上がる、何かをしようとしているのは明らかだ、なら素直に待つ必要は無い。


「おらぁぁ!!先手必勝ぉぉ!!くたばれ虫野郎ぉぉぉ!!」


 俺は勢い良く飛び出し、虫の化け物に肉薄した、目の前で見るとより気持ち悪く見える、うん、さっさと殺ろう、どうやら俺は虫が苦手らし。


「(ぁ、待て相棒!切るな!それは不味い!!)」

「へ?」


 相棒の静止の声は間に合わず、俺はそのまま翼で虫野郎を真っ二つにした。


〘ギャァァァァァァガァァァァァ!!〙

「ひぇ!?マジかよやだぁぁ!!」


 真っ二つになった雅楽魁蟲の体から無数の蟲が湧き出してきた、突然のジョギング映像に俺は思わず悲鳴を上げてしまう。


〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙〘呪〙


 細かい蟲がプツプツと、やだホントキモい、集団恐怖症の人が見たらぶっ倒れるぞこれ。


「(あれは言わば呪の集合体、切ってもその分だけ分裂するだけだ)」


 そういうのはもっと早く言ってよもう!んで?どうすんのよこれ?


「(簡単な事、蟲は潰すに限る)」


 え!?あれ潰すの!?やだ〜!メッチャキモいやんけ!!却下!!断固反対!!


「(クックク、今日は相棒の意外な一面が見れて、中々に愉快よな、うむうむ、相棒にも人らしい弱点があるのだな、良い事だ、これらを克服する事により更に【神】へと至る布石となる、よかろう、ではひとつ余の下僕を貸し出すとしよう、相棒腕を突き出せ)」


 おう!言葉の意味はよく分からないが、とにかく助けてくれるのね!了解了解、腕を突き出してっと。


「(今の相棒は【心臓】が無いからな、全身を呼ぶ事は出来まいが、まぁ腕だけなら今の相棒でも大丈夫だろうよ、冥界の【神】カマソッツの名の下に、来い冥府の諸人よ、その身を合わせ、我が敵を屠る巨人と成りて姿を現せ、『異界権現』〈ハーディ〉、さぁ虫けら共を叩き潰せ)」


 辺り一面が闇に覆われ、一帯が異界に侵食される、周りから亡者のうめき声が漏れ出し、怨念が実体を持って、ソラの突き出した腕の前に集まり、やがてそれは巨大な死者の腕を生成した。


「…………なぁ相棒、これはこれでグロテスクで、うん、ちょっと、なんだ、あれだな、うん」


 どうしよう、相棒がせっかく出してくれたんだけど、どう見てもゾンビの腕なんよ、巨大なゾンビの腕なんよ、え〜無いわ〜。


「(うむ、やはり出力が足りんか、肉が腐っておるわ、まぁ些細な事よ、腕だけとは言え神代の巨人だ、【神】の呪に連なる秘術であれ、所詮は呪術でできた紛い物など物の数ではない、さっさと片付けるぞ相棒)」


 おう、そうだな、さっさと終わらそう、そうしよう。


〘異教の【神】よ死に絶えよ!!〙〘愚かなる異教徒に裁きの鉄槌を!!〙〘呪あれ!〙〘呪あれ!!〙〘『お父様』の期待を裏切る役立たずは!!〙〘この世に存在する価値は無い!!〙


 ホントやだ、マジキモい、もう蟲はしばらく見たくない。


「オラァ!!行くぞ〈ハーディ〉!!くらえ必殺!!巨大ハエ叩きぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」


 浮遊していた巨人の腕が目にも止まぬ速さで、雅楽魁蟲目掛けて振り下ろされる。


〘ギャ!〙〘ガァ!〙〘ピキャ!〙〘ダァ!〙〘アァァァ!〙〘ギャァ!〙〘ジィァァ!!〙〘ギィャァァァァ!!〙


 〈ハーディ〉の巨大な手が、幾百はあろう雅楽魁蟲を残らずに叩き潰した。


「オッシ!!害虫駆除終了!!悪は滅びた!!………大丈夫だよな?またわらわらと出て来ないよな?」


 もう蟲は勘弁だぜ、マジで出てくんなよ、ホント。


「(安心しろ相棒、雅楽魁蟲は完全に消滅した、呪の方もしっかり彼奴めに返してやったわ、クックク、今頃彼奴の頭部に蟲が湧ている頃だろうよ、愉快愉快)」


 ほっと息を吐く、どうやら本当に大丈夫なようだ。


「ソラ様、お疲れ様でした、これでこの子が目覚めれば、此度の事件の全容が見えてきますね、救済への道筋も見えて来そうです」

「へ?あ〜うん、その通りだねシズクちゃん、うんうん、キュウサイの時は近いね!!」

「流石ソラ様、既に救済への筋書きは出来ているのですね、感服致しました我が主よ」

「え?………ま、まぁね!!これくらい俺なら当然だよね!?」


 出たよキュウサイ、またシズクちゃんの目ががんぎまった感じになってるし、う〜ん、でもこの対応で合っているんだよな、なぁ相棒。


「(クックク、あぁそうだとも、とても順調に事は運んでおる、なんの心配もいらんぞ相棒、なぁに宗教家と言う者は大体こうだ、別段珍しいことでもない)」


 ほえ〜そうなんだ、と言うかシズクちゃんって宗教家だったんだ、知らなかった、どうりで時々話しが噛み合わない訳だ、そういう事なら俺も同じ宗教したほうがいいのかな?どうなんだろ。


「(うむ、それはせんほうが良いな、シズクのアレは新興宗教だ、そもそも信仰している【神】がその宗教に入るのは変な話だ)」


 いやいや俺は神様じゃ無いんだから関係ないじゃんよ。


「(………コホン、うむ言い間違いと言うやつだ許すがよい、だが宗教をキメている者と付き合うならば、自分は染まらず、程々に話を合わせてやったほうが上手くいくものだぞ?)」


 つ、付き合うって、気が早いんじゃないかな?えへへ、まぁ関係が上手くいく事に越した事は無いからね!うん、相棒のアドバイス通りにするよ!


「(うむうむ、精進する事だ、【神】への道は険しいぞ)」


 おう!相棒俺頑張るよ!!うお〜!目指せボーイ・ミーツ・ガール!!目指せ素敵な青春生活!!………ん?【神】?はて?


「(クックク、些細な事など気にするでない、らしくないぞ相棒)」


 それもそうだな!さてさて、とりあえずこの和風美少女が目覚めるのを待てばいいんだっけ?目覚めた後は、まぁシズクちゃんの話に合わせればいいしな、この都市の事もなんとかなるだろ、たぶん。


 

ここまで読んでくれてありがとう御座います。

次は第14話です、次回もよろしくお願いします。

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