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やっぱり、君の瞳に恋してる!〜ピンクの瞳に魅了魔法の力が宿る悪役令嬢が、最強の魔導師を目指します〜  作者: 雪月花
ラズベリーとノア

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12/79

12:shine


 結局あの後、私とノアはダライアス様の部屋に呼ばれた。

 そして「こっそり強化の呪文教えてくれんかのぉ」というダライアス様に、呪文をお伝えした。


「……」

 流石(さすが)のダライアス様も驚いて2、3度(まばた)きをした。


「……強化魔法の呪文の一覧に〝月が綺麗ですね〟とありました。あの魔法語は〝The moon is beautiful〟になっていますが、本当は〝I love you〟です。家にある古い書物で読んだことがあるんですが、あれは愛の言葉を素敵に言い換えたものなんです」

 私はダライアス様に一生懸命説明した。

 そして、チラリとノアを見る。

 この機会にノアの誤解も解いてしまいたい。


「そこで、古くからある愛の言葉をいろいろ試してみました。その中で1番、強化力が高かったのが〝君のひとみに恋してる〟でした」

 私は嘘と本当を織り交ぜて力説した。

 あまり深く突っ込まれるとボロが出るけど……


「ふむ。なんとなく分かったのぉ」

 ダライアス様はとりあえず頷いてくれた。


 良かった!


「いいかラズよ。その呪文は強力すぎる。他の人に頼まれても、あのレベルの魔石を生成してはいかんぞ」

「……? 他の人にはダメってことは、自分の分はいいんですか?」

 ダライアス様のどこかいい含めたセリフに、私は思わず質問した。

「……ここは魔法を学ぶ場所じゃ。若い探究心を止めることはしたくないんじゃよ」

 ダライアス様がそう言ってウィンクした。


「フフッ。ありがとうございます」

 私も笑顔で答えた。




**===========**


「ってことは、自分の分は作っていいんだよねー♪」

 私はノアによく魔法を教えてもらっている、あの部屋にいた。

 今日は思いついた魔石を生成してみたくて、意気込んでいる。


「また凄いの作るのか?」

 ノアは呆れ顔で椅子に座って足を組み、近くの机に頬杖をついていた。

 今日はちょっと危ないこともするので、ノアにもそばにいてもらっていた。

 

「成功したらね」

 私はそう言いながらガラスで出来た小皿を取り出した。

「私の涙から魔石を生成してみようと思って」

 そう言いながら、私はニッと笑った。


 部屋のドアには簡易的に鍵をした。

 ドアノブが横に細長いので、下にさがらないように物を積み上げて、ストッパーにしているだけだけど……

 案外これで開けられなくなる。


 今思うと、ノアと魅了魔法について実験してる時に、誰かが急に入ってこなくて良かった。


 私はそう思いながら、ガラスの小皿と赤い液体が入った小瓶、それに水が入ったコップを机においた。


「?? それは?」

 ノアが赤い液体が入った小瓶を指差す。

「激辛タバスコ系の調味料! 辛くて涙を出す作戦なの」

 私は胸を張って答えた。

 ちなみに水は、調味料が辛すぎると思うから後で飲む用だった。

「……体張るなぁ」

 ノアがまたまた呆れ顔で私を見た。


「フフフッ。もし成功したらバカに出来なくなるよ!」

 私はニヤリと笑いながら、激辛タバスコ系の調味料の小瓶を逆さまにし、人差し指の先にちょこっと出した。

 そしてペロッとひとなめする。


「!!!! からっ!!」

 ほんのちょっとだけなのに、噂どおり激辛だった。

 口がヒリヒリしまくりで、すぐさま涙が込み上がってきた。


「……からい……」

 私は両手を机について下を向いた。

 ガラスの小皿にポタタッと涙が落ちる。

 しばらくそうしていると涙がだいぶ小皿にたまったので、すぐさま両手をかざした。

 瞳からポロポロ涙を流しながら。


「先に水飲んだら?」

 見かねたノアが残念な人を見る目で見てきた。

「ううん。鮮度のいいうちに魔石にしたい!」

 私は首を横に振りながら返事した。


「〝examine(イグザミン)〟」

 私が呪文を唱えると、光の粒子が集まり、クルクルと回りながらガラスの小皿の涙を通り抜けた。

 いつもは対象物の周りをまわるだけなのに、今日は違った動きをしている。

 そして、段々と光の球として粒子が集まり出した。


「〝generate(ジェネレイト)〟」

 私は両手を光の玉の下側にあてがった。


 息をすってから、強化の呪文を唱える。

 

