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やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ジュカル学園

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63:反省会


 竜王であるヴィンセントとの戦いに敗れたあと、私たちはお互いを回復魔法で回復しあい、なんとかジュカル学園に帰ってきた。


 そして寮の部屋のコタツに入って反省会を開いていた。


「あぁぁぁ! ヴィンセント様がカッコ良すぎる……」

 キャロルがニヤニヤしていた。

 彼女はずっとこんな感じになってしまっていた。


「……アイスラーが使い物にならないのが1番の敗因だな」

 ノアが呆れた表情でキャロルを見ていた。


「……また精神を操られた……」

 私は私で、アーヴァインの禁忌の魔法から続く精神異常攻撃に半ばトラウマになり、コタツの机に突っ伏していた。


「その魔法が1番厄介だな……」

 ノアが腕ぐみをして考え込む。


 私は突っ伏したまま顔だけをノアに向けた。

「……魔物としてヴィンセントより下級だから、従わせる魔法がかかるって言われたよ。魔導師としてはもうちょっとで大賢者レベルなのに……魔物のレベルを上げる?」

「……どうやって?」

「……うーん」

 私は目を閉じてうんうん(うな)った。


「まぁ、あの魔法については考えがある」

「本当!?」

 私はガバっと起き上がった。

「上手くいけばな」

「すごい! さすがノアだね」

 うちの護衛魔導師は優秀だな。


 ノアは次にニヤニヤしっぱなしのキャロルに目を向けた。

「アイスラー! 大剣による攻撃が出来ないっていうなら光魔法をもっと練習しておけ。それならヴィンセントに向けて放てるだろ?」

「え? でも……」

「ヴィンセントに勝てないと俺たちは大賢者になれない。アイスラーも、勝てたらヴィンセントとそのあとも一緒にいられるって言ってなかったか? 今、会えるだけでいいのか?」

「うぐっ……そうだけど……」

 キャロルがタジタジになりながら(うつむ)いた。


 そんなキャロルを苦笑しながら見つめていた私は、隣のノアを見上げて、ふと思ったことを口にする。

「無詠唱の魔法も厄介だよね」 

「……火属性の魔法なら、どうにか出来そうなんだけど……ラズ、手伝ってくれないか?」

「もちろん!」

「……よし、準備がかかるから再戦は1週間後だ」

「うん!」

 元気になった私は勢いよく返事した。


「……1週間後ね。分かったわ。次は頑張る」

 キャロルもなんとか持ち直して、意気込みあらたに返事をした。




**===========**


 ーー1週間後。

 私たちは例の(ほこら)の前でヴィンセントを呼び出した。

 

 ノアは氷河の剣を、キャロルは光魔法の大剣を構える。

 私はみんなにバフ魔法をかけた。


「……また来たのか。懲りないやつらだな」

 ヴィンセントは初めから人型の姿で現れてくれた。

 

 前に1度ここまで進められたから、スキップするシステムなのだろうか??


「はわわっ! やっぱりカッコいい」

 キャロルが前よりかは静かに騒いだ。

「キャロル。しっかりしてよね」

「……頑張る!」


 ……少し不安だ。


 けど今日のためにいろいろ対策を考えて用意したんだから!


「こいつを倒したら、いよいよ大賢者になれるな」

「うん。もうすぐだね!」

 私はノアはお互いを励ましあってうなずいた。

 

