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やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ジュカル学園

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33/79

33:蒸気機関車


 今日は、私とノアがルミネージュ国へ旅立つ日だった。

 ルミネージュ国は、蒸気機関車に乗って3日かかる場所にあった。


 駅のホームで、お父様とお母様が私たちを見送ってくれた。


「気を付けて行っておいで」

 お父様が優しく微笑んでくれた。

「戻ってきたくなったら、いつでも帰ってらっしゃい」

 お母様が、少し目を潤ませて言葉をかけてくれた。


「行ってきます!!」

 しんみりした両親とは裏腹に、ワクワクしすぎている私は元気よく挨拶した。


「……行ってきます」

 ノアは呆れながらも、私の両親としっかり目を合わせて何やら(うなず)き合っていた。

 お父様の「頼んだよ……」という呟きが、聞こえた気もした。



  

 私とノアが車両に乗り込むと、蒸気機関車がゆっくり動き出した。

 私は見えなくなるまで両親に手を振ると、ノアと一緒に早速客室へ向かった。


「すごい! 一両まるまる私たちの客室だね」

 さすが侯爵家。

 豪華な客室を手配してくれたらしい。


 荷物を置いて、私とノアは蒸気機関車内の探検に出かけた。




**===========**


 私たちは展望デッキに並んで立っていた。

 ここは周囲が柵になっており、外の風景を見渡すことが出来た。

 流れて行く目の前の景色に、少しずつ白い色が増えていく。

 風も肌寒いものになってきた。


「だいぶ遠くまで来た感じだね」

 私は隣に立っているノアを見上げた。

「そうだな」

 ノアは私と目線を合わせて、軽く微笑んだ。


 


 ルミネージュ国は山の奥深く、冬には雪が降り積もる極寒の地域と聞いている。

 そこは魔法が盛んで、ジュカル学園は質の高い魔法教育が受けられることで有名らしい。

 私たちは自国であるリーネル王国からの推薦で、特待生として入学することが出来た。

 

 これから2年間、学園生活を送る。


 


 感慨深く景色を眺めていると、突然女の人の柔らかな声が聞こえ出した。

『ルミネージュ国へ入りました』

「え? 何??」

 私は辺りを見渡した。


 私たち以外には誰もいない……

 感覚的には、空から声が降り注いでいる感じがする。


『ラズベリー・ブランジェ レベル52』

『ノア・ランドール レベル57』

『承諾』


 ……天からのアナウンス??


 私は訳が分からず、ノアに困惑の表情を向けた。

「他国に入国する際に、国によっては空からいろいろ言われたりするらしいぞ」

 ノアが何てことないような態度で、私に説明してくれた。



 ……レベルの概念……

 乙女ゲーム「君のひとみに恋してる★」には無かった。

 他のゲームの世界に入った感が、半端ないんですけど!


 もしかしたらだけど、他の国は違うゲームの舞台だったりするのかな?


 …………

 まさかね……



 考えごとをしていると、あることに気づいた。

「でもルミネージュ国に入ったってことは、今から魔法使い放題?」

 私は笑みを浮かべながら、つけている腕輪をそっと触った。

「あぁ」

 ノアもニッと笑って嬉しそうにした。


「石炭! 私石炭から魔石を作りたい!」

 私はノアの腕を引っ張って、車両内に入ろうとした。

「なんで?」

 ノアは呆れながらも付いてきてくれた。

「ちょっと考えてる、あったかアイテムが作りたくって!」




 そのあと、私たちは車掌さんにお願いして、先頭の機関室から石炭が燃えている火室を見せてもらった。

 そこで無事に、石炭から火の魔石を数個作ることが出来た。


 ……魔法が自由に使えるって楽しい!


 私は出来立ての魔石を眺めながら、嬉しさを噛み締めていた。




 夜には、私たちの客室の窓から見える外に向かって『stardust(スターダスト)』の魔法をかけて、流星群を楽しんだ。


「あー楽しい! ルミネージュ国についたら氷の魔石とか作りたいなぁ」

 立って魔法を使っていた私は、客室にあるソファにぴょんと座った。

 隣にノアも座って、さりげなく私の肩を抱き寄せる。

 私も彼にもたれかかるように、くっ付いた。

 

「魔法が使えるから、もし魅了魔法が発動しても『fly(フライ)』で逃げればいいのかな?」

「んー、相手を拘束する『capture(キャプチャー)』をかけてもいいかもな。『sleep(スリープ)』みたいな状態異常系は、魅了魔法が強力すぎて重ねがけ出来ないけど、物理的な魔法なら大丈夫なんじゃないか?」


「そっか。魅了魔法が発動しても、これでちょっと楽になったね」

 私はノアを見上げて笑った。

「けど危ないことはするなよ」

「そうだね。私が怪我したら、ノアが怪我するもんね」

「そう言う話じゃ無くって……」

 ノアが呆れた表情で眉をひそめる。

 

 そして私の頭の後ろをそっと撫でた。

 頭を怪我した時の場所だ。

 髪で普段は隠れているが、小さな傷跡がある。


「ルミネージュ国にいる間にラズは16歳になって、魂の契約魔法が終了する。頼むから怪我するなよ」

 ノアが少しだけ切なそうな表情をした。

「……うん。ありがとう」

 私は照れながらお礼を言った。


「ラズは氷で滑って頭打ちそうだし……」

「!! そんなドジじゃないよ!」

「どうだか」

 ノアが意地悪な笑みを浮かべた。


「ーーーーっ! ノアだって……!!」




 ーーーーーー

 

 私たちの客室には、遅くまで楽しそうなしゃべり声が響いていた。


 

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