「〝Can't Take My ーーーーーー〟」

 〝きみのひとみに恋してる〟と。




「…………出来た!!」

 私の手の平にはウォーターオパールのような、透明に虹色の遊色が浮かぶブリリアントカットの魔石が転がっていた。

 

 私は涙で滲んでいる視界の中、魔石を落とさないようにしっかり握った。

 そしてコップの水をゴクゴクのんだ。


 ……この方法は次は無理かもしれない。

 からい……


 私の涙はしばらく止まらなかった。




**===========**


「次はいよいよ魔法を使う番だね!」

 涙が止まって落ち着いた私とノアは、いつもの庭園に来ていた。


「その魔石は光魔法?」

 近くで見守ってくれているノアが尋ねた。

「聖魔法をイメージしたよ。魔石の色が透明だから上手くいってるといいな」

 私はそう言いながら、腕輪に魔石をセットした。

 聖魔法は基本要素である光の魔法から派生し、上位にあたる魔法だ。

 聖魔法の魔石ができると、自然と光魔法の属性も含んでいる。


「〝heal(ヒール)〟」

 私は自分に対して聖魔法の一種をかけてみたが、発動しなかった。


 ……いきなりは無理か


 気を取り直して、目の前の空間に向けて手をかざす。


「〝shine(シャイン)〟」

 呪文を唱えた瞬間、あの透明な魔石が(まばゆ)く光りだした。

 そして私の体に重力のような圧がかかる。


 ……何……これ??


 (ひたい)に汗をかきながらも、手のひらの先に魔法の粒子が集まり出したので体勢を崩さないように歯を食いしばる。

 すると光の矢のような魔法が手の平から繰り出されて、遠くへ飛んでいった。

 魔法が放たれると同時にあの圧も消えた。


「やった! …………」

 私は喜ぶのと同時に、フラッと後ろに倒れた。

「わっ! 大丈夫か!?」

 ノアがあわてて抱き止めてくれた。

「……やっぱり、光魔法は合わないみたい。魔力がごっそり持っていかれちゃった……でも出来て良かったぁ」

 私は「はぁ」と感嘆のため息をついた。


「これでひとまず賢者にはなれるかな?」

 私はノアの腕の中から、彼の赤い瞳を見つめた。

「まぁ俺のあとになれるんじゃない?」

 ノアはそう言って笑うと、私をひょいと抱えて少し歩いた所にあるベンチに座らせてくれた。


「その魔石貸して」

 立ったままのノアがそう言って手を差し出す。

「いいよ」

 私は腕輪から魔石を取り外してノアに渡した。


「〝heal(ヒール)〟」

 ノアが私に癒しの魔法をかけてくれた。

 やっぱり私が作った魔石をノアが使うと、威力が半端なくなるので、すごく(まばゆ)い光につつまれて目が開けていられなくなった。

 少し暖かい感じがしていたが、しばらくしてそれが無くなったのでそっと目を開けた。

 すると、倒れそうになるほどの疲労感が無くなっており、服まで綺麗になっていた。


 ぐぬぬ。

 やっぱり普通の人はこの魔石で聖魔法が扱えるのか……

「ありがとう」

 だいぶ悔しかったが、お礼は素直に伝えた。


「諦めずに頑張ったな」

 ノアが優しい笑顔を浮かべて、私の頭をワシャワシャ撫でてくれた。


「……うん」


「……泣くなよ?」


「……うん。……フフッ」


 私たちは思わずお互いを見つめて笑みをこぼした。



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