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やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ジュカル学園

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47:multi-


 今日はアーヴァインとの最後の勉強会だった。

 いつものように図書室で落ち合い、隣同士で座っていた。

 

 アーヴァインは、勉強会のおかげか、元々賢いからか、魔法語への理解がかなり深まった。

 私が教えられることが無くなってきた程だった。




「ラズベリー。魔法語をいろいろ教えてくれてありがとう。とっても助かったよ」

 アーヴァインがいつものように穏やかに笑った。

「お役に立てたのなら良かった。でも、これからも分からないことがあったら、何でも聞いてね」

 私もアーヴァインに微笑み返した。


「じゃぁラズベリーも、困った時はいつでも頼ってね」

 アーヴァインが、私としっかり目線を合わせて言ってくれた。

 いつも笑って目を細めているからか、ジッと見つめられると綺麗な赤い瞳がハッキリ見えた。


「あはは! 心強いね。うん、よろしくね」

 私は満面の笑みを浮かべた。




 勉強会も無事に終わり、私とアーヴァインは図書室から出るために、扉へ向かって歩いていた。


「ラズベリー」

 アーヴァインがふと立ち止まって呼んだから、私も立ち止まって彼を見た。

「どうしたの?」

「君さえよかったら、僕の……」

 アーヴァインが真剣な表情で何か言いかけた時に、図書室の扉が開いた。


 私がそちらを向くと、ノアが立っていた。

「ノア! 迎えに来てくれたの?」

 私は嬉しくて、タタタッとノアの方に駆け寄った。

「あぁ。今日は魔石の合成をするんだろ?」

 ノアがそう言いながら、アーヴァインをチラリと見た。

 

 それで、アーヴァインが何かを言いかけていたのを思い出した私は、後ろを振り返った。

「ごめんね。話の途中だったね」

「……ううん。何でもないよ」

 アーヴァインはいつもの優しい笑みを浮かべた。


「そっか。じゃぁまたね!」

 私もニコッと笑い返した。

 そしてノアと手を繋いで図書室を出て行った。




 私とノアは使われていない講義室に入った。

 ノアが言ってたように、今日は魔石合成をするつもりだったからだ。

 あらかじめ持ってきていたいろいろな魔石を、私は机の上に広げた。


「じゃぁ思い付くの片っ端からやっていくね!」

 私は腕まくりをして、魔石を3つ握った。




 ーーーーーー


「やっと……やっと出来た!!」

 私の手の中にはトリカラートルマリンのような、3色が綺麗に分かれた四角い魔石が出来ていた。


 何度も何度も『hybrid(ハイブリッド)』を行ったので、私は額に汗をかいていた。


「ちょっと休憩……」

 疲れてしまった私は両手を机について、項垂れた。

 机の上に、先ほど出来た魔石をそっと置く。

「大丈夫か?」

 ノアがそう声をかけながらも、3色の魔石を持ち上げて眺めていた。

 

「うん。まだ大丈夫。あとはこの全体魔法の魔石に、何か基本魔法を『hybrid(ハイブリッド)』したいんだけど……ノアは何がいい? 炎?」

「ラズの俺に対する火のイメージ強すぎないか? 雷とかどうだ?」

「いいね!」


 私はやる気が出たので、背筋を伸ばして立った。

 そして『君のひとみに恋してる』呪文で強化した雷の魔石を取り出した。

 それと先ほど作った全体魔法の魔石を、ノアに渡してもらって手に握る。


「無理すんなよ」

「うん。ありがとう」

 私はノアを見て笑顔を浮かべた。


 そして前を静かに向く。


「〝hybrid(ハイブリッド)!〟」

 私は気合いを入れて呪文を唱えた。



 

 ーーーーーー


 全体魔法の魔石のフチが、フレームがついたように黄色になった魔石が、手のひらの上に完成していた。


「出来たよー!!」

 私は魔石を片手で握りしめて、ノアに抱きついた。

「良かったな」

 ノアがいつものように抱きしめかえして、オデコにキスしてくれた。


「フフッ。さっそく使いにいこうよ!」

 私は好奇心でキラキラした目をノアに向けた。




**===========**

 

 トルハの森にさっそく私たちは向かった。

 

 私にとってはすごく久しぶりだった。

 アーヴァインと入ってから初めてかもしれない。


 深い雪が降り積もっているので、ノアが炎の魔法で溶かしながら道を作ってくれた。

 その道を転ばないように慎重に進んでいく。


 しばらく歩くと、ちょうどよく魔動物の群れがあった。

 エクセブルで調べると、集めたことのある魔動物だった。

 まだエクセブル集めをしてはダメな期間なので、ちょうど良かった。


「じゃぁお願いしていい?」

 私はノアに全体雷魔法の魔石を渡した。

「いいのか? ラズがせっかく作ったのに……」

「うん。ノアが使う所を見てみたいし、私の魔力が無くなりそうだから」

「じゃぁ見せてやるか」

 

 ノアがニッと笑って、魔石を腕輪にセットする。


「あ、呪文は『multi(マルチ)-lightning(ライトニング)』で」

 私はいつものように、魔石を作った時に頭に思い浮かんだ呪文をノアに伝えた。


「分かった。〝multi(マルチ)-lightning(ライトニング)〟」

 ノアが手をかざしながらそう唱えると、稲妻が空から降ってきた。

 

 けれど、私たちの目の前だけでなく、トルハの森の広範囲に稲妻が落ちた。

 ランダムな場所に大量の光の筋が降り注ぐ。

 

 凄まじい音と光に、私は思わずノアに抱きついた。

 稲妻の量に驚いたノアも、私を守るかのようにギュッと抱きしめ返してくれた。


 …………


 どうやら、トルハの森にいる、ターゲットにした魔動物全部に稲妻が落ちたみたいだった。




「……忘れてた」

 私は驚いた表情のままノアを見た。


「アーヴァインの全体魔法のイメージしかしてなかったけど、私も賢者になって魔石作る威力増し増しだし、それを扱うノアも賢者になって威力増し増しなんだった……」


「……でも、全体魔法上手くいったな」

 ノアが苦笑しながら私をフォローしてくれた。


 …………


「「逃げよう!」」

 私とノアは一緒のタイミングでそう言うと、急いでトルハの森からジュカル学園に帰った。

 

 


 けれどジュカル学園の敷地に入ると、レックス先生が待ち構えていた。


「……何の話か分かっていそうだね」

 レックス先生が苦笑しながら言った。


「バレるの早くないですか?」

 私は思わず聞いてしまった。

「ランドールのレベルが一瞬で2上がったからね、さっきの稲妻と関係しているんじゃないかな?」


「…………」


 私たちは観念して大人しく叱られた。



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