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楽園の鼠  作者: 金林檎
序章
1/22

プロローグ1

初めてまして、金林檎です。

小説を書くのは初めてなので、至らない点が有るでしょうが、暇つぶしに楽しんでくれたら幸いです!皆さんよろしくお願いします。


[アンノーン]の外見は映画エーリ◯ンに出てくる奴を想像してください、プレデタ◯とドンパチしてたあれです。

 突如として世界各地にて出現し、人類の保有する兵器が一切通用せず、人間のみを標的にした殺戮を繰り返す怪物[アンノーン]。

 人類の抵抗虚しく、世界人口約6割の死者を出し、世界各地の国家が崩壊、高度に発達した文明は衰退してしまい、人々はただ滅亡の時を待つだけとなっていた。

 [アンノーン]侵攻の中、唯一抵抗し続けていた極東の島国にて、特殊な力を持った人類[異能力者]が現れる。

 [異能力者]の特殊な能力は、文明兵器の通用しなかった[アンノーン]の強靭な体を焼き、貫き、砕き、不死身と思われていた怪物を絶命させる事に成功。

 皇族の号令の元、[異能力者]を中心とした国軍の決死の活躍により、国土の半分まで侵攻してきた[アンノーン]を殲滅し、ついに人類の生存圏を勝ち取った。

 しかし[アンノーン]の脅威は依然として健在、極東の島国以外にも[異能力者]が現れ始めるも、[アンノーン]の起こす悲劇は世界各地で今も続いていた。



           

            

            ◆

  



 僕の暮らしている村はそこそこ広い、人口は1500人程、ある程度の自給自足ができ、山に囲まれた盆地に作られているお陰で、[アンノーン]から発見され難く、偶に迷い込んでくる個体も『教会』所属の[異能力者]様が「駆除」してくださっている、僕のような親なし子や捨て子等も『教会』の下で貧しいながらも生活が出来ている、この村の【外】を知らずに育った僕には実感できぬ事だが、これ程恵まれた環境は、海の向こう側に在るとされる【島国】や、『教会』の総本山である『聖王国』意外ではとても珍しいらしい。

 僕の外見は皆とは違い肌と髪が白い、神父様に教えて頂いたのだが、どうやらアルビノと言う体質のようだ。

 【外】からの捨て子という立場や、この外見のせいで村の皆からは不気味に思われ、いつも距離を置かれている。

 なので僕は一日の大半を『教会』で過ごしている、日の出とともに起床し、礼拝堂の掃除、家畜の世話を終わらせ、他の孤児達の朝食を準備する、皆が食事をしている間に洗濯をしてしまい、後は礼拝堂で皆と共に祈りを捧げている。

 偶に[異能力者]様が村に迷い込んでくる[アンノーン]の「駆除」に、荷物持ちとして同行するのだが、僕はこの仕事が一番好きだ。

 [異能力者]様は[アンノーン]から人を救う為、天より使わされた、【神】の御使いとされている、そんな彼等の活躍を間近で観戦出来るのだから。

 不便もある、不満もある、だが僕にとって掛け替えのない平和な日常。


「主よ感謝します」


 そんな平和な日々が何時までも続くのだと、そう思っていました。

 僕達は知っていたのです、この村の【外】が怪物達の【楽園】であることを、でも理解はしていなかったのかもしれない、今の世界で人々が築いた平和など砂上の楼閣であることを、もしくは理解などしたくは無かったのかもしれません。




            ◆




 ドアにノックの音がした。

 初めに二回、そして呼吸ふたつぶんおいて三回。


「シズクさん起きていますか」


 神父様の声だ、まだ日も出ていない時間なのにどうしたのだろう?僕はベッドから身体を起こしランプつけると、寝巻きに上着をかけドアを開けた。


「神父様?どうかいたしましたか?」

「昨晩北山の定期巡回に出たルイス君がまだ戻ってきていません」

「ルイス様が?」


 ルイス様はアラヤ様と共に、この村の『教会』に所属する二人の[異能力者]の片割れで、よく僕を[アンノーン]の「駆除」に荷物持ちとして連れて行ってくれる方だ、[異能力者]の中でも能力を覚醒させ、[異界]の法則を使用出来る『教会』で『御使』の称号を持つ、稀有な存在、『御使』様は各村々に一人派遣されている、ルイス様は『聖王国』にて『教皇』様より直々に『御使』に指名された実力者で、[アンノーン]の[変異種]を討伐した実績を持つ猛者だ。


「ルイス君に限って滅多なことは無いとは思いますが、万が一の事を考えると確認しなければなりません、申し訳ありませんが、彼の巡回ルートを見てきてほしいのです」

「わかりました、準備いたしますので少々お待ちください」

「助かります、私も南の正門に行き、アラヤ君に警戒を強めるよう伝えに行きます」


 僕はルイス様に非常時用の訓練を受けており、レンジャーとしての心得があるので、こういった場合に役に立つ、非常時とはいえ頼られる事は嬉しい、捨て子の自分も必要とされていると実感できるからだ。


「私の思い過ごしだといいのですが、何か異変があれば、南の正門に行きアラヤ君と合流して情報の共有をお願いします」

「はい」

「アラヤ君に説明した後、私は村長宅へ行き村人達の避難の準備をしてもらうつもりです」

「了解しました、では行ってまいります」

「ご武運をお祈りします」


 腕で十字を切り送り出してくれる神父様を背に、僕は『教会』を出て北山に向かいます。


 この時、心の何処かで楽観的に考えていたのだと思います、あのルイス様に限って何かがある訳が無いと、神父様の考え過ぎで、今日も何気ない日常が始まるのだと、そう信じていました、知る由もなかったのです、これがこの村で過ごす最後の時だと。









     





     この日僕は故郷を失う事となる。






プロローグ2に続きます。

本当は1話にまとめたかったのですが、キリが良かったので、2話に分けました。


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