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嫌悪 (敵サイド)

「先輩、本当に今日殺るんッスか?あの群れに行くの俺、勘弁ッスよ。絶対返り討ちにされるッス。日を改めません?」


 俺の名前はルイス。ヴァリテイターの下っ端ッス。といっても組織のではなく組織の中の上層部の下っ端だからエリートとも言えるッス。しかも上層部の人は普通の人がいないから俺苦労しているッス。特にこの目の前にいる女。特段におかしい。本当にどうしてヴァリテイターになれたのかと常々思っているッス。


「もうすでにこちらに気づいているようですし日を改めたところで警戒されるだけですよ。きっと。それにどうやらあちらにアクシデントが起きたようですし殺るなら今夜しかないと思います」


 俺は改めて目の前で双眼鏡を覗いている先輩を見た。この人の名はララ・キャンベル。といっても任務によってころころ名前を変えるしほとんど本当の名前を名乗らないのでこの名前を知っている人はごく一部の人間だけである。


「先輩はいいかもしれないッスけど俺あそこに行ったらやられる自信しかないッスよ。行くなら一人で行ってくださいッス」


 先輩は俺の方を振り返ると笑顔でとんでもないことを言った。この人らしいと言えばらしいんッスけど。


「本気で言っているんですか?お給料なしになりますよ?それに私、あの人から許可をもらっているんです。つまりどういうことか分かりますよね?」


 あの人とは俺たちのトップのことッスね。本当にあの人俺に何か恨みを持っているとしか思えないんッスよ……。


「本当に嫌ッスけどしょうがないッスね。俺、まだ死にたくないッスから」


「分かればいいんです。それでは作戦会議でもしましょうか?」


 この女の趣味の餌食になるのは勘弁ッス。この女の趣味、聞きたいッスか。聞かない方がいいとは思うんッスけどね。


 ホルマリン漬けにすることッス。何を?って思っているッスよね?人の頭ッスよ。まあ、人の頭はおまけッス。眼が本命ッス。特に魔眼とかすごく好きッスね。傾向があるってだけッスけど。俺初めてあの人の部屋に入ったときビビってトイレに駆け込んだッスもん。本当にイカレテいるッス。しかも鑑賞するだけじゃないから本当に狂気しか感じないッスよ。みんなこの女に騙されているッス。


「ああ、本当にリアン君の眼、欲しいです。あそこまできれいな金眼なんて珍しいです。でも今回殺っても手に入らないのが本当に惜しいです。後でもう一度頼んでみようかしら」


 うへぇ。ゲロりそうッス。無邪気な笑顔で言うことじゃないッス。本当に俺の先輩交換してくれないッスかね。給料がおいしいから転職するの保留にしていたッスけどこれは本格的に転職考えるッスかね。


「先輩、作戦考えるッスよね?とんでいるッスよ」


 そう頭がな!討伐もしくは捕縛対象のリアン君よりこの女の方が悪ッスよ。みんなそう思うッスよね?


「ああ、そうでしたそうでした。――――作戦を立てるにもアクシデントが何かまず知る必要がありますね。情報を得ないと。本部に暗殺者の里についての情報あるか聞いてみましょうか。この辺の情報も一緒に」


 ほっぺに指を当てて考える仕草をしてもかわいくないッス。というか本性知った後はどんなかわいい仕草をしてもかわいくないッス。黒髪美人なんッスけどね。本当にもったいないッス。


「そうッスね。それがいいと思うッス。でも誰に頼むんッスか?あそこの情報は極秘情報に一応なっているッスよね?なんの見返りもなくあの人たち調べてくれないッスよ」


「そうですね。あの人に頼みましょうか?きっとあの人ならやってくれますよ。君を気に入ってますから」


 あの人?誰のことッスか?そんな人いないと思うんッスけど。


「では電話をしますね。その間、私の代わりにリアン君の監視をお願いします。絶対に見失わないでくださいね?」


「ああ、はいはい。分かったッス」


 そうして俺は先輩から双眼鏡を受け取った。えっとリアン君はっと。


「ああ、もしもし、ボスですか?」


 はっ?!何ボスに電話してるんッスか!!


 俺は振り返りまじまじと先輩と見た。そんな俺を先輩はちゃんと監視しろと手で示した。そんなことしていられないッスよ。あんた余計なこと言わないッスよね?


「ええ、私です。それで今回――――――――――」


 ふざけるんじゃないッスよ!!


「終わりました。本当に監視しっかりしてくださいよ」


 先輩はため息をついた。つきたいのはこっちッス。


「それではさっそく作戦会議しましょうか」


 これが終わったら本当に転職するッス。











「誰からだったんです?」


 ここはヴァリテイターの本部の一室。そこには先ほどまでの話し相手である男が足を組んで座っていた。


「ララだよ。情報を求められてね」


「ああ、あの人ですか。今回あの人の任務に同行しているのはボスのお気に入りでしたね」


 秘書らしき人物は眼鏡をくいっと上に上げた。


 ルイスはボスがとてもかわいがっている子だ。そこまで目立ったところがないのにどうしてボスの目に止まったのか。不思議です。


「ああ、そうなんだ。だから協力してあげてもいいと思ってね」


 本当にあんなおかしな連中の中に入れ込むなんてかわいがってもらえるといっても私は勘弁ですね。そう秘書らしき人物は思っていた。


「時間です。次の仕事は――――――」


 部屋には誰もいなくなった。



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