表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ラズベリーとノア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/79

2:charm


 ラズベリーに転生してはや3日。

 私は今後、目が無くならないようにどうしたらいいか何も思い付かないままだった。


 気分転換に侯爵家の広い庭園にあるベンチに座って考えていた。

 目の前には噴水があり、何気なく水の流れを目で追った。


 まずはこの国の王太子であるフェリックス王子の婚約者には絶対ならないでおきたい。

 あとはヒロインである聖女セシリアを絶対いじめない!


 そのぐらいしか思い付かなかった。


 それだけで大丈夫かなぁ?

 誰にも相談出来ないので不安しかない。


 


 ふと、目の前にある噴水の水面を見ると、黒髪にピンク瞳の12歳の女の子がうつっていた。

 私はこの外見をまだ見慣れて無かった。


 ピンクの瞳を見る度にあの怖い夢を思い出す。

 それで、あまり鏡も見たくなくなり、自分を見る機会が減ったからだった。


「ラズベリーお嬢様、こんな所でどうしたのですか?」

 声をかけられた方に視線を移すと、従者の1人であるバートがいた。

 30代前半の彼は、わがままなラズベリーに何かと優しくしてくれていた。

 気のいい人で、前世の記憶が蘇る前のラズベリーは、歳の離れたお兄ちゃんのように思っていた。


「……バート」

 ラズベリーのそんな記憶から安心感を感じてしまった私は、思わずジワっと瞳に涙を浮かべた。

「……大丈夫。何でもないわ」

 私は涙が流れ出さないように、目尻にたまった涙を(ぬぐ)った。



 ーーーーーー

 

 その時、私たち2人の間の空気が変わったのを感じた。


「??」

 

 ん? 何かしら?

 気のせい??


「ラズベリーお嬢様、元気が無いようですね。ちょっとこちらへ来て下さい」

 バートが手を差し出してくる。

 ちょっと虚ろな瞳に口元は弧を描いた笑みを浮かべていた。


 私は何か違和感を持ちながらもバートの手の上に自分の手を置いた。

 するとグイッと引っ張られ、無理矢理立ち上がらされた。


「どこ行くの!?」

 バートは私の手を引っ張ったままズンズン歩いて行く。

 私の疑問に答えてくれないまま、屋敷の室内に入った。


 ここは……庭園の整備をするための道具を置いている場所だわ……

 

 私はキョロキョロと辺りを見渡した。


 その時、振り返ったバートにいきなり抱きしめられた。

「え!?」

「ラズベリー様……あぁ、ずっとこうしたかった!」

 バートの荒い息遣いが頭上から聞こえた。

 

 欲情してる!?


「キャーーーー!!!!」

 私は大声で叫んだ。

 

 バートがおかしい。

 こんなこと今まで無かった!


 すると、私の悲鳴を聞きつけた従者数名が駆けつけてくれて、バートを私から引き離してくれた。

 メイドが震える私の背中を優しく撫でてくれる。


「……怖かった……」

 私は助かった安心感から涙を流した。


「お嬢様……可愛いラズベリーお嬢様」

 突然、その優しいメイドにぎゅうっと抱きしめられた。

 

 え? このパターンは……


 私は恐る恐るメイドの腕の中から彼女を見上げた。

 メイドは目をトロンとさせて頬を赤く染めていた。


 ……こっちも!?


 私はメイドの腕をふりほどき、後ろへ下がって距離を取った。

 涙が溢れている瞳で辺りを見渡すと、バートを押さえ付けてくれている従者たちと目が合った。


 

 ーーーーーー


 バートの時と同じように部屋の空気が変わったのを感じた。

 目が合った従者たちも瞳が虚ろになり笑みを浮かべる。


「!!!!」

 私は声にならない叫び声をあげて入ってきた扉から外へ逃げ出した。


 


 走って走って、自室に逃げ込んだ。



『バタン!』

 大きな音を立てて扉をしめると、その慌ただしさに驚いた私専属メイドのミリーが部屋に駆けつけて来た。

「ラズベリーお嬢様? 大丈夫ですか?」

 ミリーが部屋の外から心配して声をかけた。

「入ってこないで! 1人にして……」

 私はベッドの中で震えながら言った。


 何?

 何が起こったの??


 私は人に会うことが怖くなり、部屋から出れなくなってしまった。




**===========**


 あれから数日かけて、いろいろ考えた。

 

 バートたちが、おかしくなるキッカケ……


 ラズベリーの『涙』だ。


 涙を流すと、魅了魔法が発動するようだ。

 ゲーム内でも悪役令嬢のラズベリーは自分の立場が悪くなると、よく目をウルウルさせていた。

 魅了魔法を周りにかけて許してもらっていたんじゃないかな?

 何故か攻略対象者たちはラズベリーに甘かったからだ。


 そして最後に目を取られる……

 魅了魔法をかけてたのが王子たちにバレたんじゃない?

 だから魔法をかけれないように目を……


 全て憶測だけどね。


 …………


 ゲーム内での悪役令嬢の深掘りはあまり無かったから分からない。

 けれど、このゲームは変な所で凝った設定があるから、私の予想はありえそうに感じた。


 『君のひとみに恋してる★』というゲームタイトルは、ヒロインの聖女セシリアの力が目覚めるとオッドアイになることから来ていると思っていたけど、ラズベリーも瞳に意味があったんだ……


 ラズベリーの設定を凝ったものにしたけど、最後は尺が足りなくてお披露目しなかったのかな?


 私はゲームの総監督者、シンドーさんに思いを馳せた。

 エンドクレジットでフォントのサイズを間違えたのか、1人だけデカデカと名前が流れるためネットでも話題になっていた。


 そんな徹夜明けのシンドーさんの作った設定に振り回される2度目の人生になるとは……

 部屋に引きこもったままじゃ何も変わらないか。


 


 私は現状をどうにかしたくて、やっと部屋の外に出る決心をした。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