14-6 『俺達』があなたを止めます!(前編)
「残りは俺達だけか!」
「けど魔力源まではもうすぐだよ!」
「あ! あれを見て!」
恵介の班が敵と戦い、もう自分達しか残っていないことに危機感を覚える春。しかし、目標である魔力源はもう目前にまで迫っていることを感知している。そんな中、耀が前方を指して声を上げる。その先には厳重な扉としっかりと整備された床や壁面が広がっており、これまでの雑な洞穴とは雰囲気がまるで違う。この先に重要な何かがあると思わせるには十分であった。
しかし、そこに続くまでの道と扉の前にはその空間を埋めるように敵がびっしりと待ち構えていた。狭い通路から扉に向かって空間が広がっている通路を埋め尽くす集団に五人は思わず足を止めてしまう。
「なによこの数………!」
「ざっと百人以上か。面倒くせぇな………!」
目の前に立ちはだかった障害に表情を険しくさせる五人。その矢先、薄暗い洞窟が敵の放とうとする魔法の明かりで照らされ始める。それを視界に捉えると幸夫、愛笑、耀が前に出て魔法を行使しようとする。しかし、前に出た耀を他の二人が後ろへと下げた。
「前に出るな!」
「耀は体力温存!」
「っ、はい!」
耀は驚くも二人の言う通りそのまま後ろへ下がる。そして、放たれる数々の魔法を前に幸夫と愛笑は己の魔法を展開する。
「岩石の壁!」
「っ!」
愛笑が両手を地面に着くと岩の壁が隆起する。その壁を保護するように幸夫の鎖が巻き付き、それとは別に五本の鎖がまるで蛇を思わせるようにゆらゆらと揺れて待ち構える。そして、迫る魔法の攻撃を鎖が撃ち落とし、鎖の迎撃をすり抜けた魔法は岩の壁が完全に遮断した。
ドンッドンッと魔法が炸裂する音が響く中、五人は壁の陰に隠れながらこれからの行動を話し合っていた。
「私が鎖を放ち、敵を動揺させる。その間に扉に近づき破壊して中に侵入する。敵は………」
「うん、私と篝と十六夜が残る。お爺ちゃんは春と耀に付いて行って」
ほぼ間違いなく扉の先に魔力源がある。しかし、その魔力源のせいで周辺の魔力探知が上手く機能していなかった。それにより、扉の向こうにどんな敵が待ち構えているかが全く分からないでいた。そんな状況では春と耀だけを先に行かせるわけには行かず、誰か付いて行くなら幸夫が適任なのは間違いなかった。
しかし、ここには敵の増援が来ることが予想される。そこに孫と若い二人を置いていくことに心苦しさを覚える幸夫だが、それをグッと心の底に押し殺した。
「………ああ、頼む」
「お願いします」
「すぐ終わらせて戻って来るから」
「ハッ。むしろ、速攻で終わらせて俺達が追いついてやる」
「そうそう。心配なんて無用よ」
「頼んだからね」
互いに激励の言葉を送り、決意と闘志を高め合った六人。話し合いを終え、岩壁と敵の軍勢を超えた先にある扉に意識を向けた。
「………行くぞ」
「「「「はい!」」」」「ああ!」
幸夫の掛け声と共に六人を守っていた岩壁が崩れ去る。それと同時に、幸夫の放った無数の鎖が敵の軍勢を襲った。
『うわあああ!』『ぐああああ!』
「反撃してきたぞ!」
「クッソ! 煙で前が見えない………!」
幸夫の鎖が地面と壁面を砕き削ったことにより起こった土煙。それに付随してこれまでの魔法攻撃によって発生した煙により、視界はかなり悪い。大規模な反撃と周囲の状況を視認できないことで敵に動揺が広がる。そんな中、敵の上空を大きな岩石が高速で通過した。
「何か通ったぞ!」
「ゲートの方だ!」
視界が悪いとはいえ、頭上を通過した大きな物体の影に気づかないわけがない。皆それを目で追いかけ、後ろへと振り返る。岩石が煙の中を抜け、軍勢の中の最後尾にいた敵がその目で捉えたのは、岩石の上に乗って飛行する侵入者六人の姿であった。
「らぁっ!」
「せいやっ!」
「ふっ!」
宙を舞う岩石から飛び降りると扉に攻撃する春、耀、幸夫。頑丈に作られた分厚い鉄製の扉といえど三人の攻撃には敵わず、簡単にその突破を許す。そして、その春達が突入した通路を守護するように愛笑、十六夜、篝の三人が立っていた。
「ゲートが壊された!」
「三人向こうに行ったぞ!」
「追いかけろ!」
突破されたことに気づいた敵達が追いかけようとするも、その行く手を残った三人が遮る。そして、破壊された扉の代わりに分厚い岩壁が通路を塞いだ。
「行かせるかよ!」
「まずは私達が相手よ!」
「かかって来なさい!」
立場が完全に逆転した両勢力。かたや仲間を追おうとする軍勢を迎え撃つため。かたや侵入した者達を抹殺するため。己が敵に対し、自身の魔法を放つのだった。
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