表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ジュカル学園

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/79

48:rifle of lightning


 エクセブル集めがやっと解禁になった!

 

 この日を待ち望んでいた私たちは、さっそく3人でトルハの森に入った。


「ようやく、エクセブルを埋めていくことが出来るね!」

 私は森を歩きながら、持っていたエクセブルを思わず抱きかかえた。


 私の前を歩くノアとキャロルは、必要な時に転移魔法でエクセブルを出すから手には持っていなかった。

 後方配置の私がエクセブルを見て調べる係だ。


 今日は雪用のブーツに火の魔石をセットして、雪道を歩く。

 すると、足元の雪が溶けていくらか歩きやすくなった。


 ルミネージュ国で売っている雪用のブーツは、どれも魔石をセット出来るようになっているらしい。

 



「思ったんだけど……」

 キャロルがおもむろに口を開いた。

「エクセブルを集めすぎてもまた禁止されそうだから、どうせなら難しいやつを集めない? 雪が無くなる春とか夏に、簡単なやつをたくさん集めようよ」

 キャロルがニシシと笑った。


「それいいね!」

 私は目を見開いて同意した。


 それから私のエクセブルを3人で覗き込み、難しそうなエクセブルを選んだ。




 ーーーーーー


「見つけたわ!!」

 キャロルがお目当ての、狼のような魔動物『リュークス』を指差して叫んだ。

 

 キャロルとノアが呪文を唱えて魔法を発動させる。

 

 火の属性の魔動物なので、キャロルは大剣に氷をまとわせ、ノアは強化した水魔法から剣を出現させた。


 まずは素早いキャロルがリュークスに近づき、大剣を振りかざす。


『ガキン!』


「!! 防御された!」

 キャロルが攻撃した瞬間、リュークスの周り半円状の透明な壁が見え氷の大剣が跳ね返される。


「アイスラー退いてろ!」

 すかさずノアも剣を振り、その振り先に発生する水魔法をリュークスめがけてぶつけた。

 防御魔法の壁で水流が2つに分かれて、リュークスの背後にある木にぶつかる。

 その木が薙ぎ倒され、辺りの雪が舞い上がった。

 

 けれど、リュークスの防御魔法の壁にも効いたみたいで、パキンとヒビが入る音がした。


『ウオーーーーーン』

 リュークスが空を仰ぎ長く鳴く。


 嫌な予感がした私は、全員に防御魔法をかけるために手をかざす。

「〝multi(マルチ)- protect(プロテクト)!〟」


 呪文を唱え終わった次の瞬間、キャロルとノアにリュークスの炎の魔法が襲いかかる。

 けれど防御魔法に弾かれて2人は無傷だった。


「〝multi(マルチ)-attack(アタック)-boost(ブースト)〟」

「〝multi(マルチ)-speed(スピード)-boost(ブースト)〟」

 続けてノアとキャロルに攻撃力上昇と速さ上昇の魔法をかける。

 

 1項目ごとに魔法かけるの面倒だな。

 まとめたり出来るかな。


 緊迫した状況の中、私は一瞬だけそんなことを考えた。


 そんな私をよそに、前衛のキャロルとノアが声を掛け合う。

「ゴリ押し系の魔動物ね!」

「畳みかけるぞ!」

 2人が一斉にリュークスに襲いかかっていった。




 ーーーーーー


「くやしい! 仕留めるのランドールに取られた!!」

 エクセブルにリュークスを保管し終えたキャロルが、地団駄を踏みながら叫んだ。

「惜しかったな」

 ノアが自慢げにフフンと笑う。

「2人が頑張ったお陰だよ」

 私はキャロルをまぁまぁと(なだ)めた。


「むー!! なんかムカつくー!!」

 ノアに自慢されて更に怒ったキャロルが、私の頭に軽くチョップする。


「あわわっ!」

「いって!」

 前のように痛みがノアにうつって、ノアが反射的に頭を押さえた。


「アイスラー!」

 ノアが私の後ろに隠れたキャロルに怒った。

 その時にはもう、キャロルは器用に私のローブの中に入り込んでいた。

 小柄な彼女だから出来る技だ。


「あはは! 背中があったかい。でも難しいレベルの魔動物集めって楽しいね! しかも1匹倒すだけで、エクセブルに保管できるアイテムを丁寧に3つ落としてくれるから、すごくご都合主義なシステムだね」

