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やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ジュカル学園

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49/79

49:ネイト


 ルミネージュ国はすっかり極寒の季節になり、外は雪で何もかも覆われていた。

 幸い、今は晴れているので雪は降っていないが、外はとても寒かった。




 そんな中、私とノアはグラウンドの端にあるベンチに座らされていた。


 私は寒すぎて、隣のノアに縮こまりながらくっついた。

「か……帰りたい……」

 石炭の魔石でホッカイロみたいにして体を温めているが、それでも寒かった。


「アイスラー! ラズが凍えてるから、もう帰るぞ!」

 ノアが遠くにいるキャロルに声をかけた。

「まだ大丈夫でしょ? いつものようにくっついて暖をとっときなさいよ!」

 飛び跳ねるように大剣を振り回しながら、キャロルは答えた。


 キャロルは、ネイトというクラスメートの男子からの魔法勝負を受けていた。

 ネイトの武器はスピアだった。

 2人の魔法と武器が激しくぶつかり合う。


 そんな魔法勝負の見届け人として、私たちは無理矢理ベンチに座らされているのだ。


 これまでも、キャロルの魔法勝負を見届けることはあったのだけど、今日は寒すぎるので勘弁して欲しい……


 そう思っていると願いが通じたのか、キャロルが隙をついてネイトをぶっ飛ばした。


「あ、良かった。勝負ついたみたい」

「帰るか」

 先にベンチから立ち上がったノアが、私に手を差し出してくれた。

 私はそれにつかまって、引っ張りあげてもらいながら立ち上がった。

 

 寒すぎて体が上手く動かない……

 

 そして手を繋いだまま歩き出した。


「待って待って!! 早く終わらせたくて、ちから入れすぎちゃった! ネイトが気絶しちゃったー!!」


 キャロルの叫び声が、私たち以外には誰もいないグラウンドに響いた。




**===========**


 それから私たち3人は寮の部屋に移動し、コタツに入って暖を取りながらネイトが目覚めるのを待っていた。


「なんで俺たちの部屋なんだよ?」

 ノアがめちゃくちゃ不機嫌な顔をキャロルに向けた。


「ごめんって。保健室も空いてないし、私の部屋に転がす訳にもいかないでしょ? 私1人暮らしだし!」

 キャロルがプクっと頬を膨らませた。


 あのあと、気絶したネイトを私たちの寮部屋に運び、ソファに寝かせていた。

 寒くないようにブランケットをかけてあげている。


「ネイトのスピアが邪魔すぎて、部屋の外の廊下に立てかけてるけど、いいのかなぁ?」

 私は、ネイトと同じルミネージュ国民であるキャロルに聞いた。

 

 魔法を使うのに何か道具が必要なルミネージュ国の人は、道具によってすごく不便に思うんだけど……

 

「大丈夫じゃない? 誰も取らないでしょ」

 キャロルがあっけらかんと言った。

 

 そんなキャロルの大剣は、玄関近くの室内の壁に立てかけられているんだけどね。




 そうしていると、ネイトは気がついたみたいで、ソファの方から人が動く気配がした。


「うーん…………」

 目をあけたネイトはゆっくり起き上がった。

 キョロキョロしたあとに私たちを見つけて口を開く。

「……ここは?」

 茶髪に黒眼といった、前世的に少し親しみのある色合いをした活発そうな少年が、不安げにこちらを向いていた。


「私とノアの部屋だよ」

 私はその不安を和らげるためにニコッと笑った。


 そんなネイトを見て、キャロルが笑いながら言葉をかけた。

「フフッ。ネイトは私にぶっ飛ばされて気絶してたのよ」

「!! ……そっか、ごめん。迷惑かけた」

 ネイトがシュンとして頭を下げている。


「……冷えてるでしょ? お茶を淹れるから、一緒に飲もうよ」

 私はそう言ってコタツから立ち上がった。


「ラズって面倒見いいよね。お姉ちゃん的な?」

 キャロルがノアに話しかけていた。

「俺も初めは弟扱いされてた」

 ノアが顔をフイッとそむけながら言った。

「あー、ぽいぽいぽい」

 キャロルが何度も頷いた。


「コタツに入ってていいよ」

 私は部屋の中にある簡易キッチンに向かう途中で、ネイトに声をかけた。

「……コタツ?」

 ネイトが首をかしげる。

 するとキャロルが声をかけた。

「まぁこっちおいでよ。ネイト」


 ネイトはそろそろとコタツに近づき、キャロルとノアがしているように足を中に入れて座った。

「!! あったかい」

 ネイトが驚いて目を見開く。

「ラズが作った石炭の魔石が入ってるんだよ」

 キャロルが自慢げに説明していた。




 私はポットとカップをトレイで運んで戻ってきた。

「お待たせ〜」

 みんなの前にカップを配る。

 そしてさっきまで座っていたノアの隣に、潜りこむようにして収まった。


「ブランジェさん、思ってたより家庭的だね」

 お茶を一口飲んだネイトが私に言った。

「ラズ……ラズベリーでいいよ。私のクラスメートからのイメージってどうなってるんだろう?」

 私は困惑しながらキャロルを見た。

「……そりゃぁ、なんか強い護衛魔導士引き連れてるし、魔法の銃を嬉々としてぶっ放すし……ねぇ?」

 キャロルがそう言ってノアを見た。

「……俺はいいと思うけど」

 ノアが少し困った顔をして私を見た。

 珍しくノアにフォローされると、なんか逆にこたえる。




「この『コタツ』っていうの、いいな!」

 体が温まってきたってきたネイトが、表情を緩めながら言った。

「いいでしょ? 私もよくここにコタツ目当てで来てるのよ」

 キャロルがフフンと自慢した。

「!! お前よく婚約者同士の部屋にお邪魔出来るな? 空気読めよ」

「はぁ? そのおかげで気絶したネイトをここで介抱出来たんだからいいでしょ!? そうじゃなきゃ、あの寒い外にほっとく所だったわよ!」

 2人がわぁわぁ言い出した。


 私はそんな2人を放っておきながら、ノアに喋りかけた。

「今日の夕食どうしよっか? 時間あるし先に温泉入りに行く?」

「そうだな。その方があとでゆっくり出来るし。もう2人を置いといて先に入りに行くか?」


 そんな私たちを見たネイトが、コタツ机に突っ伏した。

「いいなぁ。俺もランドールみたいに婚約者欲しい……もう、ランドールになりたい……」

「え? いきなり何? 2人の甘い空気に当てられたの?? 今日はまだ軽いほうよ」

 キャロルが引きながら突っ込んでいた。

「せめて強くなりたい……」

 ネイトが突っ伏したまま、まだブツブツ言っていた。


「……ネイトはスピアのリーチを過信しすぎだ」

 見かねたのか、ノアがいろいろアドバイスし出した。


 ……早く帰って欲しいのかもしれないけど。




「ーーーーこんな感じで次はやってみろよ」

 ノアは頬杖をつきながらネイトを見た。


「!! ありがとうランドール!!」

 ネイトが嬉しそうにニコニコ笑った。

「……俺もノアでいいよ」

 ノアが苦笑しながら答えた。


「ちょっと! ネイトだけズルい! 私にも何かアドバイスしてよ!」

 キャロルがノアに詰め寄った。

「アイスラーは……攻撃の太刀筋が分かりやすくていいと思う」

「何それ!? 褒めてるの? けなしてるの!?」

 キャロルが騒ぎ出した。

 


 結局は皆んなでわいわいしていたので、私とノアは、なかなか温泉に行けなかった。





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