「……」

 ヴィンセントが無表情のまま熱風の魔法を放った。


「〝blizzard(ブリザード)!〟」

 私が吹雪を発生させて、熱風を押し返す。


「〝shine(シャイン)〟」

 キャロルが光魔法を発動させる。

 大剣の先から光の筋がいくつも発生し、ヴィンセントの体を貫いた。


「あぁ……心苦しいよぅ」

 キャロルは青ざめていたが、何とか攻撃できるようだ。


 その時、私とキャロルの周りが炎に包まれた。

 ヴィンセントの無詠唱の攻撃だ。

「うわっ!」

 私は思わず腕で顔を隠して防御をする。

 けれど、ダメージを負うことなく炎がおさまった。


「……効かない?」

 ヴィンセントが思わずといったように呟いた。


 私は防御していた腕を下ろした。

「良かった。炎の魔法は(しの)げそうだね」

「ラズとランドールがこれを作ったおかげだね!」

 キャロルがそう言って右手首を見せながら少し上に掲げた。

 そこには青い魔石が繋がれた細いチェーンの腕輪があった。


 私とノアで作った火の魔法を防御するアイテムだ。

 古い魔法を元に、水の魔石に魔法をかけ続けて作成した。

 1週間しかなかったのですごく簡易的だ。

 多分、ヴィンセントの強力な炎の魔法を何度も(しの)ぐことは出来ない。

 ーーそれまでに決着をつけなくては。


「〝blizzard(ブリザード)!〟」

 ノアが剣を振り抜いて、すかさず吹雪の魔法をヴィンセントにぶつけた。


「クッ……」

 ヴィンセントが顔をしかめて動きが鈍くなったが、ノアに視線を向けて炎の魔法を放った。


「それは俺にも効かないぞ!」

 ノアも水の防御アイテムをつけているので、やすやすと炎の魔法をかいくぐり、間合いをつめて氷河の剣を振り上げて畳み掛けた。


 攻撃が綺麗に決まり、ヴィンセントの体が凍りつく。

「ちょっとは、やるようだね」

 彼が抑揚のない声でそう言うと、体を覆っている氷が、炎の力でみるみる溶けていった。


「でもそいつがパーティにいる時点でどうにもならないぞ」

 ヴィンセントが私にゆっくりと視線を合わせた。


「こっちにきて敵と戦え」

 無表情な竜王様が、私に向けて魔物を従わせる魔法を放った。


「…………はい。竜王様」


 私はこの前と同じように、ゆっくりとヴィンセントに近づいていった。

 困惑した表情でヴィンセントの隣に立つと、ゆっくりとノアに向かって手をかかげる。


「ふん。他愛もないな」

 冷めた声が私の隣から聞こえた。


「…………私の敵は竜王様だよ!」

 私はくるりと回ってヴィンセントに向かって手をかかげた。


「〝iceberg(アイスバーグ)!!〟」

 私が呪文を唱えると、ヴィンセントのいる地面が光り、下から彼の体を貫くように氷の山が出現した。


「やった!」

 私は巻き込まれないように退きながら喜んだ。

 そしてヴィンセントの様子を見定めながら、手をかざしていつでも動けるようにした。

 

 氷に一瞬閉じ込められてしまったヴィンセントだったが、すぐに氷がパリンッと割れて粉々に砕けた。

 おそらく内側から打ち破ったのだろう。


「うぅぅ……」

 けれどだいぶ効いたのか、片手で顔の半分を押さえて少しよろめいた。


 そして、魔物を従わせる魔法が効いていない私に、少し驚いた表情を向けた。


「ラズ!危ない!! 〝fly(フライ)!〟」

 ノアが私に飛翔の魔法をかけて、空へと浮かせた。

 私がさっきまでいた地面から、黒い針のようなものが何個も出現し上へ向かって一気に伸びた。

 その内の一本が私の足首に刺さった。


「っ!! いったぁ!!」

 刺さった瞬間に黒い針は消えたけど、そこから血が出てボタボタと落ちた。

 その血が遥か下の地面に赤く散っていくのが見えた。


「大丈夫か!? 〝heal(ヒール)〟」

 飛翔の魔法で飛んできたノアが、すぐに治療をしてくれた。

 

「ありがとう。……けどやっぱり手強いね。闇魔法はヴィンセントがどんなものが使えるか知らないし。火の魔法しか手の内を見せてくれてないもんね……」

 私は険しい目つきでヴィンセントを見ていた。

 

 彼には普通の魔法じゃあまりダメージを与えられない。

 だから、より強力な魔法をぶつけなくては。


 私が怪我をしたのを見て、意を決したキャロルが光魔法を唱えた。

「……〝prism(プリズム)!!〟」

 

「!!」

 ヴィンセントの周りに透明な空間の膜ができ、その中を光が乱反射する。


「あぁぁ……ヴィンセント様。ごめんなさい」

「キャロル!」

 私はしょげてしまっているキャロルに合図を送った。

 

 キャロルは私を見て(うなず)くと「〝fly(フライ)〟」と唱えて空に飛び上がった。


 それを見届けたノアが、ヴィンセントに向かって手をかかげる。

「〝Ocean(オーシャン)〟」

 ノアが呪文を唱えると、大量の海水が地上にいるヴィンセントを飲み込んだ。


「「「〝freeze(フリーズ)!〟」」」

 私たち3人は、すかさず海水を凍らせた。


 瞬時に大量の海水が氷に変わっていく。

 そうして、ヴィンセントを分厚い氷の中に閉じ込めることに成功した。




「……ハァハァ……もう、魔力があんまり残ってないわ」

 キャロルがフラフラになりながら氷の上に降り立った。

「……そうだな」

「これで終わってくれたらいいんだけど……」

 私とノアも、氷の上に降りて下の様子を(うかが)う。


 けれど私の願いも虚しく、氷の地面の一部が急速に窪んでいき、水が蒸発して白い蒸気が上がった。

 その窪みがどんどん広がっていき、大量の氷がみるみる溶かされていった。


「……そんな」

 ヴィンセントがやられていない。

 ……さすがにエクセブル最後のボスだ。

 強い。


 私は次の一手をどうするか考えあぐねながら、自身の手をギュッと握った。


 氷だった足元も溶かされ出したので、私たちは再び飛翔の魔法で空へ浮かんだ。


 そうして高い所から見ると、地上に変わらずに立っているヴィンセントが見えた。


 彼は私たちを確認すると、ゆっくり口を開いた。


「……うん。合格かな」

 ヴィンセントが少しだけ口角を上げて笑っていた。








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