 

 私が笑いながら言うと、キャロルが背中からプハッ!と出てきた。


「3人で勝負に挑んだから、その人数分落ちるんだろうね」

 キャロルが私にそう言ったあと、叫び声をあげた。

「いたっ!!」

 ノアがすかさずキャロルにチョップしていた。


「フフフッ。明日はどれにしようかな?」

 私は自分のエクセブルをペラペラめくった。


 また3人で楽しくエクセブル集めが出来るようになって、私はとても嬉しかった。




**===========**


 ジュカル学園の授業も、実技が多くなってきた。

 私たちはグラウンドにあるコートに集められた。

 みんなジャージのような体操服を着用しているが、寒いので中にいろいろ着込んでちょっとモコモコになっていた。


「今日はチームに分かれて戦う」

 レックス先生がみんなの前で説明した。


「今からみんなに特殊な防御魔法をかける。薄っすら黄色く光る膜に覆われるが、1度でも攻撃されれば解除される。使える魔石は1つのみ。攻撃に専念するか、防御に専念するかよく考えるように。最後まで黄色の防御魔法が残っている方が勝ちだ」


「これ、乙女ゲームのイベントの1つよ」

 隣にいるキャロルが、コソコソっと教えてくれた。

 私を見つめて説明を続けてくれる。

「ディアナが攻撃されそうな時に、好感度の1番高い攻略対象者が守るの。まぁ今世のディアナはライオネル王子狙いかな?」

「ふーん……チームが違えばあまり気にしなくて良さそうだね」

 私は仲良く2人で並んでいる、ディアナとライオネル王子を見ながら思った。




 生徒たちが魔石を1つ選び終わると、レックス先生が4つにチーム分けをした。


 私とノアは別々のチームだったが、キャロルがディアナとライオネル王子と一緒になった。


「……参ったわ。大人しくしておこう……」

 キャロルは青くなりながら呟いていた。


「キャロルたちのチームの対戦相手が、ノアのチームだね。私の試合が先だから行ってくる」

 

 私はコートの中に入っていった。

 試合じゃない生徒は、コートの外で観戦席に適当に座って見ていた。




「アーヴァイン、一緒のチームだね。よろしく」

「こちらこそ、よろしくね」

 私とアーヴァインは同じチームだったので、近くに立って挨拶をした。


 そうこうしているうちに、レックス先生のスタートの合図があがる。


 私は向こう側にいる、対戦チームの方を向いた。

 アーヴァインがすばやく防御魔法を展開した。

 優しいアーヴァインは、範囲を広げて私にも防御魔法をかけてくれた。

 

「ありがとう!」

 私はそう言いながら両手を前方にかかげた。

 それに合わせるように、腕輪についている魔石がキラキラ光った。

 強化している雷魔法の黄色い魔石だ。

 

 『もっと欲望に忠実に生きたら?』

 いつかのキャロルの言葉を思い出した。


 そうだね。

 心ゆくままに、私も魔法を使いたい!


「〝rifle of(ライフル オブ) lightning(ライトニング)!!〟」

 

 私が呪文を叫ぶと、魔石が輝きだした。

 黄色の光の粒子が辺りにパッと散らばった。

 そして(またた)きながら、私の両手の下に集まっていき、徐々に大きな光の球になっていく。


 私は両手をかざすのをやめて、光の下側に手を差し出した。

 それに呼応するように光が物質へと変化し、流れるように隅々まで変化が広がっていった。


 すると、バチバチスパークをおこしているライフルのような銃が現れた。

 銃の細かい構造なんか分かってないから、なんちゃってだ。

 銃口が長いタイプがなんとなく良かっただけ。

 

 シンドーさん監修の世界だから、ゆるゆる設定だし!


