表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ラズベリーとノア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/79

29:stardust


 私たちが馬車の中で告白し合ったあと、ダライアス様の屋敷に行こうと、私はノアを誘った。

 

 もうすっかり夜になっており、ダライアス様の屋敷の門を静かにくぐる。


 私たちはパーティに行くような正装をしているので、他の人に見つからないように、コッソリ移動した。


 先を進む私に、後ろからノアが声をかけた。

「何するんだよ?」

「ノアとしてみたいことがあって。今日トラブルが片付いた記念にやってみようかなって」

 私はノアの方にクルッと回って振り返った。

 ドレスだけじゃ寒いだろって、ノアが貸してくれたローブがフワリと舞う。


「この建物が1番高いかな?」

 私は上を見上げながら、腕輪に飛翔の魔石をセットしようとした。

 すると隣から魔石を奪い取られた。

「ラズはダメ」

 ノアがそう言って、自分の腕輪に魔石をセットした。

 私が何でか分からず首をかしげていると、ノアにひょいっとお姫様抱っこをされた。

「スカートの時に、飛んじゃダメだろ」

 ノアが呆れた目付きで私を見た。

 そして呪文を唱えて、空に舞い上がった。


「ここでいいのか?」

「うん。ありがとう」

 ノアが、屋敷で1番高い建物の屋根の上に降り立って、そっと私を下ろしてくれた。


「星空が綺麗だねぇ」

 私は夜空を見上げた。

 無数の星が(またた)いており、今にも降ってきそうだ。


「よし、この星空を魔石にしてみるよ!」

 私はノアを見てニヤッと笑った。

「実際の星は距離がありすぎるんだけど、案外ゆるゆる設定だから出来ると思うんだ」

「……それで魔法が使える師匠の屋敷に、わざわざ来たんだな」

「そうなの。補助お願いしていい?」

 私はノアの隣で、夜空に向かって両手をかかげた。

「ん」

 ノアが、後ろから包み込むようにくっついてくれて、私の両手に自身の両手を添える。


「いくね。……〝examine(イグザミン)〟」

 私は呪文を唱えた。


 イメージを膨らませなきゃ。

 満点の星空。

 宝石のような星々の(きら)めき。

 星たちの命の輝き


 夜空から光の粒子が、ふんわり私に降り注いでくる。

 本当に、星が落ちてきているようだ。


 どこまでも穏やかに、そして優しく、私の手の先にたくさん光が集まっていく。


「〝generate(ジェネレイト)〟」

 私が呪文をそっと呟くと、集まっていた光がキラキラ(またた)きながら、うごめき出す。

 いつものように、目が開けていられなくなる程の光になり、私は目をギュッと閉じた。


「…………」

 目をそっと開けると、私の手のひらの上には、アイオライトサンストーンのような魔石が出来ていた。

 群青色の中にキラキラと(きら)めくインクルージョンが、月明かりを浴びて輝いている。

 星空を閉じ込めたような美しい魔石だ。


「やったぁ!!」

 私とノアは笑い合って喜んだ。




「綺麗に出来た!」

 魔石が無事にできたあと、2人で屋根の上に隣あって座り、しばらくその魔石を掲げて眺めていた。

「…………」

 ノアが私の肩を抱き寄せて、おでこにキスをした。


 私は頬を染めてノアを見上げた。

「私の方が前世の人生分、精神年齢は大人だからかな。たまに、いたいけな少年を騙してしまってる気分になる……」

 私は、ノアからの愛情表現にまだ慣れなくって、照れ隠しで口を尖らせながら言った。

「魔法に夢中になっているラズは、年上って感じしないけどな」

 ノアが意地悪く笑いながら言った。


「フフッ。でもノアはまだ若いから、視野を広くもってね。私だけに囚われないで」

 私は穏やかに笑みを浮かべた。

 

 成長して、違う気持ちになっても仕方ない。

 若いうちの激情は、移ろいやすいこともあるから……


 そんな気持ちも込めて言った。


「……? ラズも()()同い年だろ。視野を広くもたないのか?」

「私は前世で、ある程度生きたからなぁ。固定されてしまってると言うか……」

「じゃぁラズは狭い視野のままでいいから、俺だけを見てろよ」

 頬を少し赤く染めたノアが、フイッと顔をそむけながら言った。


「あはは! そうだね。そうする」

 私は、ノアらしい自信たっぷりの言葉に、とても嬉しくなって笑った。

 

 不安なのかもしれない。

 ノアが将来、心変わりしてしまうかもしれないことを。

 その時、私は、彼を許せるのかを。


「本当か?」

 ノアが笑いながら、おでこを私のおでこにくっ付けてきた。

「フフフッ。うん!」

 私がそう言い終わると、ノアが顔を近付けてきて、唇にキスを落とした。



 ーーーーーー


 私たちは、そろそろ帰ろうかという話になり、屋根の上で立ち上がった。

「……帰る前に、星空の魔石使ってみる?」

 私は、さっき生成した星空の魔石を手のひらにのせて、ノアに少し差し出した。

「俺が使うと威力が強すぎるから、ラズが使ってみろよ」

「そうだね。やってみる!」

 私は腕輪に、星空の魔石をセットした。

 

 そして両手を夜空に掲げる。

「〝stardust(スターダスト)!〟」

 私が呪文を唱えると、魔石がまばゆい光を放ち、あたりが一瞬昼間のように明るくなった。

 それが収まると、空から流れ星のような光が、尾を描いてダライアス様の屋敷に降り注ぐ。

 

 まるで流星群だ。


 その明かりの騒がしさに、屋敷の人々が何事かと思って外に出だした。


「やばい! ローランドさんに見つかった! 逃げるぞ!」

 ノアが私を抱き上げ、飛翔の魔法で地上に降りた。


「アハハハ! すごい魔法だったね!」

 威力の強い水魔法で、屋敷の壁を壊してしまった時のように、私たちは急いでローランドさんから逃げた。

 ドレスにヒールの靴を履いている私を、ノアが横抱きしたまま走ってくれている。

 

 私たちは見つめあって、笑いあった。


 無事に屋敷の門の外までたどり着いて帰れたけど、私たちの楽しそうな姿は、多くの人に目撃されていた。




**===========**


「魔法への探究心が、高いのは分かるんじゃが……事前に知らせてくれんと、困るんじゃがの」


 後日、私とノアは、やっぱりダライアス様に呼び出されて、お叱りを受けた。


 私がこのお屋敷に通い出してから……ノアと出会ってから、1年以上過ぎた。

 なのに、魔法に夢中すぎて、相変わらず叱られている2人は、顔を見合わせて苦笑した。



第一章がこれで終わりました。

明日から第二章が始まります。


 皆様の評価、ブックマーク、いいね、などの応援、誠にありがとうございます。

 読者様に何かしら反応して頂けると、楽しく読んで頂いているのが分かって、とっても嬉しいです。

 作者のやる気にも繋がっております。本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