「ラズ、それは……」

 コートの外でキャロルが呆れかえっていた。

「ノアの炎の剣を見てから、ずーっと考えてたんだよね。銃がこの世界に存在しないから辞めてたけど、欲望に忠実にね!」

 私はキャロルにニコニコしながら答えた。


 そして、魔法の銃をしっかり肩にあて、スコープを覗きこむ。

 引き金を引くと「バンッ!!」という音と共に雷の球が飛んでいき、狙っていた対戦チームの子に当たる。

 バチバチっとスパークが起こり、その子の特殊な防御魔法である光が消えた。


「おぉー。ちゃんと銃じゃん」

 私は楽しくなって、スコープの向こうに捉えることが出来た人たちに向かって、引き金をどんどん引いていく。

 むこうがプロテクト系の魔法を自身にかけていても、強化している雷魔法の威力が強いので貫通して当たった。


「あ、全員倒せたみたい」

 私は魔法の銃を構えるのを辞めながら、隣のアーヴァインを見た。


「うん……瞬殺だね」

 アーヴァインがドン引きしながらも答えてくれた。




 ーーーーーー


「……結局、レックス先生に怒られて失格になった……」

 私は観戦席に座っていた。

 

 両サイドにはキャロルとノアが座っている。

 目の前では、私抜きで試合が仕切り直されていた。


「別に悪いことしてないのに……」

 私は口を尖らせた。


「ラズは前世で何か銃を扱ってたの? エアガン?」

 キャロルが落ち込んでいる私の背中をポンポン叩いた。

「大学が田舎にあってね、仲良い友達がサバゲー好きだったの。それで全然関係ないサークルなのに、その子主催のなんちゃってサバゲーにみんな参加させられてたんだー」

 私はキャロルに甘えるように、もたれかかった。

 

 ノアをチラリと見ると、私の魔法の銃を興味深げに眺めている。


「こう?」

 ノアが私の真似をして構えながら聞いてきた。

「もうちょっとこうかな」

 キャロルにもたれかかっていた私は起き上がり、ノアの姿勢をグイグイ触って直した。


「ふーん……」

 ノアがスコープをのぞく。


「銃口の先にいる生徒が怯えてるから、辞めてあげたら?」

 キャロルが呆れながらノアに言った。


「……危ないから消しておこうかな。またいつでも出せるから」

 私はノアに断ってから、魔法を解除した。

 そしてボソッと呟く。

「今度、魔法の銃を出す時は、全体魔法も付加してみようかな」


「……ラズに欲望に忠実にさせるのは失敗だったかもしれない……」

 キャロルがジト目で私を見ていた。




 次にキャロルとノアの試合が始まった。

 

 その試合を見ている私の隣に、距離を空けてアーヴァインが座った。

 近すぎると殺気を放ち出すノアに、たぶん遠慮してくれたんだと思う。


「ラズベリーの魔法、凄かったね」

「……でも失格になってショック」

「フフッ。圧倒的すぎたからね」

 アーヴァインが楽しげにクスクス笑った。


 あ、キャロルが早々とノアの攻撃にわざとぶつかって退場した。

 まぁイベントに巻き込まれたくないよね……


 私はアーヴァインと喋りながらも、横目で試合の行方を見ていた。


「そういえば、全体魔法を編み出したらしいね」

 アーヴァインが何気なく聞いて来た。

 おそらく、トルハの森の稲妻魔法事件を知られているのだろう。

「そうなの。アーヴァインに全体魔法を見せてもらったから、魔石を開発出来たよ! ありがとう」

 私は全体魔法の話が出来ることが嬉しくて、ニコニコ笑った。


「ラズベリーは凄いね。新しい魔法を次々に生み出して。その元気はどこから来てるの?」

 アーヴァインが笑いながら首をかしげる。

 そして笑うのを辞めて、しっかり私の瞳を見つめた。

「……良かったら僕の国に来ない?」


 ス……スカウトだ!


 目をキラキラさせだした私を見て、アーヴァインが珍しく呆れた顔をした。


「……思ってるような受け取り方じゃない気がするけど……何かの時に、そういった道もある事を覚えておいてね」

 アーヴァインは穏やかにニッコリ笑うと、立ち上がって去っていった。

 

 ーー気が付くと、キャロルとノアの試合は特にトラブルもなく、きちんとディアナとライオネル王子のイベントが発生して終わっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